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100_海底抱擁_ミノ

 

 

 椿宮師団には三つの顔がある。

 

 陸、海、空、それぞれに対応した部隊がある。

 その中で最も大規模なのが海、大地震で沈没した東京、千葉の海底に感染者たちは新たな文明の光を灯した。

 

 

 ミノは若くして日本の海域全土を防衛する立場にあり、その最高司令官にあたる。

 

 

 元々はただ海が好きの海上自衛官だったが、震災とウイルスがミノの人生を破壊し、新たな人生を手にした。

 あれほど好きな海が今では海に囚われた生活になった。

 

 もっとも、彼女とって何の苦にもならなかったが。

 

 秒速30m――。

 

 

 何人たりとも彼女を阻む事は出来ない。

 

 

「こちらミノ、早速一隻見つけたであります」

『こちらダクダ、警告はしています。遠慮無くどうぞ』

 

 

 表層から体を飛び出す。海面から飛び出すと数メートルの高さまで体が浮かび上がる。

 

 右腕には爆薬作動式パイルバンカーを携えている。

 

 目の前にはアメリカ国籍のイージス艦。

 船底付近にピタリと張り付くとパイルバンカーを突き立てる。

 

「こちらミノ、交戦開始」

 

 炸裂音と共に船底に穴が空く。

 パイルは船下部から上に突き上げるように甲板の手前まで突き抜ける。

 

 何よりこのパイルバンカーの杭には時限作動式の高性能爆薬が十キロ仕込まれている。

 

 

 そんなものが船の内部で爆発した場合など想像もしたくない。

 

 

 

 衝撃波が海水越しにミノの頬を叩いた。

 

 

「まずは一隻撃破であります」

 

 パイルバンカーを操作して二発目を装填する。

 

 

『2キロ先にもう一隻』

「了解!」

『何分かかりますか?』

「2分で沈めます」

 

 ミノは両足で水中を叩くように泳ぐ。

 髪の毛にブルーの縞模様が現われ、目に熱気を帯びる。

 

 

 ミノ、ベースはバショウカジキ、全魚類最速の魚である。

 

 秒速33.3m、下手な軽自動車のトップスピードに匹敵する。

 こと海洋において、特殊な船舶でも無い限りはミノより早い船は存在しない。

 

 船乗りからすれば縦横無尽に高速移動する魚雷が突っ込んでくることに等しい。

 

 

 

「標的を見つけたであります!」

『沈めて下さい』

「もちろん!」

 

 

 対潜ミサイルなどが海中にばらまかれるが、速度を落とすこと無くミノはその全てを回避する。

 それどころか更に加速し続け船底にパイルバンカーを突き立てる。

 

 

 そして即離脱――。

 

 

「今日はこれくらいでありますか」

『お疲れ様、帰還をお願いします』

「了解」

 

 

 ミノの撃墜スコアは駆逐艦24隻、巡洋艦11隻、空母2隻、強襲揚陸艦1隻、原子力潜水艦1隻。

 

 

 ついた二つ名は破壊者。

 

 

 または海の破壊神とも呼ばれることもしばしばあるが、ミノ自身は中二臭くてあまり好きではない。

 

 

 


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