休みの日に寝る。雨がふる。
季節は夏頃。
場所は家の中。
草薙は寝ていた。
草薙は疲れていた。
疲労が抜けていく感覚が心地いい。
家、といってもねぐらの一つだが草薙は家で寝る時間が好きだった。
日本人の男たる草薙は今疲れている。
例えるなら、朝の8時過ぎに仕事に出て12時頃に帰る。
それを月~金の五日間続けたあとの如く疲労感である。
そんな疲れを癒すために寝ている。
疲れてはいる。だが、その疲れが徐々に抜けていく感覚を感じてもいた。
(……ん)
この感覚が好きだった。
なんでもない時間、なんでもない休息。
日本人の多くが経験してるであろう休みの日。
それを緩やかに堪能し、心の理に染み込ませる。
(もう少し寝るか)
……。
ポツポツポツ。
(雨、ふってるな)
屋根を叩く雨音。
外は雨がふっている。
空が白い。
タン……タン……タン。
屋根を叩く雨男のが聞こえる。
屋根の下で寝ているんだなという事を実感する。
雨の音は嫌いではない。
流れるように屋根を叩く雨の音も。
屋根にたまった雨水が落ちる音も。
割りと好きだ。
(うむ)
なんでもない休みの時間。
なんでもない雨の音。
――それもまた良し
なんでもない時間を緩やかに楽しみながら草薙は目を閉じる