33話
セントラル陥落。
王都バニスタの悪夢から1週間とかからずもたらされたこの新たな情報に帝国皇帝トテロスは俯くのであった。
ここ最近もたらされる情報は悲劇と呼ばざるをえないものばりだった。
新たな魔王の誕生、それに付き従うセントラル王女による虐殺の限り。そして数名の生き残りに何やら実験の様なことをしているという話も聞いた。
「奴らは何が目的だ。考えろ。私が奴等ならどうする。」
そう言って思考を巡らせている間にも新たな情報が玉座の間にもたらされる。
「奴らは生き延びた人間の胸を貫き殺した後に何かをした後に貫かれた者たちは傷痕すら残さずに生き返ったようです!中にはモンスターに変わる者も居たとの情報も」
それを聞いて益々訳がわからないという顔をしているトテロスとその側近達の意識をそちらに向ける様な声が玉座の間に入ってきた。
「奴らの目的は恐らくは本来勇者や魔王になれなかった者達の身体に流れる神の血の強制的な覚醒だろうね。それにより本来なら現れない勇者・・・いや、奴らのやり方からして魔王の量産。人為的に魔王を生み出したとしてそれに耐えうる器をどうやって・・・」
「開祖様、人為的に魔王を生み出すなど可能なのですか?」
思考の海に沈んでいたカトレアが心ここに在らずといった様子で
「ああ、条件さえ整えば可能だよ。ただその条件は神のみが知る秘密のはず。私ですら彼からそれは聞かされていない。だとすると他に方法を教えた神がいると?」
また思考の海に沈んでいく少女に対し再度問いかける
「仮にその方法を知り得たとしてどうして今までの魔王は今までその方法を取らずにいたのでしょうか?」
「そこだよ。終末時計が黒に染まりきるまで待っていた?それならばアルバートの時に使って来なかった理由が分からない。あの時点で時計は既に黒に染まりかけていた・・・ネストを送り時計を・・・まさかそこまで見越して?となると神はこの世界の破壊を望んでいる?いや、神とてこのゲームはただの暇つぶし一方的なゲームなど望んではいない筈。では何故?神と交わった罪?そもそも善神フィルモスと交わったはず彼はこの世界の全てを愛していた。では・・・」
そこで思考を止め部屋を出て行く。後ろでは開祖様と呼び止める声がするが彼女には届かない。
城を出てから即座にかの地に転移をする。
彼女がフィルモスと交わった神が舞い降りると言われる楽手の滝の祭壇へ。
「フィルモス!神フィルモスよ!私の声が聞こえるならどうか返事をしてほしい!」
そう叫ぶが返事はない。
「それもそうか・・・既にこの世界に神が関与はできない筈。その為のゲーム。知恵の実を食し剰え神と交わった罰が今のこの惨状。」
そう呟いて立ち去ろうとするカトレアの耳に
「カトレア!我愛しの女性よ!再会を懐かしむ時間はないのでこれだけを伝える。君以外にも神と交わった者が居る。それも邪神とだ!だからどうか気をつけて。名残惜しいがもう時間だ。いずれまたエデンにて再会できる日を」
声はそこで途切れた。
ありがとうフィルモス。
そう言って少女はその場を去る。




