表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/127

土地を買おうと思う2

 それは仕方がない。街を作り上げている人たちを大切にするのは道理にかなっているから。


 リィトは問題ないと伝えた。


「なるべく、人里離れた土地を買いたいんだ。金額についてはある程度余裕がありますので、いくつか条件を出させてほしい。


 ひとつ、平地が確保されていること。ふたつ、敷地内に川が流れているか泉が湧いているか……とにかく水場があること。そして、みっつめは──それなりの荒地がいいです」


 平地、水場、そして人目のなさ。


 前の二つはリィトの目的──もうとにかく、大好きな植物と魔導の研究をしまくることのために必要な条件。三つ目の条件は、リィトの自由のために必要な条件だった。


 とにかく目立たず、話題にならず、のんびり自由に暮らしたい。


 英雄とか聖者とか、新進気鋭の魔導師とか。


 もうそういうのは充分に味わったから、しばらく独りにしてください。


「そうですね、その条件に合うのは……」


 受付のおじさんが土地の目録から一枚のペーパーを取り出した。


 リィトは、その紙に書かれた条件を見て、大きく頷く。


「ここにします」


「えっ、即決?」


「はい」


「辺境のクソ田舎……じゃなかった、閑静な土地とはいえ安い買い物じゃないよ?」


 受付のおじさんが、値段を指さす。ギルド自治区の管理する土地の中では安い値段で買えるものだが、リィトのような若者がふつうに買える値段ではない。


「見間違えてないかい」


 受付のおじさんが、リィトの持ってきた財布をちらりと見る。


「というと?」


「ここ、千枚って書いてあるだろう。銀貨や金貨じゃなくて大金貨(ゴルゴルド)だよ? ふつうは大金貨(ゴルゴルド)なんて使わないけど、土地売買独特の記法なんだよねぇ。銀貨と勘違いしてない?」


 大金貨(ゴルゴルド)千枚。


 つまり、だいたい一億円くらい。


 かなりの広さの土地の値段としては妥当かもしれない。


 荒野だし、未開拓だし、やや割高感はあるけれどギルドに所属していない人間は多めに金を支払うというのがガルトランドの基本らしいということは、リィトもわかってきている。


 むしろ、売ってくれるだけ御の字だろう。


 なにせリィトは、どこのギルドにも入る気がないのだ。


 ほら、人付き合いとか、もうこりごりだし。


「ふむ……」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ