104_決裂流出_ナガト
椿宮師団、天帝邸の会議室。
今日ここに、椿宮師団、獣桜組、君影研究所、シルバーベルの代表が集まり会議が始まる。
ナガトは先日あったNNEDとアンドロイド兵の事件の参考人として呼ばれていた。
「……」
「……」
当然、シルバーベルのアイボリーとクラウンとも顔を合わせることになる。
「あら、ナガト久ぶりじゃない」
「アイリ……」
「今はアイボリー」
「どっちでも良いよ」
「今は協力者よ。私怨は勘弁してね」
「わかってるよ。やるならバレないようにするよ」
「あら怖い」
「冗談だよ。今のところは」
「やぁナガト君」
クラウンが渋った表情でナガトに声をかける。
「クラウン……」
「君には色々謝罪すべきことも自分がやったことが許せないこともわかる。だけど今の誠意を受け取って欲しい」
クラウンは深々と頭を下げる。
「顔を上げて下さい」
ナガトの言葉の通りクラウンは顔を上げる。
ナガトは即座にクラウンの頬に拳をねじ込む。
「ァッ!」
「これで手打ちにします」
ナガトは右手を差し出す。
クラウンも右手を出して握手をする。
「ありがとう」
「こうでもしなきゃ気が済まないでしょう?」
「お見通しですか」
「嫌いな奴には詳しいんだ俺」
「そりゃどうも。名前の通りクラウンなもんで」
「言っとけ、でもまぁ、今回は味方だから嬉しいよ。敵に回すのがあまりにも面倒くさいから」
「こっちも死者こそ出ていますが、最小犠牲で事が進んだので」
「そっか、それは色々苦労したんだね」
ナガトはアイボリーの方を見て鼻で笑う。
「よくご存じで」
「よく知ってるさ」
「「嫌いな奴には詳しいんだ俺」」
ナガトの言葉にクラウンがわざとらしく乗っかる。
「ちょっとあんた達!」
「おっと、うちのボスはおっかないのでこの辺で」
「じゃあまた」
ナガトとクラウンは会話を切り上げると、携帯端末で今日の会議の概要を再確認を始める。
「全員揃ったでありますか?」
会議が始まる五分前に椿宮師団のミノが音頭を取る。
「名前を呼びますので返事して下さい」
ミノは携帯端末でリストを開いて上から読み上げる。
「椿宮師団、トモエ殿下」
「はい」
「椿宮師団、ジャックジャンパー」
「……いる」
「君影研究所、アンナ様」
「いるよー」
「君影研究所、ムサシ殿」
「ここに」
「君影研究所、ナガト殿」
「はい」
「獣桜組、エマ様」
「はぁーい」
「獣桜組、ヒクイ殿」
「おう!」
「獣桜組、チユ殿」
「はーい」
「シルバーベル、シスターベル」
『携帯端末で聞いております』
「通信回線は問題なさそうでありますな」
「シルバーベル、アイボリー」
「はい」
「シルバーベル、クラウン」
「はいはい」
「シュミットトリガ社、セレネCEO」
『こっちも携帯端末で聞いているわ! 椿宮師団のケラグイと獣桜組のメズキも同席していいかしら?』
「ケラグイでありますか、セレネCEOにも関わる事でもあるので是非参加してほしいであります」
『Geht klar! メズキは?』
「当事者なので問題ないであります」
『Geht klar!』
「では先日の事件について各組織の状況を報告及び今後の検討を始めるであります!」