押しの強い戦闘狂お姉さん?
「止め!休憩!」
オルクス教官の号令で女の子との模擬戦を終了した。
正直、強かったよ。ステータスさえ強ければ何とかなるって思ってたけど、本人の技術も大事だなって感じたよ
スカウトする時に本人の技術も考慮しないとなって思った
「キセロちゃん。自己紹介してなかったわねぇ。うちはカリーといいますぅ。よろしくねぇ」
休憩していたら先程まで模擬戦していた女の子が話しかけて来た。
舌足らずというのか、甘く色気のある声をしている
改めて見ると、足は凄い長くスタイルもいいため世が世なら高嶺の花なんて呼ばれていたかもしれない。いや今も呼ばれてるのか?
「こちらこそよろしく。強くて驚いたよ。」
「それはうちもよぉ。ダンジョン……入ってるんでしょ?」
「そうだね。チーム作って入ってるよ。カリーさんもダンジョン入ってるでしょ?」
「もちろんよぉ。強い敵と戦うのは好物だもの。あの緊張感がたまらないのぉ」
カリーさんはまさかの戦闘狂か?
まあ戦闘狂が悪いという訳ではないよ。うちのチームにもダンジョン狂いるし……
おっと、強烈な視線と悪寒を感じるよ……
「ダンジョンは1人で行ってるのか?」
「そうなのよぉ。うちすんごい寂しいのぉ。キセロ強いから一緒に行って欲しいわぁ。」
ここが勝負と言わんばかりにグイグイと距離を詰めてくる。当たってる!何がとは言わないが当たってるよ!
首を縦に振りそうだったが、ここで安易に頷くとセシーリアに本気の両手メイスでやられかねない……あえて漢字では表記しないでおこう。つまりはそういうことだ。
さて、どうやって先延ばしにしようか……
「私のリーダーを誘惑するのは止めてくださいますの」
セシーリアが俺とカリーさんの間に割り込んで来た。
今だけは天使のように見えるよ。顔は般若みたいだけど……
「あらあらぁ可愛い彼女さんねぇ。彼氏くんが心配で駆けつけちゃったの?ダンジョンに誘ってるだけで取って食べようなんて思ってないわぁ」
「な、ならいいですの。私も一緒に行きますの。」
勝手に決めないでー!自由週間中のパーティは俺たちでは決められないから!
しかも、少し赤面しつつ満足気なのなぜ?そんな場面じゃないんだよ?
誰か……助けて……
「貴様ら、余裕そうだな…… 訓練再開だ!別の人と組め!」
オルクス教官のお陰で、地獄のような雰囲気から逃げることが出来たよ……
急いで隣のクラスメイトの男子を捕まえて、相手してもらった。
「えっ……俺っすか?」なんて言ってたのはフル無視したよ。ゴメンな。生死がかかっている気がしたんだよ
ハルと名乗っていた彼は、俺と同じ片手剣に盾を持つスタイルだったから凄い勉強になったよ
入校前から地元の道場に行って訓練していたみたいだ。しかも教えてくれたのは元探索者だそうだ。
「訓練止め!夕食及び入浴後、制服で寮の前に集合しろ。解散」
その言葉を聞いた瞬間に全力で逃げたよ。何者かに狙われている感じがしたんだよね……
他の人が入浴してから食事にすると睨んで、先に食事へ行くと誰とも会わなかったぜ。セーフ
制服を着て寮の前に出るとオルクス教官と数人の生徒がいた。
「キセロ。こっちこい」
なぜか教官に呼ばれた……俺何か悪いことしました?
思い当たる節は全くないが返事をし、ドキドキしながら移動した
「貴様らはもうダンジョンへ入っているだろう?」
「はい。入ってます」
「今日までの訓練を見て、貴様とセシーリア、リンドウ、カリーは明日からダンジョンだ」
やはり、ダンジョンに入ったことのある人は合格ってことか……
俺の場合、ステータスに頼り切った所はあるけどな
「分かりました。ありがとうございます。」
「正直、お前に関しては技術はイマイチだったが、ダンジョンへ入り戦闘不能になっていないことを評価した。頑張れよ」
オルクス教官は厳しいし、憎まれ口を叩くことも多いが、実はいい人なのか?
なんだかんだ言って心配はしてくれているみたいだし……
「ありがとうございます。教官って優しいですね」
「トラウマになって学校辞められると俺の評価が下がるからな」
スーパードライだな……やはり、評価が下がるのは良くないよな……
なんて話をしていたら、クラスメイト全員が揃い教官の所に明日ダンジョンへ入る4人が紹介された
それ以外のクラスメイトはまた明日訓練場で訓練。俺たちは9時にダンジョン入口とのことだった
その後もう少し、個人への評価なんかをオルクス教官から伝えられ解散となった
俺も明日のために帰ろうとすると不意に手首を掴まれた
そっと振り返ってみると……
「どこに行こうとしておりますの?」
終わった……セシーリアが般若顔で手首を掴んでいる。跡が残りそうなくらいの力が入ってる。
凄い痛いんだけど、あなたの物理攻撃のステータスは初期値ですよね?
そのまま引きずられるように、ギルドハウスへ向かった。無言のままリンドウとカリーも一緒に来ていた
「さて、デレデレして気持ち悪かった理由を説明してもらいますの」
「そんなことはないぞ?」
「そんなことありましたの。メイスで殴打したくなりましたの」
セシーリアが可愛らしくプリプリと怒っている。怒っているはずなのに可愛いんだが口に出すとヤバいのは知っている
さっきから助けて欲しいとリンドウをチラチラと見ているが、しっかりと無視されるの地味に心に来るよ
そして、カリーはなぜついてきた?
「セシー。さっきからずっとみっともないぞ。明日のダンジョンの話をするためにきたんだろう」
「でも!「でもじゃない!」ごめんなさいですの……」
セシーリアが怒られた子犬のようにシュンとしちゃったよ。
垂れた犬耳が見えるのは幻覚だろうか?とそんなことを言っている場合ではない
「カリーに聞くんだが、レベルとどの階層まで潜ったのか教えて欲しい」
「うちはレベル3で初心者ダンジョン3階層までいってるのぉ。キセロちゃん達はどうなのぉ?」
「俺とセシーリアはレベル7、リンドウがレベル5だ。階層は一緒だな」
「3階層まで行くとぉダメージは受けないけどぉ倒すのに時間がかかってしかたないのぉ けどぉ1回しか潜れないからぁもっと強い敵と戦うには我慢するしかなかったのぉ」
なるほどな。1日に複数回潜るのは常識じゃないってことか。
技術のみでここまで来たってことか……プロを目指している中学生が大人と戦うようなものだな
「なるほどな。俺たちについてきたら階層の更新は出来る。進級も問題なく出来るだろう」
「うちは正直ぃつよいひとと戦いたいのぉ。最上級ダンジョンにはまだ見ぬ強敵がゴロゴロいそうなのぉ。だから絶対にぃいきたいのぉ」
「なるほどな。俺は賛成だし”シード”であることを見返して学園のトップに立ちたい。二人は俺の意見にどう思っている?」
ここまで大人しく聞いてくれていたセシーリアとリンドウに聞いてみる
リンドウにはきちんと目標を聞いてなかったし。セシーリアは聞いたけど……
「私のパパとママは有名人ですの。2人にたくさん期待されてここに来ましたの。もう失望されてしまっているかも……しれませんが……絶対に、絶対にトップへ行きますの」
セシーリアが言葉に詰まり、泣きそうになりながら、しっかりと宣言した。
俺の心にもぐっとくるものがあった。絶対に叶えてあげようと強く誓った
「私も父は有名な人だ。この学園に入るまで双子の妹より優先して育てていただいた。けど学園に入り”職業”のせいで立場は逆転しほぼ絶縁状態になった。しかし、恩義のある大好きな父に教わったことは間違いではなかったと私自身で証明して見せる。そのために出来ることはなんでもしてみせる」
「2人の気持ちは凄い伝わったよ。俺は”シード”の立場をひっくり返すために。セシーリアは両親の期待に応えるため。リンドウは父の恩に応えるため。カリーは強者と戦うため。皆の動機はバラバラだが、トップに立ちたい。強くなりたい。という気持ちは変わらないはずだ。どうだろう?カリーをチームに入れるのは」
「賛成ですの」「私も賛成する」
「嬉しいわぁ。よろしくねぇ」
ということで皆仲良くなれそうだ。明日以降のダンジョン攻略も問題ないだろう。
後は役割だけど……魔法使いが欲しい……まあ贅沢は言ってられないな。
「明日のダンジョンについて話をしようか……」
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