48話
死んだ、私のせいで。
死んだ、全部全部私のせいで!
そう言って自らの頭を石壁に叩きつけるがすぐに取り押さえられ行き場のない想いがベルナ自身を焦がしていった。顔は涙と鼻水で溢れているがそれを拭う気力すら今の彼女には無かった。勢いよく扉を開く音がしその場に居た皆がそちらへ視線を移すとそこにはベルナが部屋を飛び出す前に話をしていた人間が入って来た。この音がベルナの人生を変えて行くのだが、まだその事に気づいている人間はここには一人しかいない。
「お前、死んだ奴の仇が取りたいか?」
その一言で壊れた人形の様に動かなかったベルナが振り返り
「どうやって?司祭様を殺した人はあなたが殺したんでしょう?」
流れる涙の滴の一つ一つにその部屋の光景が映っては落ちていく音だけが響きその場だけ時が止まった様に感じた。
「それはお前の返事次第だ。」
「できるなら、それができるなら・・・その力があったならやってるわよ!」
「どんなに辛い道でも成し遂げる覚悟はあるか?これからお前が進む道は後戻りは許されない。ましてや途中で投げ出すなどできない道だ。その覚悟があるならこの手を取れ」
そう言ってベルナに手を差し伸べる。辛く後戻りは許されないと聞き感情のままにやれるならやっていると言った事に対して冷静になって考えてみると自分の様な非力で何の力も持たない人間に何ができるのかと考えてしまった。それがその手を取る事を躊躇わせた。
「そうか、お前の覚悟の程度は分かった。期待した俺が馬鹿だったようだ。この先の人生精々死なないように気をつける事だ。」
そう言って目の前の恐らく男であろう人は部屋から出て行った。後には静寂だけが残った。




