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世界樹ってマジですか6

 リィトはどうにか、水が落下するのを止めようとしたが──。


「あっちゃ……」


 ばしゃ、と。


 沢の水が、地面にまき散らされた。


 多量の魔力を含んでいるとおぼしき水が、謎の苗Xに。


「ご、ご、ごめんなさいですにゃ……」


「あー、大丈夫。大きい声出してごめん、マンマ」


「うにゃあ……」


 普段は飄々としているマンマが、目を潤ませて硬直している。


 大変なことをしてしまった、と軽いパニックに陥っているようだ。


 アデルがマンマを抱き上げて、慰めてくれている。


「うーん、とりあえず、見た目は変化なしかな……?」


 沢の水をかぶった謎の苗Xは、今のところ特に問題なさそうだ。


 急に大樹に成長したり、あるいは触手っぽいバケモノ樹に変化したりはしていない。不幸中の幸いだ。


「とりあえずは経過観察だな」


 ふぅ、とリィトは胸をなで下ろす。


 アデルが「あら?」と周囲を見回す。


「……トラの姿が見えないわね」


「ん?」


「山に帰ったのかしら?」


 猛虎型モンスターといっても、マンマやミーアと同じく猫の魂を持つ生き物だ。気ままな性質なのだろう。


 夜も更けてきた。


 花人族たちは、ほとんどが眠りにつこうとしている。


「そろそろ、僕らも寝ようか」


 リィトの一言で、今夜の宴はおひらきになった。


 煌々と月の明かりがトーゲン村を照らしている。


「明日は、沢を調べてみよう」


「ふにゃっ、わがはいも一緒に行きたいですにゃ……さっきのおわびは、体で支払うのにゃ」


 と、マンマ。


 すっかりしおらしくなって、酔いも覚めてしまったらしい。


「そうだね、何か情報を探るならマンマの出番かも」


「まっかせてくれですにゃ!」


「では、明日に備えて眠りましょう。わたくしは、少々鍛錬をしてから休みますわ」


「え、アデルも来てくれるのかい?」


「ええ、もちろんですわ。リィト様」


 にっこり、とアデルは微笑む。


 リィトを帝国に連れ戻そう、という目的はいったん忘れてくれるらしい。


 トーゲン村の暮らしを、かなり気に入ってくれているらしい。


「遺跡を探して散策なんて、楽しそうです……それに」


「それに?」



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