115_決裂流出_ナガト
『あれからもう何ヶ月も経ってるけど尻尾は掴めた?』
「ダメそうです……すいません」
ナガトは弱った声でチユに電話越しで謝る。
『まぁ相手が手強いのは知っていたけど良い具合に煙に巻かれているわね』
「どうしたら良いでしょうか?」
『もう良いから今後は表の方をしっかり習得しなさい』
「しかし……」
『相手もかなり警戒してる。このまま用心深くなったら私でも上手く出来るか怪しいわ。下手に刺激せず放置しなさい』
「はい……」
ナガトは初めての任務を失敗していた。
「うぅ……はぁ……」
「何事も最初はそんなもん。むしろ良い感じだったんじゃない?」
ユネはへらへらと笑ってナガトを励ます。
「何も出来なかったなぁ……」
「まぁまぁ、それはそれとして、表の方はもうちょっとで次に回してもいいかなくらいまで来てるんだから」
「この前のテストで盛大にミスったばかりじゃないですか」
「あれは……まぁ、凡ミスも良いところだったね」
「何もやっても上手くいかない……」
「でも診断は正確だしミスも少ない方だ。何よりも判断してから検証までスピーディーだ」
「ありがとうございます」
「じゃあ追試の時間だ」
「え?」
「今から追試だ」
(せめてこっちでもものにしなきゃな)