鍋に入れられて背負われて気分が悪くなった所にヒロインが現れたので、日頃の恨み辛み込めて思わずヒロイン目がけて吐いてしまいました
すみません。
この回は少し汚いです
小説のヒロインのセシリアの手が私の頬目がけて飛び出そうとした時だ。
「危ない、リーナ!」
私は次の瞬間、エドガルド様に首根っ子を捕まれて引かれてしまった。
「いつまで遊んでいるの? 行くわよ!」
「「ギャッ」」
私とセシリアは同時に声を上げていた。
私を引っ叩こうとしたセシリアは護衛に任命されたセナイダさんに襟首を引っ張られて一瞬で私の前から消えていた。
「何するのよ、護衛のくせに!」
首を押さえてセシリアが文句を言うと、
「良いからさっさと来なさい!」
セシリアはセナイダさんにあっと言う間に連れて行かれてしまった。
私ももう会うことはないと思うけれど、セナイダさんにだけは逆らうのはやめておこうと私はエドガルド様の腕の中で心に誓ったのだ。
「状況はどうなっているの?」
早速報告に来た騎士に王妃様が尋ねていた。
「現在クエンカの10キロ北のトリハの村の向こう側に最終防衛陣地を作り、対応しております。聖王様もそちらに向かわれました」
「判ったわ。私達もそちらに向かいます」
王妃様は一緒に来た一同を見渡した。
「イネス、ここに一人連絡係を残して後から来た聖女達には直ちにトリハの村に向かわせるようにして。残りの皆はトリハに向かうわよ!」
「「「はい!」」」
王妃様の声に全員頷いた。
「エドカルド。いつまでパウリーナちゃんを抱いているの? それよりもその大鍋を背負ってくれる」
「えっ、これをですか? 荷馬車はないのか?」
エドガルド様が騎士に聞くと
「申し訳ありません。馬という馬は現地に駆り出されまして、こちらには一頭も残っていないのです」
「エドガルド、何を甘えているの? 鍋くらい背負って来なさい」
「いや、鍋くらい背負うのは問題ないのですが、リーナが歩けるかなと思って」
エドガルド様が私を心配そうに見てくれた。
「パウリーナちゃんか」
王妃様や周りの人も私を気にしてみてくれるんだけど……
「私はお貴族様のお嬢様みたいに花よ蝶よと大切に育てられていませんから、少しくらいならば大丈夫です」
私は言い切ったのだ。
「そうかな、リーナはほとんど大聖堂に閉じこもってポーション作ってたから……」
「大丈夫です! ちゃんと歩けますから」
私は子供じゃ無いのだ!
絶対に歩けるはずだ。
皆の足手まといにはならないんだから!
大鍋を背負って歩く銀髪のイケメン王太子っていうのはとてもシュールだ。
こんなのアニメにもなかった。
絶対に絵にならないからだと思うけれど……私はそんなエドガルド様がみれて良かった。
例え推しがどんなに変でも、私の心の中では素晴らしい絵になるのだ。
そう思える余裕があるのは最初だけだった……
皆は私より背が高いので足が長く、必然的に歩幅が広いのだ。
下手したら私の倍くらい!
決して私が短足胴長なのではない!
必然的に皆の歩くスピードについていこうとしたら私は早足というか駆け足になってしまい……
あっと言う間にダウンしてしまった。
「だから言っただろう!」
エドガルド様に呆れられてしまった。
「殿下、私が背負いましょう」
おおきな荷物を持った騎士さんが言い出してくれたが、
「リーナは俺が面倒見るから良い」
エドガルド様が不機嫌そうに断ったんだけど、でも、一番重いのは大鍋背負ったエドガルド様だと思うんだけど……
「リーナ、鍋の中に入いって!」
エドガルド様が言い出してくれた。
「えっ?」
私は戸惑ってしまった。
確かに大鍋は小さい私なら余裕で入れるけれど、でも鍋の中に入るの?
まあ蒸気穴が蓋には開いているから窒息することはないと思うけれど……
「さあ、時間がないから早く」
エドガルド様にせっつかれて私は鍋の中に入った。
まあ、エドガルド様にお姫様抱っこはされたことはあるけれど、背負われるのは初めてだ。こんな経験二度と出来ない! ヒロインも小説の中でされていなかった……鍋の中だけど。
まあ、鍋に入れられて背負われるのなんてヒロインがされる訳はない。モブですらない私にはぴったりの役割だ……そう納得はした。
私が慌てて鍋の中に入って、それをエドガルド様が背負ってくれた。
「リーナ、大丈夫か」
「はい!」
私は健気に返事した。
でも、中は暗いんですけど……空気穴から光が入るから全く真っ暗ではないけれど……
でも、鍋に入って背負われるのは想像以上に大変だった。
やっぱり直接背負われるのと違ってよく揺れる。
更には途中からエドガルド様が走り出してくれて、鍋の中がグラングラン揺れるんだけど……
いや、待って!
エドガルド様!
走るの止めて!
私の心の声はエドガルド様に届かなかったのだ。
現地に着いた時に私は完全にダウンしていた。
「おい、リーナ、大丈夫か」
気絶寸前だった私はエドガルド様に揺らされたんだけど、
待って!
これ以上揺らすのは待ってったら!
「エドガルド様! そんなチビはほっておいて、私と一緒にお仕事しましょう」
そこにヒロインのセシリアがやってきたのだ。こいつ人が苦しんでいる時に!
日頃ヒロインからされた嫌がらせの数々を思わず思いだしてしまった。
「いや、ちょっと隣国の聖女止めろ」
「良いではないですか? エドガルド様。こんな役立たずほっておかれれば」
言い争う2人の声が聞こえて、大きく私が揺れる。
私の我慢も限界だった。
ムカムカしている私が目を開けるとそこにヒロインの顔が見えた。
日頃の恨み! 受けてみろ!
私はヒロイン目がけて思いっきり吐いてやったのだ。
「ギャーーーーー」
ヒロインの絶叫が響いた。
そこには呆然とした汚物まみれのヒロインがいたのだ。
これは絶対に黒歴史だと思う。
私の最悪の歴史だった。
でもその時はざまあみろと思わず思ってしまったのだった。
吐いてすっきりしたパウリーナでした……
うーん、物語のヒロインに吐かすって……
すみません。
二日酔いの古里でした……
次回からはまともです。








