リアルのメリットとデメリットと3人目
怒ったセシーリアをそのまま寮に帰らせ、MP回復薬(微)の作成を待った後俺も寮に帰った
今日起こったリアル限定の効果についての対策を考えなくてはならない……
ゲームとの比較もしていかないとな……気が重いぜ……
まずはダンジョン内の時間の流れだ
ゲームはどれだけ探索をしても時間は経っていないかのように止まったままだったからよく寝落ちしたもんだ
まあ、そのおかげでちょっと無茶して戦闘を全回避で最深部へ行ったりも出来た
リアルだとエンカウントして逃げきれるかどうかは、ステータス依存になる
しかも、ダンジョン内にいるときは時間の流れはかなり遅くなるが少しずつ進む
よって採集なんかもパーティ全員で早々とやった方がいい
「困ったな…… デメリットだらけじゃね?」
本来パーティは4人だ ただし、サブパーティとして更に4人連れていくことが出来る
本来の最大人数で探索を行えば最速で次に進むことが出来るが、知り合いがいないのはどうにもならない……
ゲームではスカウトもしくはキャラ作成で作れば良かったのに……ちくせう
はっきり言って問題点だらけで頭が痛くなりそうだ
ただ時間が許す限り何度もダンジョンに入り直して採集やエンカウントがリポップ出来るのは最高だ
それだけでマイナスを完全に打ち消している。断言する
つまるところ完全に人が足りていないのだ
人がいればデメリットを消すことが出来るが現状だと
メリットもあるがデメリットの方が正直大きい
「まずは人を探そう 話はそれからだ 寝よう」
なんて独り言を言って眠りにつくのであった
しかし、この独り言は独り言にはならなかった
部屋のカーテンは魔法がかけてあるので余程のことがないと壊れないし防音・侵入対策も完璧だ
しかし、セシーリアは部屋の机の引き出しにあったメモ書きを発見したのだ
『カーテンはペンまでは挟める そうしたら開いた隙間で部屋同士の会話が出来る』
以前この部屋を使っていた人の残していったものだろう
そのメモをみたセシーリアは常日頃から独り言のデカいキセロの本心を聞きたいと考えた
心の声や考えていることが全部声に出ていることが多いので一週間もあれば本心を漏らすだろう
あんなこと言っておいて下心からのデマなんてオチがあったら見限って自分で強くなる道を探さないといけない
3年間という時間は決して短くないし、各年毎にクリアしないといけない課題があるのだ
よくわからない男の毒牙にかかって将来を棒に振るなんて自分の誓いに反する
「しっかり聞いてしまいましたの ゲーム……ですの? よくわからないですが人が足りてないことはわかりましたの」
しかし、聞こえてきたのは下世話な話ではなくダンジョンについて悩んでいることだった
最底辺のシードに就いているにもかかわらず、落ち込んだ姿勢を全く感じられない彼は最初不気味だった
でも、私の介抱してくれたりなどいい人だなと感じたが疑ってる部分もある
しかし今日の話を聞いてまだ結果は出てないけれども信頼しようと決めた
だから私も彼のために出来る事から手伝おうと
彼が何をして欲しいのか知る為にも盗聴は継続されるのであった
「このショッピングモールデカすぎるだろ……」
次の日、俺は昼休みのうちにゲームの値段と現実の値段の差を確認するために一人でショッピングモールへ来ていた
回復薬などの薬類、さまざまな武器、防具など色々と金額などを聞いて回ると驚きの事実がそこにあった
信じきれないと思い近くの店員を捕まえ話を聞くことにした
「あのすみません。この薬など低品質をメインに置いてるのはなぜですか?」
「この世界では低品質がほとんどを占めております。回復薬(微)ほどの簡易なものですと低品質はほぼないです」
「それは作るのが困難ということですか?」
「武器や防具はその通りですが、薬系については作成することは出来ます。時間がかかるので1本作ってそれを薄めて低品質で数を増やしています」
「詳しく聞いても?」
「回復薬(小)だと1本で低品質を2本作れます」
低品質を2本作ったとしても回復薬(微)より効果があり少し値段もちょうど中間くらい
薄めているとはいえ、2本の合計回復量は薄める前の1本と同じ
2本売った方が1.1倍~1.2倍の金額になるから、そっちを売った方が特になるという何とも合理的?な判断だった
正直に言ってしまうと、回復薬(微)の高品質と回復薬(小)の回復量はほぼ変わらない
けど素材の採集難易度は(微)の方が低い
高品質を作れる人さえいれば、回復量に対しての採集の労力は小さく済むから人材もこちらで用意する必要がある
「前途多難だな……」
そんな独り言を言いながら教室へ戻った
午後の授業もほとんど集中できないまま、欲しい人材をまとめると
4人パーティを完成させるために戦闘出来る人を2人、採集系を出来る人を1人、生産出来る人材を出来れば3人という所だ
入学の時に戦闘をしない後方支援(採集や生産する人の総称)は入口が別だし、寮も別だ
どうせなら俺たちの専属になって欲しいから設備を準備する必要がある
となると、チームを作れるようにならないといけない
キーンコーン…… カーンコーン……
いつの間にか授業が終わったみたいなので寮に戻ってダンジョンに行こうと立ち上がると
セシーリアに手を握られ無理やり引っ張られた
「痛ったいわ! どこ行くねん!」
「黙っていてくださいの!」
仕方がないので黙って引きずられていると寮に入っていった
階段を上っていくので部屋で相談でもされるのかなと考えていると
更にもう1階上に上がっていくと一番近い部屋にノックもせずに入っていった
「お待たせしましたの」
そこにいたのは青い髪の長身な女の子だった
残念ながら俺の記憶にないからクラスメイトではないのだろう
「えっと……はじめまして?」
「はじめましてだ よろしく頼む」
短髪のボブに切れ長の目をしていて大人びた印象の彼女は凛々しくも何故か違和感のある雰囲気をしていた
「彼女はリンドウですの 私のパ……父上のパーティに所属している騎士さんの娘ですの」
「そのような方がどうしてここに?」
「私から説明させてもらおう」
説明が長かったので要約すると、かなり有名な騎士の父親から期待されて学園に来た
しかし、本人が選択できたジョブは【シード】と【裁縫士】の2つのみで生産職になるわけにはいかず思い切って【シード】を選択
同じく学園に来た双子の妹は無事に戦闘系の職業に就くことが出来たため、半分勘当されてしまった
「長くなってしまったがこのような顛末なのだ」
「なるほどな…… それでなんで俺の所に?」
「キ、キセロが人足りてないって言ってたからですの……」
セシーリアの照れた顔可愛いな
「じっと見つめるのは止めて欲しいですの///」
「悪い これからよろしくね リンドウ」
「あぁよろしく頼む」
「じゃあ準備してダンジョン行きますか」
時間は有限だからな
ダンジョンで親睦を深めよう