19私の素材を食べていたフェンリルを怒りにまかせて退治しました
「パウリーナさん、落ちないようにしっかり掴まってね」
「キャッ」
私は駆け出したエドガルド様の腕から落ちそうになって慌てて、エドガルド様の首に抱きついていた。
女の子が一度は夢見るお姫様抱っこ。
それもこの物語のイケメン度ナンバーワンの王子様に抱き上げられるなんて、もう二度と無いと思うんだけど、でも、感涙に浸る前に振り落とされそうで本当に怖かったんだけど……
私はエドガルド様の首に必死に抱きついたのだ。
エドガルド様は私を抱いても、私が軽いからかもしれないが、前を走るダミアン様とほとんど同じスピードで走ってくれた。
「あ、あれはでかい狼の魔物か?」
ダミアン様の声にそちらを見ると、赤い髪の毛の女の人が腰を抜かして座り込んでいるのが見えた。あの髪はアレハンドラ様だ。その周りに剣を持った男子生徒達が剣を構えている。
そしてその先にいる白い毛の巨体はデカイオオカミじゃなくてフェンリルだ!
凄い! きれいな毛並み。
私はうっとりとそれを見ていたけれど、フェンリルはこちらを見向きもせずに背中を向けてひたすら何かを食していた。
何を食べているんだろう?
そういえばアレハンドラ様の腰巾着のエビータがいない?
「えっ、エビータ様が食べられているの?」
私が思わず聞いていたら、
「何を言っているのよ。私はここにいるわよ!」
後ろの木陰にいたエビータが声を出してくれた。
「じゃあ、誰が食べられているの?」
私が慌てて聞くと?
「ウォータースライムよ」
「ええええ! なんてことなの! 私の素材が!」
私は驚いてエドガルド様の腕の中から飛び降りた。
「えっ、パウリーナさん?」
驚いてエドガルド様が声をかけてきたが、私は無視した。
私は素材が無駄にされるのが許せないのだ。例え食べられてもだ。
折角の私のポーションの元が!
「ちょっと、あなた、なにやってくれるのよ! それは私のウォータースライムよ」
私は叫ぶと、フェンリルに向かったのだ。
フェンリルは私の大声にちらっと私を見たが、ふんっと鼻で笑って、残ったウォータースライムをむさぼりだしてくれた。ちょっと、そんなに食べたらなくなっちゃうじゃ無い!
「私を無視するな!」
私は完全に切れてしまった。
「ちょっと、リーナ!」
エドガルド様が私の呼び名を呼んで止めようとしてくれたみたいだけど、私は聞いていなかった。私は素材を横取りされることほど嫌いなことは無かった。例え魔物が食べていてもだ。
素材回収で行った森の中で摩晶石を食べていたハーピィを叩いて吐き出させたことがあった。摩晶石はそれだけ貴重なのだ。フェンリルに食べられたウォータースライムはさすがにもう使えないかもしれないけれど、まだ残っている。
私を無視して、ひたすらウォータースライムを食べているフェンリルに向けて杖を出すと、
「ちょっと、リーナ無理だって!」
エドガルド様が私を止めようとしたが、
「大丈夫です。見ておいて下さい。ウォータースライムは私が確保します」
そう言ってとどめると、
「いい加減にしなさい!」
私は杖を叩きつけていたのだ。
その瞬間私の杖が光り輝いてフェンリルを直撃する。
「ギャオーーーー!」
フェンリルが絶叫してピクピク震えて次の瞬間倒れ込んでいた。
私の素材を横取りしようなんて百年早い。まあ、私も百年も生きていないけれど……
素材の奪い合いをさせたら私に敵う者などいないのだ。私は無敵だった。
残ったウォータースライムを収集ボックスに入れるや、ほっとした。
「エドガルド様、これで全て素材は揃いましたよ」
私が喜んで振り返ると、
「良かった、リーナ、無事で」
そう言ってエドガルド様が私を抱き締めてくれたんだけど……
ええええ!
エドガルド様に抱きしめられた!
あり得ないんだけど……私は真っ赤になった。
でも、ちょっと止めて、痛い!痛いから!
私はエドガルド様からきつく抱き締められて強すぎる抱擁に悲鳴を上げていた。
「おい、エドガルド、そんなにきつく抱きしめていたらパウリーナちゃんが窒息してしまうぞ」
ダミアン様が声をかけて助けてくれた。
「えっ、あっ、ごめん」
エドガルド様が慌てて私を離してくれた。
私はほっとした。
でも、私がエドガルド様に抱きしめられているのを見て、アレハンドラ様は鬼の般若のような顔をして私を睨み付けていたのは私は気付かなかった……
結局、素早く、素材を集められた我が一年A組の一班が優勝だった。
他の皆はウォータースライムの大半をフェンリルが食べてしまったので、素材がほとんど集められなかったのだ。
「凄いな、パウリーナちゃんはフェンリルを一撃でやっつけるなんて!」
「本当だな。小さいのに信じられないよ」
ダミアン様とカルロス様が褒めてくれた。
「ふふん、私、素材を争ったら世界一です。例えドラゴンでも負けません」
私は胸を張って答えていたのだ。
「パウリーナって怒らせたら怖いんだな」
「どんな化け物なんだよ、フェンリルを一撃で倒すって」
「言葉には気をつけよう」
クラスの男の子等が何か言い合っていたけれど、私には聞こえていなかった。
ここまで読んで頂いてありがとうございます
フェンリルを一撃で退治したパウリーナでした。
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何故かパウリーナに執着する王子様、でも、ヒロインと悪役令嬢は黙っているのか?
続きは今夜です
お楽しみに








