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32話

王宮が閉ざされてから約1週間程で扉が開いた。

全身を血と体液に染め異臭を放つ女が1人おぼつかない足取りでこの惨劇を生み出した者の前に進んでいく。

「私が、私が最後に生き残ったの!これで私を生かしてくれるのでしょう?いいえ、そうでなくては困るわ。だって私はもっともっとあの快感を味わいたいのですもの。人を殺す事がこんなにも素晴らしい事だなんて知らなかったわ。」

壊れた人形の様にケタケタと笑いながらそう言い放つ女の胸をか細い腕が貫いた。

どう・・・して・・?

「お前たちお貴族様が約束なんて守った事があるか?ないだろ?自分たちが俺たち(私たち)にしてきた事をこの心臓の鼓動が止まる迄に思い返してみろ。」

そう言ってゆっくりと真綿で首を絞めるが如くゆっくりと女の心臓を握る手に力を入れていく。

だが、女はそにすら快感を覚えた様で

「これが・・・殺される苦しみ・・・嗚呼、なんたる甘美。強者のみが持てる力の暴力。これをもっと貪り・・た」

最後まで言わずに女の意識が途切れた。

だがか細い腕が心臓を潰す事はなく自身の魔力で包んでいく。

途切れた意識がハッキリとして頭の中に様々な知識が流れ込んできた。それは死の快楽をより強力に刺激するものであった。穴という穴から汁を垂れ流し歓喜に打ち震えた。

「この世界の真実を知った気分はどうだ?」

自身を見下ろす氷の様な瞳と男とも女とも見える整った顔に浮かぶ微笑に女は本能的にこの人の為に生きる(死ぬ)事が自身の産まれてきた意味だと感じた。

重たい身体を起こし子供でもなく青年でもない年齢の者に跪き

「どうか私もアナタ様と共に」

その続きは独り言に遮られた。

「精神を染め上げれば魔物にはならないのか。もう少し試してみないといけないな。」

既に己に興味すらないという表情がより彼女の精神を黒く染め上げていった。

その場から立ち去ろうとする者の後を女は付き従っていく。

今まであった疲労や空腹は無くなっていた。

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