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豊作すぎるのだが。1

 リィトの開拓ライフに誤算があった。


 花人族はリィトの想定の何倍も勤勉だったのだ。


 ナビと一緒に分析をしたところ、花人族は数人の子どもたちを育てる小さな集団を形成している。それがいくつも集まったのが、この土地に生活する花人族のコロニーのようだった。


(あれだな、プレーリードッグの生態に似てるかも)


 ずっと昔、動物園の立て看板で読んだ内容を思い出す。


 群れの最小単位がコテリー、それが集まってコロニー、それがさらに集まったらタウン。彼らは、わりと小規模なコロニーというところだろうか。


「それにしても、統率がとれまくってるな……!」


 花人族の植物にかける情熱はすごい。


 リィトが眠っている間にも、自発的にシフトを組んで畑の手入れを続けてくれたのだ。二十四時間態勢で。


 結果として、土壌の改善が驚くべきスピードで進んだ。


 リィトの〈生命促進〉の魔術で、ベリーがめきめき育っていった。


 そういうわけで、思った以上の収穫が得られたのだ。



 春ベリー:五〇カゴ


 赤ベリー:二〇カゴ



 これが、今日一日の収穫だ。


 春ベリーは花人族のためのもの。


 赤ベリーはリィトの商売のためのものだ。


 ハイポーションの原材料で、帝国の冒険者や戦闘員系のギルドからの需要は尽きない。


 ギルド自治区で一粒銀貨(シルバ)一枚=五千円になっていた。


 二〇カゴもあれば、かなりの供給だろう。


 カゴ一杯でも卒倒しそうになっていた猫人族の少女を思い出して、心臓麻痺に効くポーションの用意でもしておいたほうがいいだろうかと考える。


「まぁ、安定供給ができるなら、もっと値段は下がるだろうけどね」


「たくさん、つくれ、ました♪」


 花人族のフラウが嬉しそうに笑っている。


 彼女も二十四時間体制で働いているはずなのに、輝く笑顔をリィトにむけてくれる。


「うーむ、ブラックの才能がある……」


「ぶら……?」


「ごめん、なんでもないよ」


 春ベリーの確保が彼らの生死に関わるから仕方ないにしても、近いうちにこのブラック勤務はやめさせないといけない。


 どうやら、花人族は光合成によってエネルギーを充填できるらしい。


 食事が簡素でもやっていけるのは、そういう理由みたいだ。



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