その後の自由週間と・・・
3階層でエンカウント出来るさんぽキノコは全部倒し終わり、ゲームとリアルの違いを実験してみた
再度エンカウント出来ないのかなと30分程歩いて回った。しかし、再度エンカウントは出来ず階層を戻ってみたりもしたがやはりダメだった。その辺の仕様はゲームのままだったよ。
4階層に行くには少し準備不足のため、一度帰還すると……
「帰ってきたか……どうだった?」
オルクス教官が待っていた。俺たちが無事に帰ってきたのを確認し、少し安心したように感想を聞いてきた。
「3階層で切り上げてきました。4階層に行くには不安で……」
「”毒”か。きちんと勉強はしているみたいだな。じゃあ訓練場へ行こう」
4人とも訓練場に連れていかれ、訓練させられた。この世界でもダンジョンは1日に1回という常識みたいなものがあるからな
訓練の内容は、自由とのことだったので対人戦をメインに練習し、夜は再度集まることにした。
「よし、全員集合したな」
チームハウスに全員が集合している。エイルとカリーは初対面だったので、互いに紹介したのだがエイルは、すっごい挙動不審になっていた
男1に女4……男子ください……
「ダンジョンに1回しか潜れませんでしたの!不満ですの!4階層はまだ行きませんの?」
セシーリアが不満を言った後に、媚びるように俺の方を見る
そんな顔をしても、何も出ませんよ!
「私もそう思っていた。もしかして教官が言っていた”毒”というのが関係するのか?」
「その通りだ。”毒”について説明するぞ」
この世界にも状態異常は存在する。状態異常は種類多めに設定されており掛かりやすい物とそうでない物がある
特に”毒”はかかりやすい状態異常であり、対策が必須だ
”毒”にかかったものは時間経過で固定ダメージを負うし、HPバリアも消し飛ぶため要注意なのだ。現在のHPなら一瞬で戦闘不能だ。
「それは危険ですの……。確かに4階層はまだ早いかもしれませんの」
「そのために今日、エイルに来てもらってるんだ。回復薬作りは順調?」
「ま……まだ自信はないけど、高品質は少し出来ました」
「高品質ぅ?冗談……じゃなさそうねぇ」
カリーは疑いの目をエイルに向ける。高品質を作った時カリーはまだいなかったが、俺たちの反応を見て嘘ではないと察していた
エイルは自信が無さそうに、作った回復薬を袋から出し机に並べた。途中で机が埋まったので出すのをやめてもらったが5本高品質が入っていた。
「ま……まだ作ったのはありますが、高品質はこの5本だけです」
「凄い頑張ってるよ!ホントに助かる!それで次は解毒薬を作って欲しいんだよね」
「で……でも素材が無いです」
解毒薬を作るのに必要なものが”毒草”シリーズなのだが、この毒草は初心者ダンジョンの中では手に入らない。
ゲームでは、生産棟に併設されている売店で入手することが出来る。しかも効果は『使うと”毒”状態になる』だったから安くで買えたものだ
初級ダンジョンからも入手可能だが、現時点では採集するまえにHPが0になってダンジョンから吐き出されて終わりだろう
「生産棟で手に入らないか?」
「そ……それが新入生のダンジョン攻略で、げ……解毒薬が大量に必要だったから、つ……追加で報酬出して上級生に採ってきてもらってます」
「お値段が凄いことになってたり?」
エイルがゆっくり頷く。これは想像してなかった。正直そんなことになるなんてな……
ということは、初心者ダンジョンのクリアは入荷しだいだな……
そこまで長くは続かないだろう。それまでに出来ることをやろう。
「さっきも言った通り、”毒”になるとかなりやっかいだ。エンカウントを減らすことは出来るが完全に0に出来る訳じゃない。だから手段が見つかるまでは3階層までだな」
「攻撃を受けなければいいじゃないですの?」
「残念ながら、攻撃しても毒になるんだよ。確率は下がるけどな」
4階層に出現するのはミルクフロッグ。名前の通りカエルだ。
体中を粘液が覆っており、その粘液に毒性があるため魔法攻撃じゃないと毒になる可能性がある
攻撃は基本粘液を飛ばしてくるだけだし、予備動作もあるから避けることは可能だ
「なんかお預けされているようでイヤですの……」
「ダンジョンで全員が戦闘不能になると、使ったアイテムは戻らない上に、採集したものやドロップしたアイテムは全部没収されるし、経験値も没収されるからデメリットの方が大きいんだよな……」
「むぅ……しょうがないですの……」
そんな感じで話し合いを終了し、解散した。
その後の自由週間は毎日1回ダンジョンに潜り、終わったら戦闘訓練をする日々を送った。
俺たちの2日後にはダンジョンに入る人も増え、全体的に暗かった雰囲気も少しずつ前向きになってきている気がする。
前向きになることが出来た人をチームに誘ってみるのもありだろう……
「今日までよく頑張った。貴様らにしては進歩した方だろう。これからも一生懸命に励め」
「私から直々に魔法を教えたんだから、1人でも多く進級してみせなさい。過去進級出来たものは1%未満だけど……」
最終日の最後にはオルクス教官と、隣のクラスの担任であるアーテー教官からありがたい?言葉を頂いた
オルクス教官は国のトップクラスパーティの元盾役で戦闘不能状態になったものの、後衛を務めていた奥さんを守るために怪我をして療養中の所期限付きで教官に
アーテー教官は”魔力回復障害”という1日に回復するMPが減少する病になり、プロチームを引退しているというかなりの経歴の持ち主だそうだ
「では解散!」
オルクス教官の号令で俺たちの自由週間は終了した。
戦闘不能になってる3人組もいた気がするけど、クラスとして成長することの出来た良い日々ではあった
しかし、拘束されるのも大変なので早めに初心者ダンジョンをクリアするために頑張ろう
自由週間明けの初登校日……
やっと自分たちのペースでダンジョン攻略を目指せるようになる
そう思っておりました。放課後になるまでは……
「今週より全員の面談を開始する。そしてキセロは最初だ」
まさかの俺!?なにか悪いことでもしましたでしょうか?
隣の席にいるセシーリアから怖い視線が刺さっている気がする……待って、俺のせいじゃない……
そうして俺は逃げるように教室を後にした。
「えっと……なんで俺が最初なんでしょうか?」
「お前が1番手短に済む。そして、返答次第ではお願いをせねばならんことがあるからだ」
何を聞かれるのだろうか……悪いことはしておりません……
しかも、オルクス教官からお願い事?恐怖しか感じませんが?無音の環境のせいか心臓の音がやけに大きく聞こえる
恐怖で生唾を飲む。その音が聞こえたのだろうか。オルクス教官が口を開く
「まず、お前いや貴様らのチームは何を目指している?」
「何をと言われましても……どのように答えたらいいのか分からなくて」
「そうだな。今年の目標は決まっているのか?」
今年の目標か……正直決めてなかったけど、やはりゲームで最速クリアを目指すのは難しそうだけど、デッドラインのギリギリなんて綱渡りはしないようにしたい
安全マージンって大事だよね。とりあえずで答えとくか……
「まだ決まっては無いのですが、初級ダンジョンをクリアして中級ダンジョンにも入れるようにしたいですね。チームランクはビショップ目指してます」
「大きく出たな……正気か?」
「本気です。出来ると思ってます」
オルクス教官はじっと俺の方を見る……怖いよ。いつもより険しい顔してるし
互いに何も話さないせいか、時間がやたら長く感じる……
何か話した方がいいのかと、口を開こうとした瞬間にオルクス教官はなにか覚悟をしたような顔をした
「お前の気持ちは分かった。ではお前に紹介したいものがいる」
「紹介したい?」
「俺が長く世話になっている武器防具の鍛冶師がいてな、その息子がこの学園にいる。そいつの面倒を頼まれいるがお前に任せようと思う」
「なぜ自分なんでしょう?」
「お前は平然とした顔をしているが、”ポーン組”の”シード”でこの時期にチームを作り、固定でパーティを組んで攻略を始めるなど過去1度たりとも聞いたことがない」
「そうなんですか?」
「俺がこの仕事に就職が決まった時、過去の資料を読んだ。過去に”ポーン組”で3年生になったものはいない。皆ダンジョンを攻略できないからだ」
ポーン組、つまり”シード”になって卒業はおろか、3年生になった人もいないらしい。
その組に所属する人が1年で才能の差を埋めようと言うのだ。正気か疑うのも仕方ないか……
いや、自分の教え子を正気か疑うのは変だと思う。傷ついていると思うぞ。慰めてくれ。
「そんな奴の中で唯一同級生を率いて行動を起こし、死んだ目をしていない。なんなら普通の1年生と同じ目標を掲げる落ちこぼれに落ちこぼれを紹介しようと思ってな」
「わかりました。まあ出来ることは頑張ります」
「じゃあ、生産棟に行って……」
そうして面接も終わったので、俺は生徒指導室を後にした
面接を生徒指導室でしたら緊張するだろ……
毎度見ていただいてありがとうございます
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