150_英雄顕現_ヘラクリス
戦士競技、かつてはオリンピックと呼ばれていたが、ほとんどの種目は廃止になり残されたのはより過激になった種目ばかりだった。
平たく言ってしまえば合法化された殺し合いをエクストリームスポーツと歌って、今日も見世物にされている。
だがそこに名誉と名声を見出す者も多くいた。
軍人だ。
AIによる無人兵器と自動で最適化される兵装によって、軍人はそのスキルを磨くことを忘れ果てた。
それを良しと思えない人間が、戦士競技に出場している。
さて、この章における主人公の話をしよう。
ヘラクリス、そう名付けられたギリシャ人の孤児はイギリスは第三王女であるオーロラ・ヴィクトリアに手を掴んだ。
彼女と王女の出会いだった。
ヘラクリスはこの恩義に報いるため、オーロラ王女の盾になることを誓った。
オーロラ王女はヘラクリスに勝利を要求した。
戦士競技、中でも最も優勝が困難とされる無差別級にて伝説が生まれた。
戦士競技無差別級6連覇という偉業。戦士競技始まって以来、ヘラクリスただ一人だけが成し遂げた栄誉。
そう、この章で語られるは、
人類最強が、たった一人の王女を護る誓いを果たし死地に赴く騎士の物語であり。
王女がたった一人の戦友を死地から救う物語である。