チームバトル2戦目
「さあ、何事だったんですの?」
控え室に戻ると、皆の雰囲気が怖かった。俺が悪いことしてるみたいな目で見てくるのはやめてほしいのだが……
なぜか言いにくい雰囲気になりながらも、審判室での内容を話した
「「やったー!」ですの!」
セシーリアとカリーは喜んでたよ
じゃあ、再度作戦会議と行きますかね。
「今回はさっき言った通り、これから入るメンバーのテストだ。しかし、手加減は一切いらない。どれだけ抵抗出来るかを知りたい」
「なるほど。では全力でやるとしよう」
リンドウもやる気満々みたいだし、戦闘狂2人組はテンション上がりすぎて、すごいことになっている
後は、ヒスイだが……何か浮かない顔をしている?
「どうしたヒスイ?」
「いや、私は役に立てるのかなって。皆みたいに強くないし……それにあなた達と一緒に戦う理由はなくなったの……」
「なんだ。そんなことか…… 別に回りを見て落ち込む必要性はないと思うぞ。それに俺はもうヒスイを仲間だと思ってるけど」
ヒスイは驚いた顔をしている。まあ契約だから一緒にいたと思っていたのだろう。だが、今俺たちは人材不足だ
上手く丸め込むのは今だろう……
「ダンジョンへ一緒に行ったらもう仲間ですの!信頼が無いと背中を預けることが出来ませんの!」
「わ、私はこれからも一緒にいていいの?」
「……悪い。珍しくセシーリアが良いこと言ったもんだから驚いてたわ。もちろん一緒にいてくれよ」
ヒスイが涙ぐんでいるが、その後ろでセシーリアの黒いオーラが全開だ……
仕方ないだろう。戦闘狂なワガママ娘としか思ってなかったんだもん……
その両手メイスはしまっておいてくれな
「う、うん。 これからもよろしくね。」
「おう!ヒスイもメイも俺たちの仲間だ!これからよろしくな。 まずはメイに強くなったヒスイを見せに行こうぜ」
それから作戦会議のち、再戦のアナウンスが鳴り俺たちは再度、闘技場へ入場した
ルインのチームは既に入場しており、先ほどと同じ並びで待っている
じゃあ、俺たちも行きますか。今回は俺たちも相手と同じ陣形だからな。キングが俺で4人はポーンだ
「では、チームバトル開始!互いに礼!白手番」
「リンドウ2マス前へ」
リンドウは頷きゆっくりと2マス前へ進んだ。
今回はバフしないのか?正々堂々だからな。純粋にステータス差で勝負するんだ
正直ステータス差もかなりあるけどな……
「ハル2マス前へ」
相手のハルは片手盾に片手剣のスタンダードな戦士スタイルをしている男の子だ
以前俺が手合わせ(訓練)した時は、武器を決めたばかりだったので、ぎこちなかったがどこまで上達しているのか……
初めて戦うであろう槍の対処も見たい
「リンドウ、F5へ攻撃」
その号令と同時にリンドウは槍を構え駆け出した。
元々からマスの端にいたリンドウはすぐにハルに襲い掛かる。
ハルはすぐにリンドウが来るのを予測していたのか、左手に持った盾を前に半身でリンドウの攻撃に対処出来るように構えていた
「甘い!」
リンドウはハルの小さな片手盾では守り切れない足を狙い横薙ぎする
足を動かし避けたハルは前に出て槍の間合いの内側へ入ろうとするが、リンドウが槍を短く持ち構えている盾に向け、突きを放ち近寄らせない
何度か狙いを変えながらダメージを与えようとするが、反射神経が良いのだろう盾を使い直撃しないようにしている
「中々やるな……次は攻撃を見てやろう。かかってくるがいい」
「舐めないでください!後悔……しないでくださいね!」
ハルは基本の型に忠実な攻撃だった。右上から左下へ剣を振り、避けたリンドウを追いかけるように横薙ぎからの突きを出す
基本の型に忠実なのは良いが、対人戦ではフェイントを織り交ぜたり、相手の体制を崩すために攻撃を工夫しないと通用しない
だが、以前より成長しているのが感じられるいい攻撃だった
「リンドウ決めちゃって!」
「覚悟しろ」
俺の声に頷いたリンドウはハルの攻撃を強引に弾き返し、そのままハルの右手首を上から叩きつけ剣を落とさせる
叩きつけた勢いのまま剣をリンドウの後ろに飛ばし、ハルが取れないようにする
「俺だって、このままやられる訳にはいかないんです!俺が……俺が世話になった施設のためにも!」
盾で攻撃を受けながら、徐々に減っていくHPを無視して、リンドウの後ろにある自分の剣を取ろうとする
一生懸命ガムシャラに攻撃を受けているからか、段々と対応出来るようになっている。がリンドウは決して後ろの剣を取らせない
結局、ハルの一生懸命はリンドウには届かず退場してしまった
「白F5攻撃成功!黒手番」
ハルが退場したことを確認してオルクス教官が宣言する
ルインは戦っている間から変わらず、苦い顔をしていた。それを払拭するように大声で次の手を指示する
「キルシュ2マス前へ」
キルシュと呼ばれた魔法使いの彼は聞いて……いたようで、というか一切表情変わらずに2マス前へ出た。なんか無表情すぎて人形みたいだな……
1マス進んでリンドウを攻撃してくるかと思いきや2マス進めてくるあたり、ルインだなーって感じだけどこちらとしては都合がいいのでラッキーだ
まあ、1マスでリンドウを攻撃してこようとしたら返り討ちにしてたけどな。
「セシーリア2マス前へ」
次の対決は魔法職同士の戦いだ。セシーリアはルンルンでスキップ?で2マス進んでいった
スキップだとしたら出来てなかったのは本人には言わないほうがいいだろう……
運動音痴じゃないはずなんだがな……
「やり返せ!キルシュ攻撃!」
ルインの大声が聞こえたのか、キルシュはのんびりと両手杖を構える。魔力を貯め……
「んっ……」
全く貯めずに初弾を打ちこみ、走ってセシーリアとの距離を詰める
初弾を出すスピードはかなり速いし、走る速度も速い……
両手杖のメリットなくない?しかも、初弾はズレてる……
「早いですの!『魔壁』」
セシーリアは魔法を防ぐための壁を展開する。
この魔法は、相手の魔法以外は通過するから魔法使い同士の戦いでないと意味がないが将来のためにも習得させた
そして、セシーリアは攻撃をするために魔力を溜め始める。魔法使い同士で戦う場合は先に壁を作って攻撃するのがセオリーだと思っていたが、この世界ではどうも違うみたいだ
「ん!ん!なんでだよ!」
キルシュは一生懸命に魔法で攻撃しようとしているが、一向に当たる気配がない。当たらないのでセシーリアの魔壁は傷がついてない
段々と当たらないことに対してイライラし、より精度を落としている。絶対に選ぶ武器間違えてるよ……
そんな中、セシーリアは魔力を最大限まで溜め終わる。
「行きますの!『魔力弾』ですの!」
セシーリアの攻撃がキルシュに飛んでいく。キルシュは魔力を溜めている途中で動くことは出来ない
無防備な状態でセシーリアの攻撃を受けそのまま退場していった
「手応えありませんでしたの……」
そうしょんぼりとセシーリアがつぶやく。皆が静まった瞬間に言った一言は全員の耳へ届いた。
まあ気持ちはわからんでもないが、言うタイミングが……ルインなんて顔真っ赤にして爆発しそうになってるぞ
「黒手番失敗。白手番」
オルクス教官が宣言したので、すぐに俺は次の手を指示する
「カーリー2マス前へ」
カーリーもセシーリアと同じくウッキウキで2マス進んでいった。
ちゃんとスキップ出来てたよ。言わないけどね
「カイ2マス前へ」
相手の3人組の最後カイが前進してくる。彼は背中に幅の広い大剣を背負っている。
”大剣士”の職業に就くと大剣自体を盾の代わりにするスキルなどを覚えるが、どのように戦うのだろう……
「カーリー!攻撃!」
カーリーは攻撃開始と同時にカイに接近し……手招きする。
今回の目標は3人の能力を確認することだが、あんな挑発されるとイライラするよな
カイも苛立ちそうになったのか、少し深呼吸し武器を構える。クラ〇ドの赤髪版みたいだな
「挑発の礼だ!くらえ!」
大剣の刃を下に向け、横薙ぎしてくる。切るというより、叩くというイメージで攻撃してきたのだろう
剣の位置も絶妙で、しゃがんでも、飛んでも当たるという位置。
カーリーは後ろに下がり避けるが、すぐに同じ位置に戻る
「こんなものぉ?まだいけるよねぇ」
わかりやすく挑発する。それからもカイは大剣を幅広く使い、カーリーに攻撃を当てようとするが、かすりもしない
そうなってくると、重い大剣を振り回しているカイの方が疲労してくる
カーリーは最小限の動きで避け続けるので全く息が上がってない
「はぁ……しぶとい。せめてもうちょっとアピールさせてください……よっと!」
「まだまだぁ。筋はぁ悪くないかなぁ。」
3人組を見ていて感じるのは、まだまだプレイヤースキルは荒削りだが、ステータスを変に振ったり、余計なスキルを覚えたりしてなさそうだった
まあそろそろ決着にしようか……
「カーリーありがとう!もういいぞ!」
「うれしいわぁ。じゃあ遠慮なくぅ」
カイの攻撃を避け、構えを取らずに全身の力を抜く
『脱力』
無防備に見えるその体勢へ攻撃することを一瞬ためらったカイだったが、大剣で上から叩くように振り落とす。
カーリーに当たると思われた瞬間……
ガキィン
カーリーの拳がカイの大剣に当たり、弾き返される。
その勢いで後ろにのけぞるカイの足を払い尻もちをつかせる
そこからは一瞬だった。マウントポジションにし、フルボッコにしていた。HPバリアがあるから顔が腫れないのは救いだろう
「白攻撃成功!黒手番」
ボコボコにされたカイはすぐに退場してしまったよ……南無。
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