37話
ミリオから迸る黄金の光を目にして私はそこに希望を見た。
魔王でさえ、神でさえ予期せぬ奇跡というものは起こりうるのだと。あぁ、人間の可能性は果てしない。
そう思うと自然と目の前のミリオにネストとバートを照らし合わせていた。この子は彼らによく似ている。血が繋がっていないのは初めから知っていた。知っていて敢えて偽った。この世界には神の血に染まらず純血を保っている一族が居るというのは聞いたことがあるが、その村の場所は誰も、私でさえも知らなかった。だが、今はもう朧げになってしまった幼き記憶にも同じ様な光景を見たことがあったのを思い出す。智慧の実を食べこの世界に落とされた私達にとって原初の世界はお世辞にも住みやすいとは言えなかった。魔物こそ居なかったが、その中であっても人間の限界を超えた者が目の前と同じ光を迸らせていた。
バートは見つけたんだな・・・世界を救う最後の鍵を。
そう思うと私が心を砕かれた理由など瑣末なことに思えて思わず笑ってしまった。
「ミリオ、君は本当に世界を照らす太陽の様だ。」
かつて勇者も魔王もなく英雄と呼ばれていた人達と同じ光を放つ目の前の子供に本心が自然と漏れ出した。
「さぁ、一緒に世界を照らしに行こうじゃないか。目の前の偽物を倒して!」
光が戻ったカトレアは凄まじかった。勇者のみが使える魔法など必要とせずとも目の前の女の表情を曇らせていく。
開祖様!
そう叫ぶアレクセイに
ああ、分かっている
と短いやり取りの後に神をも殺しうる雷をその手に宿し女目掛けて投げつけた。
アレクセイもそれと同時に自身の加護を剣に宿し斬りつける。
叫び声とも言えない汚い咆哮と共に女は動かなくなった。
手応えを感じる手を握り締め
やったか?
と叫ぶアレクセイだったが、女の指が地面を抉りこちらを睨みつける姿を見て唖然とした。
あれでもダメなのか!
と挫けそうになる皇帝に
まだだ!倒れるまで何度でもやるぞ!
とカトレアの声が響く。
その時空が裂け貧民街の魔王が姿を表した。




