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クビになろうと思う。6

 まぁ、火焔で燃やしたり、風の刃で切り刻んだり──といった派手さはないけれど、かなり便利で汎用性のある魔導だ。


 植物がない場所など、この世界にはない。そもそも、植物というのはアスファルトの隙間からど根性で発芽するやつらである。


 さらには種類も性質も豊富。


 衣食住のあらゆる基礎には植物がある。


 もともと凝り性のリィトにとっては、どんな魔法よりも追求しがいのある分野だった。まぁ、おかげでこないだの大戦では英雄とか呼ばれるようになってしまったわけだが。


「もういいですよ、片付きました」


「こ、こりゃすごいっ!」


 メルが飛び上がる。目をキラキラさせてリィトを見つめる表情は、なかなか素朴で可愛らしい。


「はっはぁ、リィトさんは魔導師でしたか! いったい、どんな魔法を使ったんですかね!? 風魔法で吹っ飛ばしたとか、それとも念動魔法で動かしたとか?」


 本当に目をつぶっていてくれたらしい。


 とっても素朴。すばらしい。


「えーっと、企業秘密ってことで」


「そんなぁ……自治区に着いたらみんなに自慢したいのにぃ」


「やめてください、それはだめ!」


「ちぇー」


 植物魔導師は数が少ない。


 というか、リィト以外にはほとんど存在しない。


 万が一のことを考えると、あまり目立ちたくはないのだ。


 英雄という肩書きは、ちやほやされるメリットを遙かに上回る面倒ごとを引き寄せる。


 リィトはそれを経験上、とてもよく知っている。



 せっかくの無職だもの。せっかくの自由だもの。


 しばらくは、気ままにソロで楽しみたい。



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