122_決裂流出_アイボリー
関東某所。
「さて、結構長い間幽閉されてたみたいだな」
飄々と涼しい顔は愛相変わらずだった。
その後ろにはアイボリーお抱えのエイトボール小隊が静かに並んでいる。
「半年振りになりますね天帝陛下」
「アイボリーちゃんも久しいね、ちょっと痩せた?」
「何かと忙しくて」
「そうか、大変だな」
「そっちの感染者せいですが?」
「はは! 管轄外!」
「チッ」
「でもまぁうまいこと順応しているよでよかったさ。俺たちには日本人の血を繋ぐことができないからな」
「感染者も難儀ですこと」
「さて、トモエは元気かな」
「今日は定期検診で病院に行ってるとか」
「そんな時期か」
携帯端末のバイブレーション機能がオンになる。
「失礼、天帝陛下」
「どうぞー」
着信はクラウン、アイボリーは電話に出る。
『お疲れ様です』
「用件は?」
『トモエ殿下が誘拐されました』
「何ですって?」
『それどころか、戦争状態ですよ。詳しい話は後ですが、天帝陛下に知らせて下さい』
「わかったわ」
通話を切る。
「天帝陛下」
「どした?」
「トモエ殿下が誘拐されました」
「……相手は?」
「不明ですが、戦争になっているそうです」
「俺が出る」
「罠かも知れません」
「トモエはたった一人の家族だ。何もしないで終るわけにはいかない」
「……わかりました。こちらも兵隊を集めておきます」
「頼む」
カナメは静かに席を立つ。
(陛下の両腕が黒く変色している……一体何の生物の感染者なの?)
アイボリーは二回手を叩く。
「さて、私たちはお手並み拝見といたしましょう」