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114/167

114_決裂流出_ヤマト

 

 

 ヤマトはとある人物からの指導をここ数ヶ月受けていた。

 

「まだ甘い」

 

「チッ! なんでいなせるんだよ!」

「なに、簡単な事だよ。人間の筋肉と関節には向きがある。そこの弱点をポンと小突くだけでバランスが崩れて破壊力を失う」

 

 師は華奢な体にも関わらずヤマトのあらゆる攻撃をいなす。

 

「腕にも足にも神経が複雑に入り組んだ場所がある。経絡とも呼ばれる。そこに刺激を与えると神経が錯綜してしまう」

 

 師はヤマトの二の腕辺りを撫でるように触る。反応しようにも上手く体が動かせずそのまま鋭い蹴りがヤマトの腹にめり込む。

 しかもこの蹴りも防弾チョッキを着た状態で食らうショットガンとほぼ同じ衝撃だ。

 

「グッァ――」

「徒手格闘も奥が深い。色々教えるのも良いが自分が育てた理論がこうも上手いことかみ合うのは気持ちがいい」

 

「こんの――」

 

 ヤマトの反撃よりも早く師のジャブがヤマトの顎の先端を捉え頭がガクンと揺れる。

 

「顎を守れ。こうなると人間は脳震盪で動けなくなる」

 

 何度も食らっている攻撃だが、ヤマトは一度も避けることが出来ていなかった。

 

「なんでわかるんだよ」

「目の動きだよ目は口ほどにものを言うのさ」

「にしても、あんたこんなに強かったんだな……」

「ふっ……驚いたかい?」

「そりゃあまぁ……」

「ちなみに私の得物は薙刀さ。素手もそれなりだが」

「……マジで? じゃあ今まで俺は優しくぶちのめされていたのか?」

「もっと言うと、素手でなおかつ手加減もしている」

 

「……一回、素手の本気で相手してくれないか?」

 

「ダメだ」

「なんでだよ」

「死ぬ」

 

「死ぬ……死ぬ!?」

「訓練中もついつい完全アウトな急所攻撃をしてしまいそうでかなりを気を遣っているんだ」

「物騒だな」

「型稽古をし過ぎて同じ動きをすると自然とトドメ刺しまで動いてしまうんだ」

「……そりゃあこの人ありきであれがああなるのか」

 

「さてまだまだ喋れる余裕があるようだし、本気ではないがちょっとレベルを上げてやろう。死ぬ気でしがみついて来るように」

 

「やってやる」

 

 

 


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