第5話 三人組の生配信 2
「カード開封の準備できましたよ」
────はやっ
「さすが、ユセ」
「うちのマネージャーは優秀だからな」
────今回も、ユセちゃん一緒にやってくれるよね?
────やってほしい!
「勿論、私もやらさせていただきますね」
────やったぁ〜
「先輩は即引いちゃうし、ユセは全然引き運ないからね」
────ユセさん、今回こそ引けるかな?
────只今、7連敗中。8連敗なるか
「はい。じゃあ、2人。説明をどうぞ」
「これは今大流行のイケメン役者育成ゲーム『────』を原作とした、新作キャラクターカードゲームのブースターパックです。」
「この作品には俺、染石雪斗が声優として、千叶役を演じさせていただいてます。ぜひ、チェックしてください」
「さっそく見ていこうか」
「質問コーナーも忘れるなよ」
「分かってます。それと、この後はユセにも答えてもらおうかな」
「それいいな」
「えー、NGありでいいならいいですけど」
「それなら、2問目な。自分の悪い癖はなんですか?意外なところとかエピソードとかも混ぜていただけると嬉しいです。らしいぞ」
「俺は物が多いところかな。片付けができないわけではないけど、捨てられないものが多いから、物がどんどん増えていくんだよね。」
────ええぇぇー、めっちゃ意外
────それも、よし
「確かに、立谷はめっちゃ汚いわけではないけど、物が多いから綺麗には見えないねぇ」
────何気にコテンパンに言われてる気がすんの俺だけか?
────そんなことないよー
────でも、この三人組。あたし、マジで好きやな
────それなー
「俺はシキといろいろ一緒なことが多いけど、毎回俺の共有スペースとシキのスペースが1対4の広さなんだぜ。俺は反対に物が少ないから、別にいいんだけどさ。」
「次、ユセで大丈夫?」
「うん。私はサバサバしてるところだと思います。小学生低学年くらいまでは引っ込み思案だったんですが、克服したいなと思って色々してたらこうなりました。」
────これ、また意外だね
「色々聞きたいな」
────きちんと克服したいと思って行動してるの尊い!
「初耳。何かそこまでする理由、あったの?」
「あったよ」
────なになに?
────その理由とは?
「でも、秘密です」
────そっか、そっか。それなら仕方ない。(可愛い、マジ尊い)
────ちょっと、前の人ヤバい。なんか、おじいちゃんいるんだけど(笑)
「へぇー」
「気になるな。俺は料理がそこまで得意じゃないところだな。」
────短所とかないって言うのかと思った
「俺だって短所くらいあるよ。ほんのちょっぴりしかないけどな」
「何が作れないんですか?」
「唐揚げとかの揚げ物系とクッキーとかのデザート系だな。得意なのはオムライスとカレーライスだぜ。」
────あ、カレーライスってあの激辛のやつか
────あれ、エグい色してたよねぇ
「確かに、先輩からの義理チョコで手作りなかったな」
────ソメ様からのチョコ私も欲しい
────想像だけど、絶対オシャレなのに違いない!
「いや、シキは得意料理カップラーメンだろ」
「はい。ごもっともです。スミマセンした」
────キタコレ!ブーメラン
「あ、SSPの千叶、来たぜ」
────20ボックスに1枚入ってるか入っていないかくらいなのに
────私、SSPの千叶引くために100ボックス買いました(泣)
────マジ?! ここに猛者いますよ
「まじか、早すぎ」
「私、今回も駄目かもしれません」
────これ6ボックス全部、ユセたんが買ったんだよね?
「はい。全部、毎回私が買ってるのに、この差っておかしくないですか?」
マネージャーは少し不貞腐れた表情を作る。
────この表情、神すぎる
「確かに、ある意味神がかってるね」
「それで、義理チョコの話だったかい?」
────口癖の「かい?」何気にめっちゃ好き
「根に持ちますね。そう言えば、ユセは義理チョコ全部手作りだったよね?」
「言われてみれば、そうだね。別に料理とかお菓子作りが趣味というわけではないんですけど…そういうときでもないとお菓子なんて作りませんし、バレンタインくらいは手作りですね」
「次の質問行こうか…と言いたいところだけど、1ボックス目が終わってしまいました」
「とりあえず、集計します。えっと…染さんがSSPの千叶とサイン入りの──Rが2枚、BRの千叶含む5枚とRRが6枚。」
「うわぁ。毎回のことながら、エグい」
────うん。神引きすぎて、参考にならん。皆、参考にするのはシキ君のデータね
「それで、シキは?」
「…立谷がA3!Rが1枚とBRも1枚、千叶のRRですね。ちなみに私はRRが1枚出たんです! 私にしては頑張ったと思います。これで全部、運使っちゃたかもしれません。」
────お、ユセさん、珍しく大奮闘
────なんか。ソメの神引き聞いたら、シキまでも引き運悪く見えちゃうね。仕方ないけど
「ちょっと、時間が迫ってます。巻いていきましょう。質問行きますね。先月のライブ、楽しませていただきました。どの曲が一番好きとか、どんなところが一番大変だったとか、メンバーとのエピソードとか教えてほしいです。だそうですよ」
「注文、多いな。まあ、最初の一番好きな曲は流石にな」
「まあ、揃うんじゃないですか?」
「じゃあ、いっせーのーで…で。ちょっ、まだです。気を取り直して、行きます! いっせーのーでっ」
「ヨワネケシ」「scarlet sky」「midnight saturday」
────なんて?
「あれ? おかしいな〜、シキは…scarlet sky?」
────ああ、ホラーとミステリーのドラマの主題歌だったよね
「そうですよ。ユセはmidnight saturdayかな?」
────去年に発表された新曲やんけ
「はい。染さんはヨワネケシですか。」
────ソメ君のソロ曲だ。あれでドボンしたのは私だけじゃないはず
「でも、一番アイドルらしいのはmidnight saturdayだと思うんですけどねぇ」
「あれはザッ、アイドルって感じの恋愛ソングだしね」
「そうだな。ヨワネケシもアイドルらしいと言や、そうかもな。応援ソングだからさ。」
「ヨワネケシは、染さんにしては珍しい、ゆっくりで優しくて穏やかなベタな感じでしたね。scarlet skyはかっこいい歌ですよね。不気味な感じが相まって。」
「ストップ。scarlet skyはパスかな。ドラマの主題歌だし。…まあいい曲ではあるけれど」
────あれ? ソメ様、大丈夫?
────なんだか、顔色も悪いし、口調もなんか違うような
「あ、皆さんすみません。タイムオーバーみたいです」
────あちゃ〜、残念。
────お仕事、頑張ってー
「ごめんね。今から、新曲のMV取ってきます」
「楽しみにしててくれよ。またな」
一応、この生配信の話は終わりですが、アイドルネタは続きます。今度はサバイバルホラーゲームの実況の話を書く予定です。最後の染石が変な理由が分かるかも。お楽しみに。