36話
扉から出てきたのは心ここに在らずと言った感じのカトレアとそれを支える皇帝であった。
それを見た女はフランに突き立てようとした剣を止めそちらへと直進する。
そして2人の前で止まり丁寧な挨拶をするのであった。
「これはこれは皇帝陛下と始原の魔女様。ご機嫌麗しゅうございます。魔女様に致しましてはお初にお目にこかります。私セントラルの王女にして魔王様により世界の真実を知りし者でございます。以後お見知り置きをなんて事は言いませんのでどうかここで果てて頂きたく思います。」
そう言って有無を言わさずカトレアに対して殺意の篭もった一撃を叩き込もうとするのであった。
だが、それは叶わなかった。
何かが女の攻撃を防いだのである。
「何故私の攻撃が通らない!」
自身より背の高い男を見上げて憎しみと殺意の篭った視線を浴びせるが男は溜息を吐きながら面倒くさそうに言う。
「開祖様には神の加護がかかっている。これによりどの様な攻撃も効かぬ。勿論その血族である私にもだ。神の血こそ有しておらぬが開祖様には魔王ですら傷はつけれまい。まして魔王ではないただの眷属であるなら尚更だ。」
虚な目で目の前の光景を瞳に映すカトレアはやはり動かない。
悪態をつきながら皇帝アレクセイと戦いを始めた女があげる土煙を只々その場で眺めていた。
フランはようやく身体を起こしミリオはカトレアに近寄り肩を掴んで叫ぶ。
「カトレアさん!どうしたんですか!?」
アレクセイが戦いながら開祖様は神より真実を知らされ心が壊れた。と言いそれを聞かされてミリオの中には沸々と怒りが込み上げてきた。
「始原の魔女はそんな事で心が折れれるのか!散々今まで偉そうな事を言って来たくせにそんな事で!世界の真実がなんだ!神の血がなんだ!勇者がなんだ!僕にはそれすらなかった!父さんの子供ですらなかった!それでも僕は、俺は諦めない。世界が終わると言うなら俺がそれを止める!僕が、僕が世界を照らす太陽になるんだ!」
そう言い放ったミリオからは黄金の柱が迸る。
そして
「全く君は本当にネストにそしてバートにそっくりだよ」
そう言って始原の魔女は瞳に光を取り戻すのであった。




