学園最高の戦を見に行こう
なんとかセシーリアをなだめ、2階を無事に攻略した
その後解散し、1人で生産棟へ行きドロップアイテムを全部MP回復薬(微)とその制作費にあて寮へ帰宅した
次の日も3人でダンジョンへ探索に行き3階層まで足を伸ばして3往復し土日の1日中潜れる準備をして解散した
まだ少し不機嫌だったセシーリアも1日中ダンジョンに入れば機嫌が治るだろう
と思っていたが急に生徒手帳が震え始める
この生徒手帳はスマホのようになっており、チャットツールや校内ネット掲示板、学園ニュースなど様々なものが見られる代物だ
こんな夜になんだろうと思い確認すると緊急の学園ニュースが流れてきていた
『1年生クイーン1組がキング3組に宣戦布告』
と特大の見出しがついていた
内容を確認すると明日の午前10時より第7闘技場にて試合開始とのことだった
「こんなに早くクラス対抗戦をするとは……」
正直驚きはしたが対抗戦を見るのはいいかもと思っていると
『学園のトップが入れ替わるか?グランドマスター戦勃発』
と学生手帳に再度通知が届いたので確認する グランドマスターはチームランクの最高位だ
同じく明日の12時から第1闘技場にて試合開始とのことだった
両方を見る必要がないとは思うが2人には聞いてみよう
コンコンコン……
急に部屋の扉がノックされる こんな夜遅くに誰だ?
恐る恐るドアの方へ向かうと、後1歩のところで扉が迫ってきた
急だったので躱すことが出来ず……
ガツッ
鈍い音と同時に頭に激痛が走った HPバリア仕事してくれよと願ったが鈍痛は取れずその場にうずくまった
「なにしてるんですの?キセロ」
声のした方を見ると不思議そうな顔をしたセシーリアと痛みを想像したようなリンドウがそこにいた
痛みを我慢し、二人をベットの上に座ってもらうように誘導する
「それでこんな夜中にどうしたの?」
とりあえず痛みを紛らわす為にも、話を始める
「私もわかってないのだ 急にセシーが来たかと思えば引っ張ってこられてだな」
「そんなことはどうでもいいですの 明日の件についてお話を聞きに来ましたの」
「明日……?」
明日のダンジョンのことだろうか? 特にいつも通りだから話することは何も無いのだが……
「クラス対抗戦とグランドマスター戦のことですの」
「生徒手帳見たの?」
「そ、そ、そうですの」
酷く動揺している……なぜだ?
まあ俺も話しようと思っていたところだからちょうど良かった
簡単にこの2つのことを2人に説明した
「プロなどで見たことは何度かあるが、やはり私は学園のトップを見てみたい」
「私もですの」
という意見のようなので明日はグランドマスター戦を見に行くこととしよう
「そういえば2人はなんで1年生のクラス対抗戦をこの時期にやるのか知ってる?」
「強いチームにアピールする為であろう スカウトの判断材料になる」
なるほどな ゲームじゃ自分のチームしか操作出来ないから考えてなかったわ
既にあるチームに入る際は掲示板のメニューから色々やって待ち時間がかかる
しかも100%入れるわけじゃないという仕様だったからだいたい自分で作るんだよ
「じゃあ明日は午前中ダンジョンいって昼から観戦だな!」
そう宣言するとセシーリアの目はキラキラしていた
「明日1日楽しみですの 全力で楽しむためにおやすみなさいですの」
「では私も失礼する おやすみ」
そう言って2人は帰って行ったので明日の準備をして寝た
待ちに待った土曜日だが、前日楽しみすぎて寝られなかったセシーリアが遅れてきたので3階層までを2往復しか出来なかった
1人で生産棟に行っている間に、2人には席を取りに行ってもらった
観戦している間に作製をお願いして終わり次第スムーズにダンジョンへ行くためだ
ー闘技場ー
この”サクリファイス学園”のコンテンツの1つでもあるクラス・チームバトルを行う場だ
クラスバトルについては置いておいて、今日はチームバトルだ
俺らもチームバトルをする必要がある。その勉強にはちょうどいいだろう
「キセロ!こっちですのー!」
満席の熱気に試合前の独特な雰囲気がする闘技場に到着すると、セシーリアが見つけて呼んでくれた
全体が見えるが個人は少し小さく見えづらいの席だ セシーリアとリンドウの間の席に案内される
3人で居る時間は増えたものの、間に座るのは凄い緊張する
「プロだと何度か見たことはあるが学生の頂点はどのようなものなのか楽しみだ」
リンドウはワクワクしている チームバトルは探索者の行うスポーツとして国民的に人気だ
ダンジョンに通うのに最適な職業もあるが、チームバトルに最適な職業もある
職業によってはダンジョンじゃなくてチームバトルのプロになる人もいる
「今日のルールはローカルルールじゃないよな?」
「開催前にルール説明がある 今日の内容はそこで確認しよう」
「リンドウは詳しいな…… というかリアルの会場ってそこまでやってくれるのか……まるでエンタメだな」
「どうでもいいですの! 私ルールをあまり知らないから教えて欲しいですの」
「OK まずは白黒のフィールドから説明するぞ」
闘技場に目を向けさせる そこには8×8マスの白黒の市松模様の盤面があった
1マスの大きさは1辺が約10メートルの正方形になっていて、各マス20センチの程の隙間があり1マス毎にしっかりとした区切りがある
つまり大きくしたチェス盤なのだ ここで行われるのは実際にバトルするチェスなのだ
「あそこが今からチームバトルが行われる場所だ。まだ選手はいないから何とも説明は難しいが人が入ってきたら説明するよ」
『皆さん大変長らくお待たせしました!』
実況の声が響き渡ると歓喜の声で会場は大きく揺れた 満員の会場はやはり迫力が凄い
隣のセシーリアは驚きのあまり目がまんまるになっているし、リンドウは真剣な顔付きをしていた
『今回は一年生も見に来ているから1つ1つ丁寧に解説しちゃうよー!』
『今回のチームバトルはグランドマスター戦です! 全校生徒が注目の一戦です』
実況と解説役の男女が会場を盛り上げようとするが、会場にいる誰もが2人の話す内容に耳を澄ませているので意外と静かだ
『今回のルールを発表しちゃうよー 準備はいい?』
「「「「「「「「おー!」」」」」」」」
観客が大きな声で返事するもやはりすぐ静かになる
『では発表しましょう 今回のルールはスタンダード・制限ありです!』
スタンダードは1番オーソドックスな誰でも分かりやすいルールだ
変わったものだと、運要素の強い『ダイス』や相手の情報が無くなる『インビジブル』、どちらかが全滅するまで戦う『アナイアレーション』などがある
それは実際に実施することになったら話すとしよう
制限ありというのはプロモーションと呼ばれるものについてだが、分かりやすく言うと成金みたいなものだ
これに制限がかかるということだ
「単純で分かりやすいルールのもので助かる」
「そうだな 基本的にランク戦はスタンダードだからスタンダードさえ覚えておけば何とかなるよ」
リンドウはスタンダードについてはほぼ理解してるみたいだな後はセシーリアだな
「リンドウとキセロは何語を話しておりますの……?」
しっかり頭の上に?が4つくらいついていた
この試合中にゆっくり話したらいいだろう
『さて準備が出来たようですよー!』
『ではでは登場して貰いましょう!選手入場です!』
周りの観客が立ち上がったので俺達も慌てて立ち上がる
左右の出入口から選手が入場し始めると、横断幕やチームエンブレムの入った旗を振る人など様々な応援をする人達がい
入場して来る選手は自チームの応援が固まってるエリアに向かって手を振ったりしている 右と左で応援チームがキレイに別れているのがプロの感じがした