それぞれのゴールデンウィーク
「ただいまですの……」
学校に来るときは、じいやの来たのに戻るときは、自分で電車を乗り継いで帰ってきましたの
初めての経路に本当に困りましたの……。昨日一生懸命調べておいて良かったですの……
そうして、帰ってきたお家は、いつもの出迎えが無くてとっても寂しく感じましたの
「おかえり!セシーや。元気にしておったか?」
なぜか家の掃除をしていたパ……父様にバッタリ会いましたの
なんでもゴールデンウイークだから、使用人達を休みにして自分で家事をしているとのことでしたの
「父様、マ……母様はどちらにいますの?」
「作業場におるよ。セシーに頼まれたことをやっておるわい」
「父様ありがとうですの。行ってみますの」
父様に聞いた情報を元に母様の仕事場に向かいましたの
キセロのお願いで、とあることの為に母様へ頼みごとをしましたの
返事はしぶしぶだったんですの。顔を合わせるのが怖いですの
コンコン……
「失礼しますの……」
「セシー。待っていたわ。この間はゴメンね。ママ気が動転しちゃってあんなに酷いこと言っちゃって」
そう言って母様は抱きしめてくれましたの。久しぶりに抱きしめてくれた母様は少し震えてましたの
「全然大丈夫ですの。父様と母様をビックリする結果を出して見せますの」
「生産職じゃなくていいの?パパみたいにダンジョンへ潜って回復役するの?」
「そうですの。キセロが強くしてくれますの」
「あらまあ。その男の子に惚れてるのね。進級するための手伝いはするから言ってくるのよ。進級できないと思ったら生産職になるのも有りだからね」
「そ、そんなことないですの///大丈夫ですの。絶対なんとかしてみせますの」
そう宣言して、父様を再度探して実践で使える魔法の技術を色々と教わりましたの。母様はいろいろ準備し終わったら優しく接してくれましたの
たまには遊びに連れて行ってくれたりしましたの。私が”シード”でも凄い成績を出せるように一生懸命応援してくれましたの
この2人の自慢の娘であるためにも、絶対に頑張ろうと思いましたの
★
「ただいま帰りました。父上」
リンドウは帰宅後、荷物を自室へ運び込んだ後、制服のまま自宅の道場へ向かい鍛錬をしている父親に頭を下げる
有名なアタッカーであるリンドウの父親は、自宅に道場を作っている。いくら有名になっても自宅での鍛錬を欠かさず行っており弟子をとっていたりもする
現在は一人で槍を振り、イメージトレーニングをしているみたいだ
「ただいま」
そうぶっきらぼうに挨拶するのは、妹のゼラだ。同じ国立第一特殊学校の”クイーン1組”に所属しているはずの妹だ
”灰魔術師”の職業に就いており、バフ、デバフ、全属性攻撃を操る万能型の職業で非常に重宝される
そのゼラの声を聴いて、父親はトレーニングを辞めゼラの方を向く
「ああ、お帰り。どうだ俺の伝説の記録1日500匹狩りは達成出来そうか?」
「さすがにムリゲーだから。じゃあ戻るね」
ゼラは自分の部屋へ戻っていった。この会話の間私は父と一度も目が合うことはなかった
そうして少しの沈黙が続く。何か話したほうがいいのか……と思ったが何を言ったらよいのかわからない
「リン。セシーちゃんと一緒に進級出来そうか?」
「確実にやってみせます。」
「”シード”のくせにか?せいぜい、我が家の評判を落とすようなことはしてくれるなよ」
「かしこまりました。帰省中父上と手合わせをお願いしてもよろしいでしょうか?」
「1日に1回ならな……道場は自由に使え」
「ありがとうございます。では失礼します」
それから私はすぐに袴に着替え、練習用の槍を使い型の練習や、対人戦のイメージトレーニングを全力で行った
また、キセロがなぜか知っていたスキルの動きなども練習していると時間はあっという間に過ぎた
特に対人戦では、色々な武器のパターンを想像してトレーニングするのは自身の知識が深まりとても有意義な時間になった
「そんなことしても意味ないのにね」
そんな冷たいことを言う妹は魔法使いのため、実家のしごきを受けることなく、むしろ甘やかされながら、のびのびと休暇をとっていた
家庭内の愛情の注がれ方は変わってしまい、正直悲しいし、寂しいと思ったが、今出来ることをやるだけと修行を頑張った
★
「「「おかえりー!」」」
施設の子供たちが俺たちのお出迎えをしてくれる。ここにいる皆は妹や弟みたいなものだ
「ハル兄!あのアニメの再放送やってるよ!」
そう言って見せてきたのは、俺たち3人も見て憧れた物語だった。
片手剣と盾を装備した王国騎士団長と、両手杖から多彩な魔法を放つ魔法師団長、大剣を携えたギルド長とその側近の4人がさらわれた王女様を助けにダンジョンへ行く
そんな鉄板の物語だ。その物語に憧れた俺たちはよくマネをしたものだ。俺たち3人はその時の設定の武器をそのまま使っている
「なつ……」
キルシュとカイがいつの間にか隣にいて、一緒にアニメを見る。
このようなアニメは、内容を変えて日曜日の朝に放送される。あ、女の子バージョンもあるよ
これを見て、皆ダンジョン探索者などダンジョンに関わる仕事を夢に見るんだ
「お兄ちゃん達もこんな感じなのー?」
「うん。そうだよ。」
「カッコイイ!」
「そうだろー!お兄ちゃんみたいになるんだぞ!」
小さい子供に現実を見せる必要性はない。夢を見せてやるのが”お兄ちゃん”の役目だ
アニメが終わり、子供たちと遊んだ後、俺たちはキセロから言われた”課題”をこなすためダンジョンショップへ向かった
俺たちが出された課題は最適な武器種の確定だった。前回のバトルを経てまだ武器を変更しても良いから自分に合うものをとのことだった
「よぉ坊主ども。今日はどうした?」
俺たち3人は、昔よく遊びに来た武器屋へ来た。アニメを見て憧れて実際に武器を見に来るという流れだった
よく高そうな武器なんかに触ろうとして怒られたんだよね……。 それは置いておいて……
「実は特殊学校へ入学できたのはよかったのですが、自分たちに合う武器を探していて…… この前皆ボコボコにされたもので」
「なるほどな。お前たちがどんな武器使っているんだ?」
それから俺たちはゴールデンウィーク中に再度武器を選びなおした
この武器屋では対人戦が出来るほどの裏庭スペースがあるので、何度も対人戦をした
元々探索者をしていた店主さんにも手合わせしてくれて本当に有意義な時間になった
★
私ヒスイはメイと一緒に地元へ帰ってきた。けど私は家には、ほんの少ししか帰らずメイの家で一緒に家事などをするつもりだ
シングルマザーの母親を休みの間は休ませたいという、メイの気持ちに大賛成したんだよね。
実家に寄ってすぐにメイの家へ行こうとしたら、恐い顔をした両親に呼ばれた
「ヒスイ。学校はどうなんだ?”シード”らしいじゃないか。なら学校へいく必要はあるのか?」
「”シード”なら命がけでダンジョンへ行く必要はないんじゃないの?普通の学校へ編入したら?」
「確かに”シード”だけど、メイと一緒なら出来る気がするんだ。正直1年でダメになるのがほとんどって言うから1年だけ頑張らせてください」
私は頭を下げてお願いした。正直なんて言われるか、わからなくて顔を上げることが出来ない
けど、両親の言いたいこともわかる。ダンジョンで無理をして命を落とすというのはたまに聞くのだ
心配しているんだ。けど、やってみたいんだ
「わかったよ。顔を上げなさい。けどダメならすぐ帰ってきなさい。ダンジョンへ入らなくても生き方はたくさんある。」
「パパ……。パパがそう言うなら仕方ないわね。頑張るのよ」
「うん。頑張ってくる」
それから私はメイの家へ向かった。その頃メイの家でも……
「メイ。ちょっとこっちへ来なさい。」
「ちょっと待ってね。2人とも大人しくしててね」
「「はーい」」
そう返事した妹たちが遊びに夢中になったのを確認し、母の待つテーブルへ座った
何か複雑そうな顔をした母親にちょっと驚いた。そうして少し言いづらそうに聞いてきた
「学校はどう?」
「色々あったけど、今は大丈夫。やっていけそう」
「そう……無理はしないでね。ママは大丈夫だから自分のことに集中しなさい」
「う、うん」
その後も心配性なのか色々聞いてきたが、妹たちの突入で中断された
ルインと一緒にいるときはあんまりママに連絡出来てなかったから心配させたのだろう。気をつけよう
それからは、ヒスイと一緒にゴールデンウイークを楽しんだ。なまったりしないように、運動や近くの訓練場を借りて練習したり課題のものを探して図書館へいったりした
毎度見ていただいてありがとうございます
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