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花人族2

 ガルトランドでチンピラを相手にしたときには、不意打ちで眠らせることができたからよかったけれど……真っ向から対決、しかも植物魔法を使うとなると相手が無事で済むかどうかは分からない。とはいえ、リィト本体の戦闘力となると、だいぶ不安があるし。


「僕の畑に春ベリーを植えただろ? 勝手に畑に変なものを植えないで欲しいんだけど……って、言葉通じるかい?」


 もしも、モンスターの類だとしたら例外的に知能の高い種類でなければ言葉による意思疎通は難しい。


 どうしたものか、と思いながら大岩にむかって杖を構えていると、蚊の鳴くような声がした。


「……う、あ、」


 鈴の転がるような、というにはあまりにか細い声。


 でも、確実に女の子の声だ。


「返事をしろ。人の畑に勝手に手を入れるのは……」


 恐る恐る、一歩足を踏み出した。


 岩陰には大きな花が咲いていて──、


「あ、うあ、こ……こわい、ひと……ですか?」


 その花が、振り向いた。


 振り向いて、喋った。


「え……女の子?」


 岩陰にへたり込んでいたのは、女の子だった。


 ピンク色の髪。


 花だと思ったのは、髪飾りだった。


 いや、違う。


「……髪に、花が咲いてる?」


 ピンク色の髪をゆるく編み込んでいるのは、植物の蔓だ。


 大ぶりの花が白く咲いている。


 髪飾りではなくて、本物の花だ。


 めちゃくちゃ、可愛い。


 花のように可憐な少女、という陳腐な比喩を受肉させたみたいなコテコテの美少女である。


「……ナビ、起きて」


 リィトが呼びかけると、空中にふわりと白い人工精霊(タルパ)ナビが出現する。


「──再起動完了」


 その様子に、花みたいな美少女はぱちくりと大きな目を瞬かせる。若草色の瞳が特徴的だ。


 ピンク色の髪、葉っぱの色の瞳。


 ほぼ間違いないだろうけれど、一応。


「鑑定を頼むよ……この子の種族を教えて」


「了解しました、マスター」


 ナビは間髪入れずに、魔力による鑑定を開始する。


 頼れる相棒のはじき出した鑑定結果は、リィトが思っていた通りのものだった。


「──推定年齢は人族(ニュート)に換算して十四才。身長、体重、スリーサイズは乙女の秘匿事項とします。種族は花人族(フローラ)と断定します」


「花人族!」



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