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149_闘争矜持_レオ


 裏社会において、失敗とは即ち死ぬと同義である。

 当然、シラクサーナファミリーのボス、ガレリオ・シラクサーナファミリーの息子であっても粛清は避けられない。

 

 しかし、ガリレオの機嫌は非常によく、お咎めも無しだった。

 

「どうして何も罰がないのですか?」

 

 レオはガリレオに訪ねた。

 実家の書斎、机にタブレットとワインといくつかのアラカルトが並んでいる。

 

「あれは、最初からお前が負けるように仕組まれたものだからな」

 

 ガレリオはワイングラスを天井に煽ぎ傾けてじっくりと色味を楽しむ。


「負けるように仕組まれた?」

「まぁ、と言っても最後までどっちが勝つかはわからなかったがな」

「どういうことですか?」

「獣桜組はあのヤマトという男を組織に返り咲かせる口実が欲しかった。我々シラクサーナファミリーは次のボスに足る器を欲していた」

「次のボス……と言うことは俺はもう」

「いや、これでようやく安心してお前にボスの座を譲れる」

「どうしてですか? 俺は……負けたんですよ?」

「だからだ、勝負に負けたお前、次の日にはヤマトとの一戦を映像で振り返って徹底的に自分に足りていないものを探していた。普通はあの大勝負で負けたりしたら姿を眩ますと思っていたがお前は逃げなかった。だから良い」

「逃げる……?」

「もっとも、お前を粛清するのに一体どれだけシラクサーナファミリーは流血せねばならないか、考えただけでもゾッとする」


「……俺に負けを教えたかった。ただそれだけのためにあの大舞台を?」

「ああ、そうだ。口実は何でもいい。とにかくレオ、お前が負けてどんな態度を取るか見たかった」

「それぐらい聞けば――」

「態度を見るのが目的だ。辛酸の味は敗者にしかわからないからな」

「……そのためだけに……非効率だ。確実性も何もない」


「ふっ……バーカ、俺たちはアウトローさ、元々利口な賭けなんざ知らねえで生きてる馬鹿者共だよ。どういうわけかお前はアウトローにしちゃ、ちと頭が良すぎるんだよ。まったく」

 

 ガリレオはワイングラスをもう一つ用意するとワインを注ぎ、レオに渡す。

 

「……これは?」


「飲め、残念会を始めよう。あの右ストレート、あれはすげえ良かった。相手がアイツじゃなきゃあれで終ってた」


「……あの男のタフネスは異常だ、拳をぶち込んだ時、ああ、俺は怪物と戦うんだって思ったよ」

「獣桜組のヤマト、時期獣桜組も安泰だろうな。イタリア屈指の怪物を手込めにしたしな」

「イタリア怪物……?」

黒足(ピエーデネロ)という名前のハッカーは知っているか?」

「ああ、インズィミーノファミリーの一人娘だろ? あれには株価を何度も助けられた」

「娶ったそうだあの化け物ハッカーを」

「娶った!? よくあの黒足を落としたもんだ」

「怪力の怪物と電脳の怪物、意外な組み合わせというか怪物同士お似合いというか、どう転ぶか見てて面白いもんだな」

「ええ、全くです」


闘争矜持 完


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