第十四話 間奏
「書けたぞ」
俺はリビングから扉の下へ、コピー用紙を滑らせた。
――ピロリン♪
『読ませてもらった。言い訳や助けを求める文章を書くと思いきや、自白から入るとはなかなか殊勝な心掛けじゃないか……今の君はどうやら、誠実な人物を演じているらしいね。』
「なんとでも言うがいい。俺の目線から事実を書いたが、コレで伝えて貰えるのか?」
――ピロリン♪
『ああ、実に良い文章だ……やはりこの舞台の主役に君を選んで良かったよ。だが表に立ち、話を進めるのは外に居る君以外の演者なんだ。君を生かすも殺すも彼ら次第……探偵役の住人はもう居ないし、残念だな』
「“探偵”……」
その言葉を聞いた瞬間……僕の脳裏に過ぎるものがあった。
――ピロリン♪
『脚本の話じゃないぜ。忘れちゃいないだろう、五年前この屋敷で自殺した文化荘の探偵……一〇一号室の“画家”のことを』
一〇一号室の画家。確かに憶えている、というより忘れるはずがなかった。
「お前……本当に誰なんだ?」
――ピロリン♪
『私が誰かは問題じゃない。それより問題なのは君が彼女の自殺の本当の原因を知らないってことさ』
「本当の原因?そんなものがあったとして、何故お前が知っているんだ?警察の捜査でも、一番近い僕達でも分からなかったんだぞ」
――ピロリン♪
『教えてやる。お前達の罪を……』
次のメールに書かれていたのは、ある一つのラブストーリーだった。
「これは……」
――ピロリン♪
『演じてみろ。そうすれば、君の才能なら分かるんだろう?』
いつもお読みいただきありがとうございます。年始の地震被害が大きく、未だ様々な所に影響を及ぼしていますね。幸い私の住んでいる地域は震源地から離れているため何事もありませんでしたが、今まさに日々を生き抜いておられる被災地の方々の事を考えると胸が痛みます。読者の中にも被災された方が居るかも知れません。もし居られましたら、どうか無事を祈らせて下さい。
投稿を始めて約1週間、毎日30人程の方に定期的に読み続けて貰っています。地道な事ですが、この小説の更新も大切な日常の要素に入れてくれている方々が居る。その方々の日常を支える為にも、これからも更新を続けて参ります。
後書きにこの様な事を書くのは、作品を楽しみに読んで下さっている読者の皆様に水を差す行為かもしれないととても悩んだのですが、何も触れずにいるのは違うなと思い書かせて頂きました。
被災された方も無事な方も、小説という娯楽で少しでもストレスを減らせるよう願っております。
秋梨夜風