29話
剣の修行も進み魔法に関してはフランは置いておいてミリオは著しい成長を見せていた。
大気のマナと自分の中の魔力の調和とそれをより強くする祝詞とも言える呪文の習得。
ここでカトレアから一つ宿題を出された。
「ミリオ、君に教えた呪文はあくまで基礎的な部分だ。本来呪文とは詠唱者の想いによって変えていかなければならい。なのでこの世に一つと同じ呪文なんてものは存在しえないのだけれども、今の世のはそれを知っているものは極僅かだけだ。」
「どうしてなんですか?」
「世の中にはそれだけ悪い奴らが多いってことさ。使い方次第では国一つ簡単に堕とせてしまうなんてことも可能だからね。だから世界には基本の呪文しかしらない魔法使いなんてゴロゴロいるさ。」
それでも首を捻っているミリオと半ば眠りの世界に入っているフランに対し
「まぁ、実際にやって見せたほうが早いか。」
と一言
『我は世界と常世を繋ぐ者。彼方より此方から命を育む力を我に与えここに顕現せしめん』
祝詞と共に掌に炎の玉が現れる。
「とまぁこれが基本魔法のみの場合だね。」
手のひらの玉を消しじゃあ次はと言い祝詞を紡ぐ
『我は世界と常世を繋ぐ者。彼方より此方から全てを破壊する炎を我が手に』
そう唱えるとさっきとは比べ物にならないくらい大きく熱く喉さえ焼かれる熱さの炎の玉が掌から溢れていた。
二人の様子を見てすぐにその炎を消し
「これが呪文の力さ!」と笑って見せる。
呪文の力さ!じゃねーよ!死ぬかと思ったじゃねーかこのクソババア!
とフランが悪態をつくが
「ほう、そのクソババアとは誰の事か詳しく聞こうじゃないか。」
とフランを連れてどこかに消え去り二人が戻ってきたときにはフランは遠い目をしていた。
さて、と話を仕切るように咳ばらいをして
「ミリオ君が呪文に込める想いを口にしてご覧。」
と言われてミリオは考え込む。
「我は世界と常世を繋ぐ者。彼方より此方から立ちふさがる全てを灰にする力をこの手に顕現せしめん。」
「こりゃあまた・・・」
カトレアのその一言が全てを物語っていた。
「君が呪文に込める想いがここまでとは・・・いやはや何て危ういんだ。」
と呟く。




