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サクリファイス学園 ー最底辺クラスの俺たちは“知識チート”で盤面を覆し昇格するー  作者: 神楽坂遊月
サクリファイス学園入学

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ヒスイとメイ

「そのチームバトルに勝って、契約の無効化をお願いしたいんです。私では力が無くて取り戻せそうに無くて……」


そう言うと、ヒスイは俺に向かって深々と頭を下げた

なるほど……親友が酷い条件で契約しているのが、よく思っていないのだろう

まあ、誰だってそうだろうな。俺だって殴り込みに行くくらいヤバいよ。けどな、俺たちも慈善事業という訳にはいかない。


「分かった。それをルインに提示するなら、俺たちも対価を差し出さなければならない。けど、それを俺たちから差し出すのは違うと思うんだ。何を出せる?」


チームバトルはあくまで平等だ。各個人の能力差はあったとしても戦術で覆せる可能性は大いにある。

賭けをする際にも対等な条件を出し合わなければならない。

ヒスイさんの気持ちもわかるが、契約の無効化に見合う条件を俺たちが出すのはお門違いというものだ


「あ、あの私を自由に使って下さい!何でもします!」


ヒスイちゃんが俺に対して大声でそう宣言する

それだけその親友のことが大事なのであろう


「何でもって言ったな?」


「そんなに鼻の下伸ばして……変態ですの!」


「あぁ、言い方がイヤらしいな」


そんな下品な言い方したかな?セシーリアなんて黒いオーラが出てるぞ……

リンドウもそんなに怖い目で俺を見ないで……

ヒスイさんも引いてる!自分で言ったことじゃん!


「イヤらしいことじゃないぞ!条件は2つだ」


・ヒスイはこのバトルに参加すること

・そして、契約無効化の条件として、ヒスイ自体を賭けの対象とすること


「紛らわしいですの!イヤらしいこと言うと思いましたの!」


「俺はそんな変なこと言わないぞ!君らの勝手なイメージすぎるだろ!……ところでヒスイさんはこの条件でどうだ?」


「私は、特に問題ないですが、本気で戦ってくれますか?」


ヒスイは不安そうに俺たちを見る。

きちんと話するのが初めての相手に自分と親友のことを賭けるのだ。正直不安で仕方ないだろう

返事をしようとすると、リンドウがヒスイさんの肩に手を置いた


「私達も、自分のリーダーを侮辱されて、叩きのめしたいと思っていたところだ。そうだろう?セシー・カリー」


「もちろんですの!ボコボコにしてやりますの!」


「うちもぉ、とことん後悔させてやるんだぁ」


うちの戦闘メンバーのカッコイイ宣言を聞いて、ヒスイさんは泣き出してしまった

安心して泣いたのならいいんだけどな……


「ご迷惑おかけして申し訳ありません。また明日ご連絡します」


泣き終わったヒスイさんは丁寧に謝った後、チームハウスを後にした。

さて俺たちは時間少ないけどダンジョンへ向かいますか!

そう俺たちがダンジョンへ出発している中、ヒスイはまだ泣いていた


「私にもっと力があればな……」


私はヒスイ。第一特殊学校の1年シード2組に所属している。

たった今、大事な親友を守るために一緒のクラスのリンドウさんに協力をお願いをして、話し合いが終わったところなんだ


無事に協力をしてもらえることになった安心感と、私に力があれば、自分の力だけで解決出来たのにという悔しさとで涙が止まらない

周りからは元気な子だと思われることが多いし、元気な面しか見せてないつもりだから、こんな姿は見せたくなくて、チームハウスの裏でうずくまって泣いていた


「ヒスイ……どうしたの?」


メイとバッタリ遭遇してしまった。こんな姿は見せたくなかったのに……

慌てて涙を拭いて、メイに泣いていたのがバレないようにする。目が腫れたりしてないかな?鏡がないから確認できないけど……


「大丈夫だよー!メイはこんな所でどうしたの?」


「私はダンジョンからの帰り……だよ」


「そうなんだ!一緒に帰ろう」


メイと一緒に寮へ向かって歩いて帰る。中学の時からずっと一番楽しみで大事な時間なんだ。

元々私とメイはこんなに仲良しではなかった。あれは中学1年生の秋のこと……


「ヒスイー!帰ろー!」


「ちょっと待ってて!」


小学校から一緒の同級生が声をかけてくれる。せっかく中学生になったにも関わらず、秋になっても小学校からの友人との付き合いが多かった

私は急いで忘れ物がないか確認し、自分の席を立ち友人の待つ場所へ歩いている途中で、まだ席に座って本を読んでいる女の子がいた

普段だったら気が付かないけど、今日はなぜか気になって、その子が読んでいる本をチラ見してみると……


「それ!」


思わず声を出してしまった。つい昨日読んだライトノベルの神挿絵のページだったから。

慌てて口を手でふさいだけど、本を読んでいた子も驚いて小さくなってしまったし、注目を集めてしまったので友人のもとへ急いだ

一緒の趣味を見つけてしまってテンションが上がるのは、ヲタクにとっては不可抗力なんだもん……


「ごめん!お待たせ」


「遅いよー」


友人と合流し一緒に帰ったが、私の頭にはあの子と仲良くなるためのシュミレーションで上の空だった

帰ってからも何度もシュミレーションした次の日の昼休み

授業が終わった瞬間に昨日の女の子、メイちゃんに話しかける


「昨日はごめんね。もし良かったら一緒にお昼どう?」


メイちゃんは私の方を見て少し固まっていたが、頷いて昼ご飯を食べようと一緒に屋上へ向かった

最初は何気ない会話から仲良くなろうとしたんだけど、あんまりいい返事が来なくて戸惑ったんだ

けど、昨日のラノベの話を始めた瞬間に、めちゃくちゃ早口で話し始めて驚いたけど、面白い子だなって


それから、ラノベの話だけじゃなくて様々な価値観が一緒で親友と呼べるようになるまで時間はかからなかった

クラスの他の人とも友人にはなれたが、本当の親友はメイだけだった

そして、2年が過ぎ中学3年の夏休みが終わり2学期に入った頃、メイから急に呼び出された


「あ、あのね。第一特殊学校に行こうと思うんだ」


「凄いじゃん!結果出たの?」


「うん。だから家族のためにも頑張ろうと思って……」


メイの家はシングルマザーで、しかも年の離れた双子の弟と妹がいる。

私と会うちょっと前に父親が亡くなって、家のことを手伝ったりしてたから、私も部活が無い日は手伝いに行ってた

メイ自身も高校生になったらバイトするって言ったし……


「凄いじゃん!応援してるよ!」


そう言った日からメイは一生懸命体力作りを頑張っていた。弓道部の私にもアドバイスを求めてきたりして本気なんだなって

そんな姿を見て、将来のことなんて考えたことなかったけど、たくさん考えて私もメイと一緒に第一特殊学校へ行くことにしたんだ

メイは家族を助けるために、私は頭が良い方ではなかったけど運動は出来たからチャレンジしてみようと思って、もし一流の探索者になれたら一獲千金だし!


「む、無理に合わせなくていいんだよ……ヒスイはやりたいことないの?」


「無理してないよ!私がそうしたいの。一緒に頑張ろ!」


メイは入学するギリギリまで私に無理してないのか聞いてきたけど、たくさん考えた結果だったし後悔は無かった。中学生の私には将来のことを考えるなんて難しかったし……

そうして入った学園では、二人揃って”シード”になっちゃって、落ち込んだけど体力作りは欠かさなかった

努力は裏切らないっていうし!そうして、自由週間の時にアーテー教官から言われた一言は特に心に残った


「よく頑張っているわ。けど結果が出ていないようね。」


「そうなんです。弓道の時と同じようにやっているつもりなんですが……」


「そうなのね。質の伴う努力には結果は必ずついてくるわ。今回は弓道と同じように魔法弓を使ってはいけないという結果が出たのよ。アプローチを変えてみなさい。洋弓を使って和弓の方法をとってたら上手くいくわけないもの。努力に対して結果は出るのだから、方向性を間違えないようにね」


それから、弓を交換したことによって思い通りの結果が出た私は自由週間の間にダンジョンへ入る許可を得ることが出来たんだけど、メイは自分に合う武器を探すのに苦労しているみたい

結局、2.3種類に候補を絞って終わっちゃった。日々少しずつ焦っているのは気づいてはいたんだけど、あんまり私の声は聞こえてないみたいで時間が解決するのを待ってしまったんだ


「私、ルイン君について初心者ダンジョンをクリアしてくる。5月にはクリア出来るって」


自由週間が終わった次の日、メイが急にそんなことを言った。初心者ダンジョンを”シード”がクリア出来るのは早くても9月だと言われている

そこから初級ダンジョンをクリアしようと頑張っても初級ダンジョンの方が、難易度が高くクリア出来ずに進級できないというのが一般的らしい

それを4月、5月のうちにクリア出来るのは破格の条件だと思う。そんなに都合のいい話があるんだろうか?


「そんなにいい話があるの?裏ありそうじゃない?」


「実は……って条件をだされてるんだけど、進級できないよりいいかなって。家族のためだもん」


「それって半分奴隷みたいなもんじゃない?やめときなよ」


「ヒスイにはわかんないよ……私はこうしてでも進級しないと……だからこれからはあんまり一緒にいられない」


親友がおざなりに扱われるのを黙ってはいられないと思って、止めたんだけどメイの目は真剣だった。けどこんなの間違ってる。

なんとかしなくちゃと行動した結果同じクラスのリンドウさんがメイのいるチームとバトルすると聞いてお願いしに行ったんだ

私が、初心者ダンジョンを簡単にクリア出来るような”職業”に就けたら、こんなことにならなかったのに……それからは知っての通りだ


「メイ。絶対に助けるね」


そう私は強く誓った

毎度見ていただいてありがとうございます

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