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12話

「早速じゃが時間が惜しい。そこに練習用の木剣があるからこのボウズに剣を教えてやってくれ。ワシはこいつの相手をしないといかん。」

そう言ってフランを指差す祖父に嫉妬を感じなかったと言えば嘘になる。

だがそれは自分に剣を教えてくれるベネディクトに対して失礼だと感じ気持ちを改めるために頬を叩く。

それを見て色々と察したベネディクトは小さく微笑み

「先ずは握りからだ!」

と初歩の初歩から丁寧に教えてくれた。

剣だけでなく剣を扱うための身体作りも必要でそれも同時に行われたが太陽が沈みかける頃にはもう身体が動かなくなっていた。

小屋の方から

空腹を煽る香りと共に「晩飯じゃぞ〜」

という言葉が聞こえると動かないはずの身体が小屋を目指して駆けていた。

晩御飯を書き込みながらベネディクトが

「食事の後は魔法の座学だ。食後だからと言って寝るんじゃないぞ。」

そう釘をさされたにも関わらず気づけば夢の中に落ちていた。

「まぁ最初からは流石にキツかったか」

そう聞こえたようにも感じたが思考は深く落ちていくのであった。

翌日目が覚めたのは全身が酷く痛むからであった。

それを見て3人が一様に笑いただの筋肉痛だ。そのうち慣れると如何にも他人事のように答えそれぞれがやるべき仕事に戻っていった。

剣術の修行についても自分の身体が鍛錬に耐えられるようにと体作りが主たるものとなった。

目の前の賢者は自分の寿命が残り少ないというのになんて悠長な事をと考えていると、それを見透かしたように

「基本的な体力すらない人間が剣術を学んだところで10教えた内容の1か2しか吸収できない。それでは非効率的だ。それに私が例えいなくなったとしても変わりはいるだろう。」

と祖父の方へと視線を向ける。

あぁ、この人はもう全てを受け入れているのだ。と感じ残された時間の中で少しでもこの人に認められるように頑張らなければとそう思うのであった。

修行を開始してから2週間が経過した。

徐々にではあるが身体の方にも筋肉が付き始め剣に振り回されることが少なくなってきたこともありようやく本格的な剣術の修行へと進むことになった。

「初歩的なことはもう既に説明した通りだ。俺は誰かに剣術なんてものは習っていないから型だのそういうモノの事は分からんが少なくともお前の親父に出会うまでは剣で負けたことは1度たりともなかった。だからこそ言えることがある。幾ら剣の腕が立ち技が凄かろうが相手を絶対に倒すという心構え・心意気がなければ負けるということだ。俺は生きるために剣を取った。お前は何のために剣を取る?」

唐突な質問にミリオは答えに詰まった。自分が戦うための力が欲しいのは世界の為でも人類の為でもなくただ父を殺した魔王をこの手で無残に殺してやりたいからだと答えると目の前にいるこの男はどう思うだろうか。そんなことを考えていたら

「戦う理由が見つかるまで剣の修行は一旦中止にしよう。このまま続けても恐らく何も学べないだろう。」

そう言われて自分は見捨てられたのではと不安に思ったのが顔に出たのか賢者は自分の顔を見て微笑みながら

「お前自身が戦う理由がそれがお前の支えとなる。どんなに苦しいことがあったとしても心に一つ信じるべき柱があればお前は何度でも立ち上がれる。だからこそ自分が戦う理由が必要なんだ。どんなことでもいい。それが復讐の為でもだ。」

そう言われて目から涙が流れているのに気づかないまま

「僕は・・・僕は父さんを殺したアイツが憎い。だから世界とか人類とかそんなのどうでもよくて父さんの仇を討ちたいんだ。」

そういうと

「それがお前の心の柱となりえるのであれば構わないだろう。但し年長者から一つだけ忠告だ。復讐は柱としては脆く何か起きたときに簡単に砕けるという事と復讐は悲しみの連鎖しか生まないという事を心に留めておいてほしい。いつかお前にも守りたいと思える人間ができるだろう。人間の戦う理由として一番強いものは愛である。これはお前が大きくなれば自ら感じることだろうから俺からはこれ以上は何も言わない。そしてお前の戦う理由もしっかりと確認した。」

「じゃあ剣術の稽古を続けてくれんだね。」

「ああ、だが今日はここまでだ。さっき言ったことを胸に刻んで忘れないでいてほしい。人間は愛する者の為に強くなれるんだという事を。お前の親父がそうだったように。」

どこか遠い目をして過去を懐かしんでいるのを邪魔をしては悪いとは思ったが太陽はまだ真上にあり晩御飯の時間までまだ相当ある。

「じゃあ残りの時間今日はなにをするの?」

「魔法の勉強だ。剣と魔法これを同時に扱えるようになればお前の爺さんの様になれるだろう。」

それを聞いて本当は嫌いな魔法の勉強が少し楽しく感じれるようになった。

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