21話
目の前に広がる景色はどうやら玉座の間の様で目の前にはその玉座であろう椅子に座っているのは青年はこちらを品定めするかの様な視線を2人に向けていた。
「これこれ、そんな目でこやつらを見るものじゃないとお姉さんは思うぞ。」
開祖様・・・そう言ってこめかみを押さえながら首を横に2度振る。
この2人は今セントラルを含めた3王国が国を挙げて探している者達ではないですか。
そう言ってまた視線をミリオ達に戻す。
「それが何か問題でも?」
そう言い放つ始源の魔女からは言葉にできない圧力の様なものがこの広間にいる全員に向けて発せられていた。
「開祖様、いくら威圧をされても帝国がこの者達を匿う理由はありせんよ?それに今のこの国の頂点は開祖様ではなく私です。でなければ皇帝という座は何の為にあるのでしょうか?」
そう言われてしまうと始源の魔女とて何も言い返せない様で奥歯を噛み締める。
横にいるフランとお互いに見合って現状が聞いていた話とは違い2人にとっては危うい状況だということを理解する。
「では帝国はこの2人の受け入れはできない。そういうことか?」
未だに瞳から怒りが溢れている少女に対して玉座に座る男は言い放つ。
「そうです。」
それを聞いた瞬間また少女から威圧のオーラが出る。
「開祖様。人の話は最後まで聞く様にと以前から言っているではありませんか。」
その瞬間に威圧がなくなり部屋の空気が軽くなった。
続きを。
そう短く言い放つ
「帝国としては受け入れられないという事です。開祖様が国内でこの2人をどうなさるかは自由ですが国を、民を守る立場の人間としては受け入れられないと言わざるを得ないのですよ。」
そう言い放つ顔はイタズラ好きな子供の様に見えた。
「なるほど、理解した。では後の事は任せた。行くぞ2人共。」
いつの間にか身に纏っていた服が変わっていてマントを翻し部屋の出口に向かい歩いていく姿を追いかける。
これからどこに行くのか。自分達はどうなってしまうのか。
不安の種は尽きないがミリオは拳を固く握りしめ今一度自分の目的を心に刻むのであった。
長い城の廊下を歩きようやく外へ出たが目の前に広がる景色に2人は意識の全てを奪われた。
空を飛ぶ馬車の様なもの・セントラルとは全く違う外観の建物・人の服装も全く違う。
時代を2つくらい飛ばした様なそんな光景だった。
「まぁ、初めて見るならそうなるわな」
そう言ってカトレアは暫くその場から動かなかった。
2人が満足したのを見計らって「色々質問したい事も多いじゃろうがここではな。少し落ち着ける場所へ行こうか。」
そう言って2人の手を握り何処かへ転移をした。
「転移の魔法は探知されるのではないのですか?」
顔色を伺うように質問をしてみるが
「大丈夫よ。今のは探知されない転移魔法だから。」
そう笑って答える顔は何度見ても10代後半の少女にしか見えない。
「えっと、カトレア・・・様?は本当に始まりの魔法使いなんですか?」
フランがそんな質問をしていたがミリオには全く耳に入っていなかった。目の前にあるのが世界樹の森で焼け落ちた祖父のコテージだったからだ。
「そんな、どうしてこれが?じゃあここは世界樹の森?」
様々な疑問が今日一日だけで目紛しく起きているのでミリオの頭はパンク寸前だった。
「はいはい。そう言う面倒な質問は全部後回しにしてお風呂と食事を済ませたら今日はさっさと寝なさい!じゃないと・・・お姉さんが力尽くでいい夢、見させちゃうぞ☆」
笑顔で凶悪な事を言わないでくださいと横にいるフランが小さくボヤきながら小屋に入って言われたように風呂と食事を済ませて自分の部屋だった場所へ行き眠りについた。
ミリオもそれに倣って風呂と食事を済ませ祖父の部屋だった場所へ行き眠りに落ちる。
今日だけで起きた事が多すぎて案外すぐに寝たようでそれぞれの部屋を見て回ったカトレアは暖炉の前に置かれたソファに座り1人嗚咽を漏らす。
「ネスト・・・ネストッ」
誰にも聞かれないような小さな声で。
夜の闇が一層暗くなっていく頃にはコテージからは3つの寝息だけが聞こえるようになっていた。




