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13_生存遊戯_セレネ

 

 セレネはサバイバルゲームがそもそも勝たせるつもりがなく、ナガトが想定以上に危険な状況にあることがわかった。

 

 

「おはようセレネ」

「うん、おはよう」

 

 

「ナガト、話がある」

 

 セレネは銃を持ったまま話を切り出す。

 

「どうしたの?」

「サバイバルゲームに動きがあったの」

「そうなんだ」

「結論からいうとはめられたわ」

「マジかよ」

「今日か明日には私を狙って何人かここに攻め込んでくるわ。だからあなたは逃げなさい」

「……それは」

「銃も無いし、まともに戦えないあなたがいても足手まといなの」

 

 セレネは傷つけるようにわざと強い言葉を使う。

 

「……うん、わかった」

「今までありがとう」

 

 ナガトは荷物をまとめる。

 

「セレネ、やっぱり――」

「行って! 早く!」

 

 セレネはナガトに銃口を向ける。

 ナガトは何か言いたげだったが、それ以上は何も言わず去って行った。

 

 

「さて、準備しましょう」

 

 

 準備と言っても、そのほとんどは既に終っている。

 

 シェルターを起点に一帯には落とし穴がいくつもあり引っかかると膝くらいまで埋まる。当然それだけでは致命の一撃にはならないが、落とし穴の中には尖らせた溶接棒はいくつも埋められている。踏み抜いたらどうなるか想像すらしたくない。

 

 セレネは昨日殺害したプレイヤーの死体のところに行く。

 

(あったあった)

 

 死体漁りの結果、レーザー銃と予備バッテリーが2個、めぼしいものはそれくらいだった。

 

(意外と少ないわね……まぁこんな物なのかしら)

 

 この男もかなり追い込まれていたのだろうとセレネは心中を察した。

 

(バッテリーはちょっといじれば爆弾にできるわね。銃の方はどうかしら?)

 

 セレネはレーザー銃の動作を確認する。

 

(げっ、壊れてるじゃない……)

 

 セレネはレーザー銃を慣れた手つきで故障箇所を探しだす。ものの数分で故障の原因がわかった。

 

(基板が逝ってるわね、これじゃ直せないわ)

 

 セレネはレーザー銃からレーザー出力パーツとバッテリー、トリガースイッチ、銅線を取り出すと残りは捨てた。

 

 

 

 

(使えそうなものは……あっ)

 

 耳に装着しているカナル型のデバイスを取り外す。

 

(これ使えるわね)

 

 セレネは決戦の舞台となる廃ビルに罠を張り巡らせる。

 

 

 

 

 夜の帳が下りる。

 

 

 

 亜麻色の髪が夜風に揺られる。

 

 ボルトをスライドさせて弾丸がチャンバーに送られる。

 

 

「Herzlich willkommen!! Einen schönen Abend noch!」

 

 

 セレネの銃声と共に舞踏会の幕が上がった。

 

 


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