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通販生活をはじめようと思う。4

「こっち?」


「自治区から遠く南下した土地で作られる、知る人ぞ知る名酒。謎多き花人族の秘宝!」


「えー、なんか地味ですにゃ……『荒廃した土地を耕す謎の魔導師!』のほうがかっこいいのと思いますのにゃ……」


「甘いな」


 リィトは、ぴっとマンマに指を突きつける。


「情報というのは、小出しにするのがいいんだ」


「む? 情報ギルドのスゴ腕記者ことわがはいに、情報の売り方の講義ですかにゃ……?」


 耳をピコピコ動かすマンマ。


 リィトは畳みかける。


「どうやら、この土地が開拓されるのはほぼ初めてらしいじゃないか。たしかに自治区からは遠すぎるし、目立った地下遺跡(ダンジョン)もないし、荒廃しているしカラカラに乾いているし、開拓する旨味はないよね」


「ふむ?」


「でも、実際は花人族が住んでいた。これは、ギルド自治区からすれば発見だろ?」


「たしかに、そうとも言えますにゃ?」


「その開拓情報を、小売りにするんだよ。ミーアがうちから仕入れる酒についての情報を、マンマが売る……味は抜群だから、必ず売れる。そうすると、この旨い酒はなんなのか、誰が作っているのか、知りたくなるのが人情だ」


「その情報を、わがはいが売ると?」


「ああ。場所を特定されないように、僕の正体を知られないように、少しずつ客を焦らすんだ」


「ほうほう」


 いいぞ、とリィトは思う。


 マンマが前のめりになってきた。


「そうすれば、この土地の情報は定期的に売るよ」


「ふむぅ……」


「ネタは多いよ? 花人族の生態、下大陸の荒廃地域の現状、それに今は話せないこともね」


「にゃ……は、話してくれないのかにゃ!?」


「情報ってのは、タダで仕入れられるものじゃないだろ?」


「ぐにゅっ」


「ミーア、商人ギルドは、仕入れをタダでするものか?」


「ニャッ、ミーか? そんなウマい話、あるわけないのニャ。仕入れ値と売値をどう調整するかが、商人の腕の見せ所ニャ。……む、情報ギルドってのは、そう考えるとセコい商売だニャ」


「ふにゃ、み、ミーアまで何を……」


「というわけで、マンマ。取引だ」


 いい感じにリィトのペースになってきた。


 たじたじしているマンマに、条件をつきつける。


「僕が流した情報に限って、いくらでも売っていい。ほかの情報ギルドには売らないよ、専売だ」



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