14話
世界樹の根元で老人と中年に差し掛かろうかという男が話す声が聞こえる。
「では、次の・・・は・・・・とい・・・すか?」
「うむ、残念じゃが・・・は・・・・では・・・・」
「そんな・・・では・・・・は何の為に・・・・」
「これはワシには・・・・事・・・」
「それは・・・・すが・・・・あの子が・・・・ではないで・・・」
「これこそ・・・に・・・れた・・・呪い・・・・よ」
「かつて・・・・と・・・・という呪いがこの状況を・・・・」
「つまりは・・・・でも・・・・になる・・・・と?」
「うむ、そして・・・・と同じ・・・・が生まれる」
「それでは・・・のアイツは・・・・んです・・・」
「あの者もまた・・・・なんじゃよ」
「この因果を解く・・は・・・ですか?」
「それはワシには分からん」
「しかし鍵となるのはミリオじゃろ。あやつは今因果の輪から外れた存在。それがこの長きに渡る因果に終わりをもたらすかもしれん。」
そんな話をしているとは思わず小屋の中で魔法の勉強に励むミリオであった。
その時空が黒雲に包まれ聖なる守りによって守護されている世界樹に黒い雷が落ちるのであった。
黒い雷は世界樹を2つに裂き黒い炎に包んだ。
「これは闇の魔法!?という事は」
上空に視線を向けるとそこには黒いフードに身を包んだ男が1人空中に浮いていた。
ベネディクトにはこの男の放つ気配に覚えがあった。
「あいつが何故ここに!?この場所は探知もできないはずなのに!?」
「驚く事はなかろうてあやつも今はバートの半身とも言える存在。息子の血を引くミリオの気配を察知できないわけがない。もっと早く気づくべきじゃった。」
「命の灯火が消えゆく者同士もう話は終わったか?」
冷たいがゆっくりとしかし身体の芯に刺さる声がバートの顔をした男から放たれる。
「神の因子を持つ者を倒したので我の命もまた消えゆく運命にあるがせめて次代の為に邪魔な存在は排除しておかないといけないからな。お前たちの持つ駒は着々と減らされている。この因縁の終結も近いだろう。」
「ワシらの一族の事を駒だと思っているのであればそれは貴様の大きな誤算よ!人間の業の深さを同じ人間でありながら分かっていない様じゃな。」
「負け惜しみもここまで来ると実に耳障りの良いものだな。さて、お前達を消して人類の希望とやらを消し去ってやるとしよう」
腰に帯びた剣を構えた老人と杖を構えた賢者が応戦しようと戦闘態勢に入るが
「勇者アルネスト!ここは私が奴を止める。その間に2人を連れてどこか遠くへ!血の因果がある限り無駄かもしれないがその因果ももうすぐ終わるはず。それまで何とか・・・何とか2人を・・・貴方より私の方が残された時間は短い。だから後は頼みます。」
そう言ってマントを翻し友を殺しその友と同じ顔をした男と対峙するのであった。
かつての仲間、いや仲間を超えた存在である無二の親友と同じ顔をしあと一歩というところまで追い詰めた相手が目の前で氷の様な顔に薄っすらと笑みを浮かべ口を開く。
「既に命の灯火の消えかかっている貴様に何ができる?せいぜい残った己の命を糧として我と相討ちをとでも考えているのであろうが実に浅はか也。賢者ともあろう者が己との実力差すら測れないとは。だが、お前のその覚悟だけには敬意を持って殺させてもらうとしよう。」
「例えこの命残り少なくとも相討ちなどせずともお前を倒す方法くらいはあるさ。なにせ私は賢者だからな。」
「強がりを・・・まぁいいどうせすぐに消える人間の戯言など」
そう言うと掌を賢者へ向け黒い雷を放つ。
全身に魔王の魔力を受けさけび声とも言えない声を上げ消えゆく意識の中で小さく確実に呪文を唱えていく。
ミリオには呪文はあくまで補助でしかないと教えたがそれは基礎の基礎であり応用するのであれば呪文によりイメージを増幅させることも可能である。この事を伝えられないまま別れてしまったのが一つの・・・いや、まだ伝えたい事は沢山あったが今はそれを嘆いている時ではない!
「何やら小細工を弄してるらしいが果たしてそれが我に対して有効なのか試させるのもまた一興であるか。賢者よ!お前の最後の輝きを我に見せてみるがいい。それを打ち砕いで絶望の淵に其方の命を終わらせてやろう。」
しかし、眼前の男には既にその言葉すら届いておらず掠れるような小さな声でゆっくりと何かを呟いている。
「もう意識はない・・・か。それでも何かを仕掛けようとするとはお前を動かしているのは何なのだ。全く理解に苦しむ」
そんな事を考えていると目の前の横たわっていた男からはその呟きすら消えていた。
「何かを仕掛けて来るのかと思えばその前に事切れたか。賢者といえど所詮は人形。我に抗うことなど出来はしなかったか」
勝利の愉悦を感じるためにゆっくりと目の前の肉の塊に近づき己が倒した相手の顔を覗き込んだその瞬間二人の姿はこの世界から消えた。




