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42話

「やあ、シスターおはよう。今日も朝から御勤めかい?」

「トラムさん。おはようございます。私には祈ることしかできませんから。」

そう言って少し憂いを帯びた笑みを浮かべるのであった。

ここはサウスランドの西の果ての農村である。

元々帝国の成り立ちはセントラルの王が世界を手に入れる為に第二から第五王子までを東西南北に派遣した事が始まりである。サウスランドの征服命じられた第五王子は戦いに明け暮れた。だが、戦えど戦えど争いは無くならず憎しみの連鎖だけが深く深く根付いていった。その連鎖を断ち切り対話による相互理解の必要性を説き率先して行ったが勇者の一行として世界を救った女である。

そして今ではサウスランドは人と亜人が共存するまでになった。

物語はこのサウスランドの西の果てから再び始まる。

サウスランドの中央砂漠を一人歩く人間がいる。空を見上げれば流星が二つ落ちていくのが見えた。その人間は一言「西か」とだけ呟きまた歩みを進めるのであった。

 シスター・ベルナはこの西の果てに一つだけある教会の修道士である。この世界には様々な宗教があるが世界樹を信仰する宗教が一般的であり、ベルナ自身もこの世界樹信仰に属する人間である。ただ、彼女には最近人には言えない悩みがあり憂う日々が続くのであるがそれを他人に悟らせないように気丈に振る舞う姿を周りの人間は気づかないフリをしていた。一言で言えばベルナは非常に分かりやすい人間なのであった。

 彼女悩みというのは最近司祭のラムリドの様子がおかしいという事である。日々の勤めには真面目に取り組むのであるが、夜になると部屋にもおらず何処かへ消えているのである。この辺りには野生の獣も少なくないので村の人間なら夜には外に出ないのが当たり前である。そんな中司祭が夜に居なくなるとなれば彼に密かに恋心を寄せるベルナにとってこれ以上の悩みはないのであった。

「司祭様は一体どちらに・・・」

溜息と共にそんな呟きが漏れる。それを教会にて文字を習いに来ている子供に聞かれからかわれるのであった。

夜に窓から天を仰ぎ見る彼女はある夜、空に二つの流星を見た。

その内の一つがどうやら近くに落ちたらしく村にまで響く地響きに村の人間も何事かと目を覚ますのであった。

ベルナは村の人間と共に流星が落ちたであろう場所に向かうがそこには何かが落ちた跡はあるが落ちたものは夜通し探したが一向に見つからなかった。結果として落ちたものは物であれ生き物であれこれだけ大きな穴ができるほどなので普通に考えて(特に生物なら)生きてはいまいという結論になり、夜も明けてきたので村に戻ったベルナ達は眠い目を擦りながら日常の仕事をこなすのであった。

 これが新たな始まりとはまだ誰も知らない。


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