22話
翌朝は2人とも起きるのは早かった。
日が昇る前には何があってもいいように身支度は終わらせていた。
それぞれが部屋を出てダイニングへ向かうとそこには昨夜と同じ様に良い香りが漂っていた。
長い髪を後ろで纏めてエプロンを付けたカトレアがそこには居て
「おっこんなに早く目が覚めるなんてお姉さんちょっとだけ感心しちゃった。」
「お姉さん・・・」
2人して同じ言葉が出てきた。
ネストが自分より年上だと言っていた御伽話の中の存在が目の前にいて料理をしている。
そんな光景にまだ頭が追いついて来ていないのを実感した瞬間であった。
2人の言葉に頬を膨らせて拗ねたような顔をしているがこの人は一体何歳なのだろう?ととても興味を唆られたが聞いてはいけないと本能が叫んでいるので仕方なく別の話題をする。
「料理くらい自分達でもできるのでそこまでお世話になる訳にはいかないです。」
ここまで安心して眠れたのはいつ以来だろうかと言うくらい熟睡できたので今日は起きるのが早かった。その上料理迄も世話になると考えると申し訳なさが先に立ってしまう。
「お姉さんの手料理なんてなかなか食べられないのにそんな事言ってもいいのかな?食べてみて同じ事が言えたらもう余計なお節介はやめておくことにするけれど・・・」
とても悪戯な笑みを浮かべて言うので余程自信があるみたいだ。
2人はその挑戦を受けるがの如く料理を口に運ぶが皿が空になるまで2人の手が止まることはなかった。そのせいで料理はカトレアに任せることに決まった。
食後にカトレアからある質問をされた。
「2人とも勇者に選ばれる条件についてどこまで理解している?」
そう聞かれても2人には勇者に選ばれる基準など分かるはずもなく首を横に振るしかなかった。
「ふむ、では質問を変えてみようか。君達が一番に望むものは何だい?」
暫くの沈黙の後
「オレは・・・誰よりも強くなりたい。先生よりも強く」
そうフランが口を開いた。
「君はどうだい?」
ミリオに視線を向けるがミリオの口が開くことはなかった。
「こんな質問と何の関係があるって言うんだよ!」
「そう思うのも無理はないがこれは必要な事なんだよ。勇者に選ばれる条件は2つだ。願いが誰よりも強いことなんだよ。それも世界で一番強い願いが。もう一つは同じ願いを抱く者が2人なんだよ。この2つが揃うと勇者と魔王が選定される。」
「勇者と魔王!?魔王は魔族から選ばれるのではないのですか?」
「何を言っているんだい?魔族なんていうものは人間が作りだした虚像なんだよ。世界では勇者を善・魔王を悪としているけれど世の中に完全な善や悪は無いんだよ。どちらも善でありどちらも悪でもある。これは神と交わったヒトという種への罰でもあるんだよ。君達には少し難しい話だとは思うけれど・・・」
難しくはあったが理解できなくはなかった。
「この話はまだ続きがあってね。神々は罰ばかり与えてもヒトは動かない場合を考え勝者にはその願いを叶えるという褒美も用意している。」
「じゃあ・・・父さんの願いは?」
そう小さく呟きが漏れた。




