21ヒロインと悪役令嬢が私を間に言い合いしていたら薬屋の店員が迎えに来てくれて連れ出してくれました
「優勝、一年Aクラス一班」
「「「ウォーーーー」」」
拍手が一斉に起こった。
私達は前に出た。
「エドガルド様!」
この声はヒロインだ。名前呼びを許していないと言われてもヒロインは全く気にしていなかった。
エドガルド様は顔が少し引きつっていた。
「王太子殿下!」
「カルロス様!」
「ダミアン様!」
「おう!」
エドガルド様は笑顔でカルロス様は無表情にしていたけれど、ダミアン様は喜んで手を振り返していた。
「おちびちゃーーーーん!」
でも、なんで私だけちび呼びなのよ! せめてパウリーナちゃん呼びにしてよ!
イケメン3人に、一人だけちびが混じっているってか!
なんか少しむかつく。
まあ、事実だから仕方がないけれど……
二位はヒロインの一年B組一班が、三位は悪役令嬢の班だった。
「優勝、一年Aクラス一班」
呼ばれて四人で前に出る。
何故かエドガルド様の横に私がいさせられていた。
ヒロインと悪役令嬢の視線が怖い。
「表彰状、あなたの班は当オリエンテーションにおいて頭書の成績を収められてとても仲良くなれたでしょう」
学園長が読み上げて表彰状を私達の前に出してくれた。
「パウリーナさん!」
エドガルド様が私に取るように言ってくれたけれど、そんなの無理だ!
ふるふると私が首を振ると仕方なさそうにエドガルド様が受け取ってくれた。
盛大な拍手が沸き起こる。
エドガルド様が賞状を抱えて上に上げた。
さらに拍手が大きくなった。
「今回の件は現れたフェンリルを退治したパウリーナさんのおかげだから」
エドガルド様が皆に向き直って賞状を私に手渡してくれてその手を私の肩に回してくれたんだけど……
ええええ!
この手は何なの
皆に手を振っている。
私は4人の真ん中に挟まれて皆に祝福されていた。
でも、私はエドガルド様の手が気になって顔が少し引きつっていたと思う。
ヒロインと悪役令嬢が射殺しそうな視線で私を見ていたのを私は知らなかった。
私達はクラスに帰ってからも皆に祝福された。
「では皆さん、浮かれているのは良いですけれど、明日から授業ですからね。特にパウリーナさん。ロッテン先生から伝言があります。『あなたの礼儀作法はまだまだです。明日から覚悟しておくように』とのことです」
私はミランダ先生の言葉に肝が冷えた。
皆どっと笑ってくれるし……エドガルド様まで笑ってくれて私は真っ赤になっていた。
「では皆さん。また明日」
「「「ありがとうございました」」」
全員が礼をして先生が去って行った。
今日のお礼を言おうとしたら、気付いたらエドガルド様はあっという間にいなくなってしまった。
「パウリーナちゃん。明日は頑張ってね」
「ダミアン様。止めてください。ロッテン先生の授業は最悪なんですから」
「パウリーナさん。またね」
斜めの席のカルロス様が挨拶してくれた。
「カルロス様。今日はありがとうございました」
私が挨拶すると
「まあ、この下っ端聖女、グラシア様のことを勝手に名前呼びしましたわ」
後ろからアレハンドラ様に指摘されてしまった。
そうだった。貴族の子息を勝手に許されてもいないのに名前呼びしてはいけなかった。
「も、申し訳ありません。グラシア様」
「良いんだよ。パウリーナさんは。俺も名前で呼んでいるんだし」
「えっ」
「嘘!」
「あの氷のグラシア様が名前呼びを許したわ」
「信じられない!」
周りの女どもがキャーキャー言っている。
「じゃあ、私も宜しくて、グラシア様」
「ミラネス侯爵令嬢。君には名前呼びは許していないよ」
アレハンドラ様が嬉しそうにそう言ったらカルロス様が拒否したんですけど……
出て行くアレハンドラ様の悔しそうな顔と言ったらなかった。
その後私を射殺しそうな目で見ていたし……
女の子に軽いダミアン様は誰でも名前呼びだったけれど、真面目なカルロス様が名前呼びを許したのはヒロインだけだったのに! 何で私に名前呼びを許してくれたんだろう? 私がヒロインのポジションを取ったからなの?
私にはよく判らなかった。
「エドガルド様! 一緒に帰りましょう」
そこに大きな声を上げてヒロインのセシリアが現れた。
「あれ、エドガルド様は」
セシリアが私を見て聞いてきた。
「ちょっとそこのあなた? いつまで王太子殿下を名前呼びしているの? 殿下からは止めるように言われているでしょ」
セシリアにアレハンドラ様が突っかかっていた。
「ふんっ、悪役令嬢はそうでしょうよ。でも、ヒロインの私は許されるのよ」
胸を張ってセシリアは言うけれど、ヒロインって言う限りこの子も転生者なんだ。
「ヒロインって何よ?」
「ああら、ご存じないの? 物語の主人公ですわ。私とエドガルド様の恋の物語の」
「何を言っているのよ。あなたなんか平民出の聖女なんて王太子殿下に相手にもされないわよ」
「へええええ! 侯爵家出身の誰か様も全く相手にされていないようですけど……」
「な、何ですって!」
二人が対峙してくれた。
でも、私の目の前で対立するのは止めてほしい!
私がそろりと鞄を持って後ろに下がろうとした時だ。
「ちょっと何逃げようとしているのよ」
「そうですわ。そもそもなんであなたが王太子殿下の横にいるんですの? 私にその場所を譲りなさいよ」
「そうよ。私が本来はその席に座る予定だったのに!」
「はああああ! あなたは隣のクラスでしょ」
「あなたでしょ。侯爵家の権力を笠に着て私を隣のクラスにしたのは!」
「何のことかしら? 私には全く覚えがありませんわ」
「嘘おっしゃい!」
二人が睨み合った時だ。
「あっ、良かった。リーナ。まだいたんだ」
そこにエドが入ってきてくれた。
「エド!」
助かった。私はエドについて帰ろうとした。
「ちょっと待ちなさいよ」
「そうよ。まだ話はついていないわ」
二人がきっとしてこちらを睨んでいるんだけど。
「俺はパウリーナを連れてロッテン先生のところに来いって言われているんだけど、お二人も来るんですか?」
「「「えっ!」」」
私達三人の声がハモってしまった。
「どうします」
「いや、それなら仕方がありませんわね」
「そうね。私は別の予定が」
「そんな、なんで私だけが……」
私は涙目になっていた。
争っていた二人はロッテン先生の名前を聞いた途端にあっさり、目の前から消えてくれたんだけど……
「じゃあ、行くぞ!」
私は職員室の方にエドに手を引かれて行くんだけど……屠殺場に連れて行かれる牛さんの気分だった。
何で呼ばれているんだろう?
まだ何もしていないはずだ。それはオリエンテーションではちゃんと出来なかったけれど……
うじうじ悩んでいたら職員室をあっさり越えてくれたんだけど……
「あれ、エドさん、どこに行くんですか?」
私が聞くと
「ロッテン先生に呼ばれているって言うのは嘘だから。ああでも言わないと帰れないだろう」
片目を瞑ってエドが言ってくれるんだけど、
「えっ、もうやめてよね。そんなこと言うのは」
私はエドの背中を叩いていた。
「痛い、痛いから」
「本当に嫌だったんだから」
私が膨れると
ごめんごめん、
「これやるから」
と言ってポケットから私が好きだって言った王都の有名菓子店の焼き菓子の包みが出てきた。
「もう、エドさん。私はお菓子で何でも解決すると思っているでしょ」
少し口調が柔らかくなって私が言うと
「そんなことはないよ」
笑って言ってくれたけれど、絶対にそう思っているに違いない!
私は少しむっとしつつ、エドと一緒に馬車で帰った。
でもこのお菓子とても美味しい!
幸せそうに食べていたらエドさんと目が合ってしまった……
ここまで読んで頂いてありがとうございました。
続きをお楽しみに!








