11悪役令嬢視点 王太子と下っ端聖女が隣同士の席になったので、下っ端聖女の机を池の中に放り込んでやりました
そんな大聖堂に筆頭聖女である王妃様が視察にいらっしゃると聞いて、すわ、エドガルド様の婚約者決めでは!
と聖女達は色めいた。
普段は厳めしい正装は嫌だと皆言っていたのに、今日ばかりは皆正装していた。
そして、ほとんどの聖女が入り口に揃って、王妃様をお迎えした。
馬車から降りられた王妃様は40近いお歳のはずなのにお美しかった。
「皆、わざわざ私のために仕事を止めて揃ってくれたの? そんなことはする必要がなかったのに!」
「いえいえ、筆頭聖女様がいらっしゃるのに、お出迎えしないわけにはいきませんから」
大司祭が王妃様に話していた。
「今日はアレハンドラ聖女を始め、大半の聖女がここに揃っております」
大司祭はナイスタイミングで私を紹介してくれた。それと同時に私はカーテシーする。
「ああ、聞いているわ。今大聖堂で一番レベルの高い聖女よね」
「はい、ありがとうございます」
私は王妃様に名前を覚えてもらっていて、天にも昇る気分だった。これで愛しのエドガルド様の婚約者になれる確率が上がった。
そう思った私は歓喜に震えたのだ!
次の王妃様の言葉を聞くまでは!
「ところで大司祭。パウリーナさんはどこにいるの?」
「はい? パウリーナでございますか?」
大司祭は慌てた。
何でここにパウリーナなんて平民の名前が出てくるの?
私には理解出来なかった。
「パウリーナは下っ端の聖女ですからな。ここには来ていないかと」
「大司祭。聖女は身分に関わらず皆平等よ。理解していないの?」
「はあ、それはまあ……」
聖女が出身の家によって取り扱いに差があるのは当たり前の事だ。
王妃様は何をおっしゃっていらっしゃるんだろう?
王妃様も伯爵家の出だったはずだ。
そういうことは理解していらっしゃるはずなのに!
でも、その後、王妃様はわざわざパウリーナの仕事場までいらっしゃって、パウリーナを激励されたらしい。これでは直接声をかけられた侯爵家令嬢の私と殆んど同じ待遇ではないか!
「王妃様に声をかけてもらったからっていい気になるんじゃないわよ!」
私はパウリーナに釘を刺しておいた。
王妃様が何故パウリーナを構ったのかは良く判らないが、エドガルド様の婚約者候補のライバルは少しでも減らしておくに限る。まさか平民のパウリーナがエドガルド様の婚約者になることはないと思ったが、打てる手は打っておいた方が良いだろう。
私はシスター・ベルタから、パウリーナが学園入学を自ら辞退するように仕向けさせた。
さすがのパウリーナもベルタには逆らえないみたいだった。
パウリーナがトイレで泣いていたという話を聞いて私はほくそ笑んだのだ。
しかし、そう私が上手くいったと喜んでいた時だ。
いきなりロッテンとか言う王宮礼儀作法指南役がやってきて、王妃様の命令だからとパウリーナの学園入学辞退を阻止してくれたのだ。
妃教育も担うロッテンにはさすがの私も逆らえなかった。
まあ、パウリーナは平民だからいくら聖女とはいえ、エドガルド様の婚約者になることはないだろう。
そんな時に隣国ポルト王国から、セシリアとかいう聖女が留学してくると言う情報をお父様から聞いた。セシリアは平民だが、エドガルド様の婚約者にと隣国の国王が後ろ盾について推しているそうだ。
お父様から学園に圧力をかけてもらってセシリアの所属クラスをAクラスからBクラスに変更してもらった。エドガルド様とセシリアのクラスが違えばエドガルド様と話す機会は減るだろう。
王妃様のお気に入りのパウリーナは平民だからDクラスくらいだろう。これでエドガルド様と私だけが同じAクラスだ。クラスさえ同じならばこれからいくらでもお近付きになる機会はあるだろうとほくそ笑んでいた。
しかしだ。私は入学式の当日にあのパウリーナが私達と同じAクラスになったと知ったのだ。
何という事だろう。平民風情と同じクラスになるなど、信じられなかった。
今更圧力をかけようにももう発表された後だった。
これはまずい!
更にはパウリーナは入学式において王妃様に賞賛されていた。
上級ポーションを一日に1本も仕上げる私には一言の賞賛もなかったのに!
更には生徒会長やエドガルド様までパウリーナを賞賛し始めたのだ。
許せない!
私は怒りに震えていた。
私は式典の始まる前に学園にいる我が家の協力者にパウリーナとエドガルド様の座席を確認させたら、隣同士だというのだ。式の開始前に私は直ちに二人の席を離すように指示を出した。
協力者は短時間に座席表を改変してくれた。これでうまく二人を離せる事が出来たと私が褒美を渡そうとしたら、なんとやらなくて良いのに担任のミランダ先生が元に戻してくれたのだ。
本当にこの担任は碌な事をしてくれない。
完全に頭にきた私は皆が帰った後に、協力者に指示を出してパウリーナの机と椅子を池の中に放り込んでやったのだ。
パウリーナめ、王妃様に褒められていい気になっているのも今のうちだ。明日学園に登校してきて自らが座る席がなくて驚き慌てるが良い。
良い気味だ!
その場で笑うとアレだからその後、大聖堂に帰ってから皆で散々に笑ってやろうと私はほくそ笑んだのだった。
ここまで読んで頂いて有難うございます。
悪役令嬢ここに極まれり!
次回自分の机のなくなったパウリーナはどうする?
お楽しみに!








