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ようこそ!神さま部へ!  作者: ELS


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第11話.飛行船はでっかいぞ!

巨大な飛行船、空飛ぶ魚号の腹の中。ミカと一緒に入ることに成功したナナコとスイカ。彼女らは会議室のような大きな机を囲む一席に案内されていた。数人の獣耳の兵隊に囲まれていたのも束の間、すぐに二人だけが取り残された。他の人間のいない中、ただ二人席に座る。飛行船の駆動音だけがゆるりと聞こえてくる中、スイカが口を開いた。


「誰も帰ってこないけど、大丈夫でしょうか」

「んー。まぁ大丈夫じゃない?どうこうしようって気があるなら、こんなところに二人残していなくなるって事ないんじゃないかな」

「そ、そうですよね。きっと……」


心配そうな声のスイカをよそに、ナナコは別の方向へ頭を巡らせていた。ふっと彼女の目を見て聞いた。


「それより気付いている?女の子しかいないんだよ」

「え?何?なんですか」

「今まで出会った砂エルフも、さっき見た獣耳の人たちもみんな」

「それに私たちも全員、女ですね」

「私たちは女子校だからあたりまえだけど」

「そうでした」


とぼけるスイカにナナコがつっこんだ。ふっと二人して笑ったあと、スイカが真面目な顔をする。


「でもヒトの雌雄の比率はおよそ1:1ですよね。たまたま見える場所にいなかっただけなのか。それとも社会構造がそうなっているんでしょうか?」

「さあね。でも、なんだか気になるよね」


コンコン、扉を叩く音。


「え、あ。はあい」


スイカが応答すると、扉が開いた。同じ服装をした少女達が三人部屋の中に入ってくる。ズボンスタイルにセーラー服。軍服だろうか、それでいてそれぞれ頭の上には獣耳が生えているのが不思議な感じだ。


「失礼するよ」


さらにもう一人。位が高いのだろう、左右の獣耳の間に煌びやかな帽子をのせた女子が部屋の中へ入った。銀髪に赤い瞳が目を惹く。


「君らが、砂エルフ共の言う神かね?」

「いかにも我らがそうである」

「……っふ」


帽子の少女の大仰な言い方につられたのか、スイカが妙な返事をする。思わずナナコが吹き出した。


「ちょっと、ナナコ先輩笑わないでください」

「っふっふ、ごめん。偉大なる神さまトークはメイちゃんじゃないと無理かも」

「どうかしたか?」

「いえ、大丈夫です。気にしないでください」


気を取り直してスイカが返答した。


「そうか」


短く言うと、帽子の少女は彼女らの向かい側の席に座る。兵隊らしき人間がその周りに立った。やはり帽子の少女がここでは上に立つ立場の人間らしい。指を組みながら話を始める。


「私はこの飛行船の船長を勤めているものだ。君らが襲い、君らが助けたミカ君は私の部下だ。私は君らは砂エルフに与する者として認識しているのだが、どうなのか?」

「別に砂エルフちゃんたちの味方ってわけじゃないよ。私たちには自分たち自身の目的があるんだ」

「それは何か聞いても?」

「もちろん。私たちの目的はこの砂漠化の原因究明と、そしてそれを食い止めること」

「ふむ……」


船長と名乗った帽子の少女は口元に手をやり、何事か考えているような仕草を見せた。


「その志に理由は?」

「んー。私たちが神さまだからかな。それに、ただ砂漠化を解消したいっていうんじゃないんだよね。なぜこんなことが起きているのかを知るのが大切なんだ」

「うわべだけ直したって意味ないですから」

「なるほど」


納得したのかしていないのか、船長は質問を続ける。


「あの四脚戦車を撃破したと聞いている。起動したというのも驚きだが、あれをたった二人で破壊したというのも考えられない」

「まぁ〜装甲が結構凝ってたから、あなたたちじゃ撃破は難しいだろうね」


扉からまた数人お盆を持った人間が入ってきて、三人の前にコーヒーカップを置いていった。ふわっと香ばしい香りがたつ。


「それで、私たちがスパイじゃないって理解して貰えたでしょうか?」

「うん?」


スイカが聞いた。


「私たちは砂エルフのみなさんとは別の考えで動いています。あなたたちの確執には干渉するつもりは無いのです。その上で、いくつか話を聞かせて貰えたらなって思っています」

「つまり君らはエルフの味方でもないが、我々の味方にもなるつもりはないと?」

「ないよ〜」


ナナコが答えた。


「取り付くしまもないな」

「私たちは誰かの暴力装置になるつもりはないし、それはできないんだよね〜」

「ふむ」

「神さまにも色々事情があるってこと」

「なるほど」


船長が座る椅子がギッと音を立てた。


「あい、わかった。君らの質問に答えようじゃないか。私に答えられることならば」

「いいの?」

「良いさ、彼奴等に与しないと聞けただけで十分だよ。それにミカは私の家族でね、結局のところ無事に帰って来たのが嬉しいのさ」


そう言って、船長はコーヒーカップを口に運んだ。


「じゃあ質問。あなたたちは砂漠を掘り起こして何を見つけた?そして何を探そうとしているのか」

「砂の中に眠っているのは失われた技術、旧人類の遺産。我々はそれを掘り起こして生活している。武器も、道具も。まぁ例えばこの船もそうだな」


それに、と続ける。


「君らが破壊した四脚戦車。不完全だが、あれと同じ兵器を見つけたこともある。起動することは叶わなかったが」

「旧人類というのは?」

「昔地上を支配していたとされる人々だよ。砂エルフや我々のような、今地表に住む人間と区別してそう呼んでいる」

「あなたたちとは違う人間なの?」

「さてね。……おとぎ話の存在だよ。神代の昔、未来を見通し、強大な技術と魔法で地上を支配していた人類。今は滅び、私たち新人類を残して消えたと言われているよ」

「んー」


コーヒーに砂糖とミルクをたっぷり入れながらスイカが言う。


「ナナコ先輩、私衛星も見てるんです。ダイブする前に。文明レベル的には宇宙開発も進んでいたと思うんです」

「うん。私も見たよ。それが旧人類ってこと?」

「はい。今の人たちの技術ではないと思うんです。何かのきっかけで発展していた文明が一度消えて、今の新人類さんの時代になったとか」

「そのキッカケが砂漠化」

「ありえます!」


言いながら、スイカは甘々のコーヒーを一口飲んだ。と思ったら角砂糖をもう二つ追加した。

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