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第4話 三人組の生配信 1

◇Acetoneのカタログ


◆試作品:転生

>この商品を使用した人は、こんな運命を辿っています!

 少女はいつも何かを探していた。そして中学生になり、同じクラスになった少年がいた。少女は思った。私がいつも、探していたのはこの人だ、と。まずは情報を集める少女だったが、明らかになっていく少年の過去に戸惑う。少年の顔をほとんど見えなくするほど伸ばされた長い前髪、ゲームみたいな二重人格の理由。これは長い長い時間が紡ぐ記録。

「はーい。みんな、聞こえてる?」

 その声は落ち着いたテノールの声で、少し間延びしたゆっくりとした口調だ。しかし、彼のそれは聞くものに苛立ちどころか、心地よさをもたらす。

 色素の薄い金髪に明るい赤い瞳。その髪、瞳に負けないくらい華やかな顔立ちに181cmと高身長だ。その青年は当然のように、彼が所属する7人の男性アイドルグループ「eclipse」でも、ぶっちぎりのナンバーワンを誇る。

────我らが王子様! 聞こえてますよー

────こんにちは。今日は何するの?

 染石がコメントを見ているのか、俯く。

「聞こえてるみたいだな」

 少し荒い口調と低い深みのある声だ。その声もあって今では声優としても活躍し始めている。

 少しクセのついた、センター分けの銀髪に、優しげな紫色の瞳。バランスのいい顔に、その大きな目が光も闇も全てを映す。「eclipse」メンバーの中では最後に入った新参者だが、ナンバースリーだ。

───ソメ様、今日も最高っす

「ありがとな。今日は何するんだけっな。志樹?」

 とは言っても、ナンバーワン以外はほとんど人気は横並びだ。そのため、これはただ強いてランキングを付けるなら、くらいのものだ。ライブのペンライトの配色はナンバーワンが多く、それ以外はいいバランスだ。

「今日は質問コーナーと開封動画、しまーす」

────この前、募集してた質問!

────あれ? 開封動画って何の? 何もなくない?

「すみません。今、準備中ですね。少々、お待ち下さい」

 横からスッと入ってきたのは2人のマネージャーだ。綺麗な真っ黒な黒髪に、その髪とは正反対のまっさらな無色の瞳。顔は薄く整っていて、2人と並ぶとどうしても目立ちにくくなるが、平凡ととはとても言えない顔だ。

 何気にファンを大量生産し、密かにファンクラブまでできてしまっているくらいだ。

「確かに、最近先輩と俺のスケジュールも合わなくなって来てたな」

「何気に私も忙しいんですよ」

────ユセやんってどっちのマネージャーもしてたん?

────そうそう、大変だよな。単純に考えて、2人分の仕事してるんだし

────あー、だから最近生配信なかったのか

「さっきまでシキの単独ライブのリハに行ってたんだぜ」

「その前は、先輩のバックダンサーの練習にもついて行ってたしね」

────ユセさんはどっちかのマネージャーになって、もう一人は新しくマネージャー引っ張ってくるのかな?

「今は俺とシキの両方に別々の予定が被ってたら、大体ユセにはシキの方をお願いしてるぜ。まあユセがいたほうが楽には決まってるけど、結構マネージャーが現場にいなくても仕事はできるからな。」

────さす、ソメ

────完璧人間、ここに出た。よっ

「うーん。でも、どうでしょう。これからも、2人は人気になると思いますし、お仕事も増えていくことを考えるとありかも知れませんよ」

「えぇ、このままでも大丈夫だって」

────お、ソメ様の甘えた、出た?! キラッ)



「では、時間も限られてることですし、もうそろそろ質問コーナーに行きましょう」

「了解」

「やるか」

「えっと? 学生時代の尖ったエピソードを教えてください、だそうですよ。先輩」

────出た! シキの「せんぱい」! 言い方がズルい

────それな。破壊力がヤバたん

「いや、なんで俺に振ってくるんだ」

「いやいや、俺様系の先輩には何かありそうじゃないですか」

 ニヤけた顔の立谷にすかさず、染石が物申す。

「大体、学生時代同じ学校だったんだから、俺のこと知ってるだろう」

「だからこそですよ。先輩が今、完璧な頭脳をフル回転させて必死に考えてるの考えたら、メシウマだなって」

────おっ、煽られてますよ。

────お茶目なシキ君、好きです

「おい、かってやるぞ」

「いや、喧嘩なんて恐れ多い。運動神経バツグンの先輩とやったら、俺なんて即抹殺されちゃいますから。それで何か、思いつきました?」

────いえいえ、シキさんも運動神経いいほうではないかもしれませんが、きちんと平均近くだから、大丈夫ですよ

────まあ比較対象が悪かったな。

────バク転とかバク宙とかほいほいやってんソメにはそりゃ、勝てんわぁ。

「うん、あるな。その日レポートを片付けて遅かったから、帰り道酔っぱらいのおっさんに絡まれたんだよ。それで、適当にあしらった後、講演でもらった水をその伸びたおっさんに頭からかけてやったかな」

────え、ナニソレ。普通に怖い

────流石に日本じゃないよね

「うわぁ。思ったより、やばい話だった」

────そっか、留学してたんだっけ?

────そ。しかも、飛び級で。えっへん)

────いや、そこ。ソメ様のセリフですって

「あ、海外だぜ。昔と言っても、7年前だから日本もあんまヤクザとかいないご時世になってたな。流石にそんな時に、これ日本では不味いだろ」

「え、まさかそのおじさん銃とかは持ってたりは…」

「そのまさかなんだな」

───まじか。ソメ、強すぎな

「まじか」

「はい。次、シキだぜ。何か、思いついたかい?」

「いや、先輩の話のインパクトが強すぎて…でも、そうだな。あっ、技術の授業のときの話なんですけど、髪焦がしました」

────あー、シキ様の尊い髪がぁ〜

────ロン毛だったのかな?

「そうなの? どういう状況?」

「中1のとき、ロボットコンテストがありましたよね? それで、はんだごてで前髪をジュッてやりました。」

────ロボコン、懐かしいな。僕もやりました。

「シキ、前髪長かったからな。それで、大丈夫だったのかい?」

────前髪長かったんだ。初耳かも

「髪だけだったので、ただ髪がチリチリになって、切るのもいやでしばらくはそのままでいましたね」



「次の質問は、前の練習でのバックダンサーとしてのバク転、滅茶苦茶綺麗だったね。ということで、バク転して。って、なんだこれ。これ書いてくれたくれたの、現場のスタッフとか共演者とかってことかい? いや、それしか考えられないよな。名前、ないんだが? あっ、拡大したらめっちゃ小さく書いてあんじゃないか」

「で、誰ですか?」

「空君だな。彼は2.5次元舞台を中心に活躍する若手俳優でユーモア溢れるムードメーカーだぜ。彼が出演する2.5次元舞台でバックダンサーをやらさせてもらうんだけど、それがさっき言ってた。この前のユサと言った練習だな。」

「ここでやれます?」

「できなくはないが、空君。君な、これは質問コーナーなんだ。今度からは質問にちゃんとするんだぜ」

────なんだかんだ、してあげるソメ君、優しい。

「じゃあ、やるぞ」

 染石は手を振り下ろすと足を蹴り上げ、さらにもう一セット。

「よいしょっと。もう一回は今回だけの特別だぜ」

────兄貴、一生ついていきます

「さすがというべきか、えげつないくらい綺麗」

────ちょっと顔、引きつってるシキ様、珍しい

 すみません。この話、この話だけで終わらなかったので、次に跨ぎます。オチもあまりなく、書きたいことを書いてるので、頭空っぽにして読んでいただけると嬉しいです。

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