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45話

 自身に異変が起きてからしばらく経った事で分かったことがある。何らかの悪意を持って人に接している人間にだけ身体の周りに黒いモヤが見えるらしい。実際ベルナの事を舐め回す様に見ていた人間からはドス黒いものが噴き出ていて彼女の目にはそれはもう人間とは見えなかった。世界樹教の教えでは人は生きている間に積んだ善行と悪行を世界樹が秤にかけ次の生が決まると教えられていた。世界樹とは魂の審判を行うと共に浄化も行うのだとも教えられている。今までこの教えに疑問は抱かなかった。人とは互いに支え合い生きていくものであり普通に生活していれば善行が勝ると思っていたからである。

だが、今の彼女の眼に映るものはまるで神が自身の信仰を試しているかの如く人という生き物が如何に悪意を持って生きているかを教えていた。普段善人の顔をしていても腹の中で何を考えているのかは分からないし人間という生き物はここまで利己的になれるのかと半ば絶望しそうにもなった。そんな彼女の唯一の救いと言って良いのが司祭の存在であった。悪意満ちるこの村で数少ない身体からモヤの出ていない人間の1人であった。彼女は自身の抱える悩みについて司祭に相談しようと決め彼の部屋を訪れるのであった。


 「父さん!母さん!俺誰かを助けられる人間になりたい!母さんが聞かせてくれた勇者の話みたいに困っている人を助けてこの世界も救うんだ!」

息子から突然そんな事を言われて夫婦共に困ったという顔をしていた。

「あのね、フラン。あなたが勇者に憧れるのは分かるし誰かを助けたいと思うことはとても良いことだけれども自分の年齢を考えてみなさい?まだ子供じゃない。それにあなたは今まで武器はおろか農作業で使う道具すら持ったことがないじゃない。他の子達はもう畑仕事を手伝っている子も沢山居るのに。」

まるでお小言のようにチクチクと言われフランは憤った。何故理解してくれないのか、何故理解できないのか。自身の変化については両親には話はしたがそれすらも信じてもらえなかった。が、その憤りは直ぐに消え去り仕方がないと思うようになった。ここ最近両親の身体からは白いモヤが見えなくなっていた。この白いモヤの正体は大体のところは見当が付いている。だから理解されないのも直ぐに納得できた。

「分かったよ。じゃあ明日からはキチンと畑仕事を手伝うよ。」

そう両親に伝え2人は喜びの声をあげるがフランの目的が先ずは身体作りからだという理由なのはこの2人には分からないのであった。フランはこれ以降表に出さないが両親すら見下す様になっていった。

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