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38話

突然現れた魔王に動きを止めてしまうカトレアとアレクセイだった。それ程までに目の前の子供が放つ殺気は凄まじかった。

「あれだけ大層な事を言っておいて勇者でもない奴らにこのザマか。やはり所詮は紛い物だな。」

そう言って目の前にいる女の腹に剣を突き立てる。

叫喚が空気を鼓膜を揺らす。

「道具にしては良い声で鳴くじゃないか。ほら、もっと苦しめ。それが俺(私)の力となる。お前の望んだ俺(私)の為になる事だ。糧となり果てろ!」

目の前女は苦しみながらも悦びの表情を浮かべ消え去った。

「苦しみ抜いた魂程極上也。さてお前達の魂はどうだろうか?」

そう言ってアレクセイとカトレアに視線を向ける。

「オレを・・・無視・・するな!」

そこにはフランが今にも倒れそうなくらいフラつきながら啖呵を切っていた。

「オレはこの世界で一番強くなるんだ!ならなくちゃいけないんだ!だから」

そう言って魔王に斬りかかるがその剣は魔王には届かなかった。

「お前は馬鹿か?勇者の血に加護があるように魔王の血にも加護はあるのだ。覚醒すらしていないお前などただの人間と何ら変わりない。これ以上邪魔をするなら二度と立ち上がれないようにしてやるぞ。勇者は殺してしまうと色々と厄介だからな。」

「開祖様、動けますか?私はあの全てを刈り取る様な殺気にはどうやら抗えそうには無さそうです。」

「アレクセイ、私もどうやら動けそうにない。ミリオの様に覚醒できれば或いは・・・いや、私には無理だろう。」

その時ミリオから迸る光の柱が消えたがミリオはピクリとも動かない。

「アレクセイ、我々の太陽はまだ昇ったばかりだ。世界を照らすのはこれからのようだ。」

ミリオの光が消えた事に貧民街の魔王も気づいた様で

「ほう、これで後はこの勇者を覚醒させれば全てが揃う訳か」

そう言って斬りかかるフランの顔を鷲掴みにして地面に叩きつけ慣れた様子でフランを覚醒させる為に何やら呟く。

「ふむ、偽の魔王を作るのとはまた異なる様だ。ならばやり方を変えてみるか。」

掴んだ手に力を入れると同時にフランが叫び声を上げるが魔王の五月蝿いの一言と同時に更に力を込められそのまま動かなくなった。



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