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2話

グダグダですいません。

世界樹が全ての光を吸い込んでからもベネディククト

とミリオは世界樹を見つめ続けた。

そして長い沈黙の後に賢者が口を開く

「取り敢えずアードックへ行くのは暫く先だ。どうやら転移に必要な魔力が残ってないので今すぐに出発はできない。そもそもアードックへは行ったことがないのでミストランテを経由して3日といったところか。」

それを聞いてもミリオは頷くだけで他には何も言わなかった。

あの活発で明るかったミリオも自分のせいで父親を亡くしてしまったのが相当堪えているのだろうと察し

「幸いにもここは世界樹の森、モンスターのような邪な心を持つ者は入れない聖域だ。なので今日はここで野営しよう。」

そう言って慣れた手つきで野営の準備をするのであった。

枯れ枝を集め火を起こし世界樹に畏敬の念を込めながら周りに生い茂っている世界樹の眷属たる木々から枝葉を落とし残った魔力で加工し外套を作る。

「これで夜の寒さは凌げるだろう。野営用の道具は全部最後の町「ロストホープ」に置いてきたからな。」

死んだような目で火を見つめるミリオに語り掛けるも返ってくるのは頷きだけでどうしたものかと頭を抱えた。

そして疲れたのか眠りに落ちたミリオに外套をかけベネディククト自身も眠りに落ちるのであった。

そして夜が明けた。

となれば良かったのだが、焚火の反対側で眠っているミリオからすすり泣く音がして目が覚めた。

「父さん、父さん、父さん。僕が僕が付いていかなければ父さんは・・・」

齢12歳自分のせいで父を亡くしたことに対する責任に潰れそうになっていた。

「ミリオ、起きているか。」

そう語りかけるとすすり泣くのを気づかれまいと必死に堪える音が聞こえる。

「起きていても寝ていてもいい。これは俺の独り言だ。確かにお前のせいでバートは死んだ。これについてはどうしようもない事実だ。だが、アイツが世界樹の力で最後にお前に伝えた言葉を忘れるな。お前が無事ならそれでいい、自分を責めるなと。すぐには無理かもしれない。しかしアイツはミリオ、お前が無事な姿を見たときのアイツは本当にいい顔をしていた。勇者のパーティーの俺がこんなことを言ってはいけないのかもしれないが、世界の運命だとかそんなものよりもお前が1番大事だという事実がそこにはあった様に思う。あれは父親の顔だった。父親ってのは自分の子供を1番に考えるものだ。だからバートが魔王を倒して世界を救いたかったのはミリオ、お前のためだったんじゃないかと思う。だが、それは叶わなかった。そしてそれはお前に託された。今はまだ分からないかもしれないが、お前にもいつか大事な人、かけがえのないモノが見つかる時が来るだろう。その時の為にできることをやるんだ。随分長い独り言になったな。それじゃあお休み。」

そう言ってベネディククトは再び眠りに落ちるのであった。

完全に眠りに落ちるその前に掠れたような小さな声で「ありがとう」と聞こえたような気がした。

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