表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

55/127

通販生活をはじめようと思う。6

「マスター、大丈夫ですか? 心拍数の急激な上昇を感知しました」


「ありがとう、ナビ。問題ないよ。たぶん」


 とにかく、もうリィトは自由だ。


 この広大な大地で、のんびり過ごす準備は万端なのだから。


 農作業を終えた花人族たちが、リィトの周りに集まってきた。


 心配そうにこちらを見ている。


 背丈が小さく、子どもみたいな彼らの見た目に癒やされる。


「ム……アリガト?」


「アリガト?」


「アリガト……?」


 唯一知っている単語でコミュニケーションを果敢にはかるパーティーピーポーっぷり、嫌いじゃない。


「……とにかく」


 リィトは、こほんと咳払いをした。


「流通経路は確保したから、どんどん作物を作ろう。種子ならたくさんあるから、好きなモノを好きなだけ」


 リィトの言葉をフラウが他の花人族に伝えると、たちまちお祭り状態になる。なんか踊ってるし。


 やっぱりパリピだ、こいつら……とリィトは思った。


***



 それから一ヶ月もしないうちに、猫人族コンビがやってきた。


「リィトの旦那ァ! す、す、すごいことになったニャッ!」


「ふにゃぁ……もっと情報ないのかって聞かれまくりで、しらばっくれるのに疲れたのでありますぅ……」


 血相を変えてリィトの小屋に飛び込んできた。


 謎の種子Xの鉢植えを手入れしている最中だったリィトは、往復にかかる時間を考えるとほぼトンボ返りだったであろう二人にお茶を淹れてあげた。


 これは最近になって花人族が栽培をはじめたもので、リィトの手持ちの種子のなかでもけっこう値の張るものだ。


 茶葉の加工も花人族にとっては朝飯前のようで、たいへん美味な緑茶に仕上がっている。飲めばホッコリ。


「す、すごい売れ行きなのニャ!」


「えぐくもなく、酸っぱくもないベリー酒なんて史上初ですからにゃ~。すでに考察ギルドが色々と嗅ぎ回っているにゃ~」


「そうなのニャ! レシピとかでどころを聞かれまくるから、全部マンマに流しているのニャッ!」


「にゃふ~、わがはいはリィトに言われたとおりの、ちょぴっとの情報だけを小出しにしているのにゃ……客が勝手に熱狂してくれるのにゃっ」


「少しでも何か知りたい客が、商人ギルド(こっち)にまで探りをいれてきてるのニャッ! 色んな商品を買ってくれるから、売上がっぽがっぽだニャ!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ