王妃様に作り方を教えてもらって中級ポーションを作りましたが、最後に作りすぎて怒られてしまいました
私はその後、侍女に連れられて食事場所に行った。
でもそこは聖女様と聖王様の一家の食事するところだった。
私は驚いて、王宮の使用人の食堂で良いと言ったのに、許されなかったのだ。
幸いなことに聖王様は所用でいらっしゃらなかったが、エドガルド様と王妃様がいらっしゃった。
エドガルド様は毎日昼食を一緒に食べているからまだ慣れているが、王妃様となんて絶対に無理だ。
私はそう思っていたのに!
席はエドガルド様の隣、王妃様の真ん前に座らされてしまったのだ。
こんなところで食べるのなんて無理よ!
私の悲鳴は誰も聞いてくれなかった。
でも、目の前に焼きたてのパンが持ってこられたのだ。
それも私にいつも与えられる黒い半分腐ったパンじゃなくて白パンだ。
とても美味しそうな匂いがしている。
私は目が点になってしまった。
「では、パウリーナちゃん。お祈りをお願いするわ」
王妃様に言われたので、
「はい?」
私は思わず変な声を上げていた。
「あら、どうしたの? あなたは聖女だからお祈りすることもあるでしょう」
王妃様はおっしゃるんだけど、お祈りするのはほとんど大司祭で声がいつも小さいのだ。私はいつも食堂の端だったので、大司祭の声が小さくて、食事のお祈りの言葉はよく聞こえていなかった。それに最近はポーション造りとか勉強が忙しくて皆が食事が終わってからのことが多かったし。
だから1人でお祈りすることも多かった。
だからお祈りも我流なんだけど、良いんだろうか?
「どうしたの? パウリーナちゃんの好きなようにお祈りしたら良いから」
王妃様がそう言われるので私はいつものようにお祈りすることにした。
「天にまします我らの女神よ。このように美味しそうな焼きたてのパンを私のような者に与えていただきありがとうございます。では、いただきます」
私は両手を合わせてお祈りした。
「まあ、パウリーナちゃんのお祈りは独特なのね」
王妃様に笑われてしまったんだけど……こんなんだったらもっとちゃんと大司祭の言葉を聞いておけば良かったと後悔しても遅かった。
「さあ、どうぞ、温かい内に食べてね」
王妃様の言葉に私は早速パンに手を伸ばしてちぎって口に入れた。
「美味しい!」
「まあ、パウリーナちゃんは本当に美味しそうに食べるのね」
「焼きたてのパンなんて久しぶりなんです」
「えっ、そうなの?」
私の言葉に王妃様が眉を少しひそめてくれた。
「はい。私は下っ端ですから、パンも黒パンですし、最近は勉強も忙しいので、下手したらご飯が残っていなくて」
「そうなのか? じゃあ、俺のパンも食べるか?」
「いえ、それは大丈夫です」
「変ね。聖女は見習いも含めて全員同じ食事だと聞いているんだけど」
王妃様が首をかしげられた。
あ、私は又、余計な事を話してしまったかもしれない。下手したらまたシスター・ベルタに怒られるコース一直線だ。私はしゃべるのを止めて食べることに専念した。
ええええ!
このトマトのスープも美味しい。
私は夢中になって食べてしまった。
それを生暖かい目でエドガルド様と王妃様が見ているのに気付かなかった。
「パウリーナちゃん。食事が終わったら、私とポーションを作らない?」
「えっ」
「母上、何言っているんですか? リーナは私と勉強があるんです」
「いえ、それよりも私は学園に行かないと」
私が2人の言葉に口を挟むと、
「何言っているんだよ!」
「パウリーナちゃん今日は土の日でお休みよ」
「えっ、あっ、そうでした」
私は完全に忘れていた。
「だから、エドガルドとの勉強も大切かもしれないけれど、中級ポーション作ってみない?」
「えっ、良いんですか?」
私は驚いて王妃様を見た。
「私が良いって言っているんだから良いに決まっているじゃない」
「でも、私、まだまだ作る能力が足りないってシスターベルタに言われていて」
「そうなのね。あなたの成長をベルタが止めていたのね」
なんか王妃様の体から黒いオーラが飛んでいるように見えるのは私だけだろうか?
私は又、余計な事を言ってしまったのかもしれない。
「パウリーナちゃん。一応私はこの国の、いえ、世界の聖女の頂点にいるのよ。私の言う事を聞かない女神教の関係者はいないわ」
王妃様の言葉にそうだった。この方が女神教のトップなのだ。
私は当然頷くことしか出来なかった。
まあ、シスター・ベルタが後で愚痴愚痴言うだろうが、筆頭聖女様のお言葉は絶対だった。
「そういう事なら材料を運んできます」
エドガルド様が出て行ったんだけど、
「えっ、でも、王太子殿下にこんな事お任せしていいんでしょうか?」
「良いのよ。パウリーナちゃん。エドガルドに任せておけば。それよりもあなたの聖女服よね」
私は王妃様と連れだって更衣室のような所に案内された。
衣装ケースの中を探していた王妃様が衣装を取り出してくれた。
「これならどうかしら」
王妃様の衣装なら絶対に大きすぎると思っていたのに、ぴったりだった。
「ぴったりです」
私が驚いて言うと、
「良かったわ。私が10歳の時の聖女の衣装なの。取っておいて良かったわ」
ガーーーーン
その言葉に私はとてもショックを受けてしまった。
王妃様の10歳の時と15歳の今の私の大きさが同じってこと?
「どうしたんだ、リーナ?」
机に突っ伏している私を見て、材料を持って来てくれたエドガルド様が聞いてきた。
「いえ、何でもないです」
私は慌てて首を振った。
「パウリーナちゃんは私の10歳の時の服が着れてショックを受けているのよ」
「ああ、リーナは背が低いからな」
エドガルド様にさらに追い打ちをかけられてしまった。
「さあ、パウリーナさん。始めるわよ」
「はい」
私は気を取り直して王妃様を見た。
「中級ホーションの材料はこれよ」
私は王妃様から材料の一覧を見せてもらった。
最初は当然少しだ。小鍋に入れる素材をエドガルド様が集めてきてくれた物を一つずつ実物とチェックして、分量ごとに集める。
「まずは水を軽く沸騰させるの」
王妃様の指示で、私は水を張った小さな鍋を火にかける。
鍋が軽く煮立ってきた。
「次は順番はどうでも良いから材料を一つずつ入れて溶けるまで杖でかき混ぜるの。その時に軽く魔力を流すと早く溶けるわ」
王妃様の言葉通り軽く沸騰しだした時に、分けたタネンソウ以外の材料を一つずつ、入れる。
「元気になあれ」
私は呪文のように唱えながら素材を溶かす。
あっという間に素材は次々に溶けていく。
水は青くなってきた。
「もう少し青くなってきたら、そうよ。そこでタネンソウを入れて」
「はい」
私はタネンソウを必要量入れた。
「元気になあれ、元気になあれ」
そう言いながら魔力を流すとあっという間に黄色になった。中級ポーションの色だ。
「す、凄いわ。パウリーナちゃん。もうできちゃったのね」
王妃様に驚かれた。
「本当に出来たんでしょうか?」
「まあ、黄色になったから出来ていると思うけれど」
私の疑問に王妃様は自分の杖で突いてみたり液を少し口に含んでくれたりした。
「完璧よ。まさか一度で出来るようになるなんて思ってもいなかったわ」
「出来て良かったです」
私はほっとした。
「じゃあ何度か練習してみましょうか」
「はい」
俄然やる気になった私は早速作り出したのだ。
何回もしている内にコツが掴めてきた。
ドンドン出来る時間が早くなったのだ。
「その調子よ。私は少し用が出来たから席を外すけれど、パウリーナちゃんは3回くらいやって確実にして」
「判りました」
私は頷いた。
「でも、リーナ、いつもみたいに大鍋でやってみても良いんじゃないか? 幸いなことに材料は大鍋分くらいはあるよ」
エドガルド様が提案してくれたんだけど。でも、エドガルド様は私が初級ポーションを大鍋で作っているのを見たことないと思うんだけど……まあ、王妃様の前でやったから聞いたんだろうか?
「でも、そんなに大きい鍋で出来ますかね」
「初級で出来たんなら中級でも出来ると思うわって母が言っていたからな。大丈夫だろう」
エドガルド様がそう言ってくれたんだけど……
まあ、王妃様が出来ると思われたんならなんとかなるか?
私は材料を大鍋の量に計算しなおして足りているかどうか確認した。
そして、エドガルド様に手伝ってもらって作り上げたのだ。
初級ポーションは50分くらいで出来たけれど、さすがに中級ポーションは一時間以上はかかってしまったけれど、ちゃんと出来上がった。
「ちょっと貴方たちこんなに沢山作ってどうするのよ!」
でも、帰ってきた王妃様に怒られてしまった。
初級ポーションと違って中級ポーションはそこまでの需要がないんだそうだ。
どうしようと私は慌てたが、すぐに足らなくなる事態になるなんて思ってもいなかったのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございました
続きは明日です。
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