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怒涛の一日目(後半)

職員に手を引かれた俺は学校の端の方へ連れていかれる

途中までは舗装されている道路であったが今は森の中の獣道の上を歩いていく

すると、ボロボロな洋館が2棟出てきた


「お前らの新しい学び舎だ 手前の扉に入れ」


入った建物のすぐの扉が開いており中に入る

教室のような場所にボロボロな椅子と机が並んでおり見知らぬ人達が座っていた


周りにいる人達の顔は皆落ち込んでおり生気が無いように感じる

泣いている人もおり時折鼻をすする音が聞こえるくらいだった

少し気まずくなり時計を確認すると15時になろうとしている所だった


この雰囲気の中で親睦を深めよう!なんて言えるはずもなくもどかしい時間がただ流れていく

そうして教室に一人また一人と入ってきて30分後にはほぼ満室になった


「全員いるなー」


ぼさぼさな髪の髭を生やした大人が入ってきた


「男子4人女子28人の計32名。全員いるみたいだな ようこそ夢破れし者”ポーン組”へ」


夢破れし者?確かにポーン組は一番下のクラスだ

ポーン→ナイト→ビショップ→ルーク→クイーン→キング……のようにランクが上がる


「ここにいる者は皆”シード”にしか就けなかったものだ」


シードにしか就けなかった?何が悪いんだ?


「隣の教室も含めて今学年64名の落ちこぼれだ 3年間この離れで寂しく過ごせばいい 3年も過ごせればな」


先生はかなり非情な事を言うなと思ったが、話が進むにつれ周りのクラスメイトの雰囲気も更に重たくなっていく

それから様々な注意事項や内容を説明された

内容としては以下の通りだった


・隣の建物は寮になっているため自分の荷物がある部屋で寝泊まりすること その他学校設備の案内

・初級ダンジョンをクリアしないと進級できないこと そのための装備は初心者武器防具が各部屋にあること

・8時に授業を開始し16時に授業が終わりその後は自由

・土日は自由 月の第3週目は完全に自由であること


「以上だ 諸君のうち何人が進級出来るかな? まあ精々頑張れや」

これを伝えると先生は教室を出ていった

そのまま誰も話することなく一人また一人と寮に向かっていった

俺も寮に移動し貼り紙を見つけた 202号室だそうだ行ってみよう


「ボロボロだな……」


不意にそんなことが口に出てしまうくらいボロボロであった

古いベットに傷だらけのロッカーと木で出来た机と椅子、3点ユニットバス

部屋の端にはカーテンがあり、無理やり部屋を区切っているような気がする


「とりあえず片付けるか」


持ってきた荷物を整理していると少し開いたカーテンの奥からすすり無く声が聞こえてきた

ここに来た時には輝かしい未来を夢見ていた少年少女が一日にして地獄のような最底辺の扱いをされているのだ

気持ち的に堪える部分があるのだろう


ゲームの時は最初見向きもされなかったけれど、こんなに酷い雰囲気ではなかったのだが…… この世界での”常識”を全然知らない俺は皆に完全に同意できない

よってイルマを呼んで話を聞いてみることにした


「ゴメンね 待たせた?」


「いや俺もさっき着いたばかりだから大丈夫 むしろ時間作ってくれてありがとう」


場所を移して学校内の有料食堂”トラットリア”の個室で一緒に夕食を食べながら話を聞くことにした

ポイント(お金の代わり)を払わないと防音の個室へ入ることは出来ないのだ……

上のクラスの寮には防音個室のラウンジがあるのだが関係者以外立ち入れないし……


「全然いいよー 祝福のポイントをどのように振り分けようか考えていたから」


シード以外の職業に就くとステータスを上げるポイントを60 スキルを覚えたり強化したりするポイントを25ポイント入手することが出来る

シードは貰うことが出来ないが成長すると皆と同じ職業に就くことが出来るんだよな……


「そういうのも授業で習うのか?」


「今日そうやって聞いたよ! だから不用意に振り分けはしないんだけど、どんなスキルがあるのか気になって……」


「まあ気になるよな 俺も”シード”で大量にスキルあるから何を振ったらいいのかわからなくて」


「でも”シード”って祝福のポイント無いよね? しかもレベルを上げたとしても普通の職業に就いた人よりポイント貰えないから強くなれないって聞いたけど」


「強くなれない?」


「そうだよ だから最弱だし、育成にも時間もかかるのに恩恵は無し。これをハズレって言葉以外では表せないでしょ?」


衝撃だった 強くなれない?そんなことはない つまり、この世界では”あれ”が発見されてないということだ

それは確かにラスダンを攻略するのは少し難しい……かなり難しいけど事前準備が出来たらいける

RTAなんかではシード以外の職業で先に進めてパワーレベリングして、仕様というかバグで操作キャラを変更する方法でラスダンまで制覇するから結局”あれ”は必須みたいなもんだ


「まあ俺についてはゆっくり考えるよ ハズレでも仲良くしてくれてありがとう 今はとりあえずイルマの”ルーク組”になれたことを祝して乾杯!」


「べ……別に幼馴染だから仕方なくよ ありがとう! 乾杯!」


その後色々な話で盛り上がり食事を食べ解散したものの最低と言われてる職業についたのに仲良くしてくれるイルマには感謝だ

その帰り道に俺は決めた 最低だと思われていた職業を使って絶対にこの世界を変えてやると

帰ったらそのための計画を作ろうと心に決めて自室へ帰ったのだが……


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