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久々の肉でテンションあがるのは仕方ないと思う。5

 人数は少ないが、統率の取れた一糸乱れぬ動き。


 毎日の農作業でよく知っている、ぴったりと息の合った花人族の連携だ。


 彼らの手に握られているのは、


「マタタビ酒!?」


 先程まで、マンマとミーアが楽しんでいたマタタビ酒だった。


 東の山でとれたマタタビを使って、花人族たちが漬け込んでいた名酒だ。


 猫人族コンビがすっかり虜になっている、美味で甘露な酒である。


 花人族たちは、マタタビ酒をぐいっと口に含むと勢いよくモンスターに吹きかける。かなりの近距離で危険もあるはずだが、彼らは怯まない。


 リィトのベンリ草がガッチリとモンスターの四肢を拘束しているとはいえ、勇猛果敢と称してもいいくらいの戦いぶり。


 たちまち、猛虎型モンスターの四肢から力が抜けていく。


「GYA……、ぐぅにゃぅ……」


 まさに、猫にマタタビ。


 マンマとミーアが飲んだときと同じように、モンスターもへろへろに酩酊してしまった。花人族たちは、念には念を入れるように丸まって眠ろうとするモンスターにマタタビ酒を浴びせ続ける。


 ものの数分もたたないうちに、モンスターは昏睡してしまった。


 実際のところ、リィトがベンリ草で猛虎モンスターを押さえつけていなければ何人か怪我人は出ていたかもしれない。


 けれど、そうはならなかった。


「……念のため、麻痺させておいてよかった」


「さすがです、マスター」


「いいえー。しかし、驚いたな……花人族が、あんなに見事にモンスターに対応するなんて」


「分析。この土地は、このモンスターに定期的に襲撃を受けているのでは」


「ありえるね。花人族たちは、彼ら特有の病気の予防のため春ベリーのジュースや酒を主に飲んでいる。マタタビ酒を飲む様子は、僕らがここに来てからは見てない」


 ということは、だ。


 飲まない酒を造る理由なんて、いくつかしかない。


 売るか、他人に飲ませるか。あとは神様に供えるとかもあるか。


 花人族たちは、地産地消のプロだ。リィトが提案して実行に移すまでは、作物を売るという考えはなかったようだ。作るのは好きだけど、作りっぱなし。宗教っぽいものについては観察しきれていないが、捧げ物のようなことを日常的にしている様子もない。


 となれば、「他人に飲ませる」のが本筋だろう。



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