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11話

目的の人物から言い渡された言葉に自分の残りの人生をこの子のために使えと言われた気がした。

俺はこの子を1人でも戦えるようにしなければならない。それがクソみたいな俺の人生を救ってくれた友に対する恩返しだと理解した。

「わかりました。私がこの子を1人前に育てて見せます。」

そう言った男の顔を見て老人は皺くちゃの顔に笑顔を見せて

「おう、最後まで足掻いてみせろ!お前が生きていたという証をこの坊主の中に残すんだ。」

そう言われて少しだけだが心が救われた気がした。つまらない俺の人生をこの家族が意味あるものに変えてくれる。そう思うと半年どころか1年でも10年でも生きられる気がしてきた。

「さて、もうフランから聞いているとは思うがお前さんたちがここに来る前からワシを狙てくる人間や魔物が増えてきてな。魔物の方は雑魚ならワシの結界を通れはせんのでいいのじゃが問題は人間の方でな。じゃからこれを機に拠点をここから移そうと思う。」

そう言うと周りの靄だけでなく木々さえも消え平原に丸太小屋が1つポツンと立っているだけになった。

「この森自体があなたが作り出した結界だったのですか。」

賢者でも驚くことがあるのだとこの時ミリオは初めて思った。

「まぁそう驚くこともあるまい。お前さんだって本気を出せばこれくらいできるじゃろ。」

そう言われて反論しようとしたがそれを遮られ

「とにかく時間が惜しい。全員小屋に入れ。」

そう言われて小屋に入ると窓の外が青く光りだし窓から外を覗くと小屋を囲むように魔法陣が敷かれており自分の祖父が机に広げられた世界地図を目にしながら何かを呟いているのを眺め新しい土地への期待に胸を膨らませるのであった。

そして祖父が

「今世界で安全と呼べる場所は世界樹の森くらいか・・・」

そう言って地図に記された世界樹の場所へピンを立てるのであった。

その瞬間周りの景色が変わり窓の外には淡い光を放つ球体が幾つも見えるついこの間まで居た森の景色が映し出された。

「この人数と建物を一瞬で・・・・」

驚く賢者に

「なぁにテレポートの魔法の応用じゃよ。魔法は使い方は1つではない。大事なのはイメージだ。英知の実を食べたにしては考え方が随分と固いんじゃな。もっと柔軟な思考をしていないと心労が溜まるぞ。」

と大口を開けて笑いながら話す老人を見て上には上がいるものだということを改めて思い知らされたと言いながら頭を掻く賢者がどこか可笑しく思わずクスリと笑うのであった。

「さて、世界樹にきたとは言え念には念を入れて・・・」

そう言って両手を横に広げて集中しだした祖父からぼんやりと白い膜のようなものが広がって行った。

結界か。そう呟く賢者の声を耳にして勇者というのは凄いんだなぁとどこか他人事のような印象を受けた。

そんな自分を見てフランと呼ばれた少年が

「どうだ!先生は凄いだろ!」

とまるで自分がやったかの如く自慢を始めたと思ったら彼の頭めがけてゲンコツが落ちてきた。

「お前は何にもしとらんじゃろ!」

痛てーとうずくまるフランを見て

「そういえばこの子はどういう関係なのですか?」

と賢者が当然の疑問を口にするのであった。

「ああ、この子はな・・・」

少しの間をおいて

「ただの押しかけじゃ」

そういった途端

「先生!そりゃねーよ!先生が居なかったら俺もう生きてないんだぜ!」

「あーなんだ家族が野盗に襲われていたのを助けたんじゃが生き残ったのがこの子だけでな。どこか大きな町の教会にでも預けようとミストランテまで行ったんじゃがそこを抜け出して押しかけてきて終いには住み着いてしまったというわけじゃよ。」

やれやれと首を横に振りながら語る老人を見て

「俺は先生の強さに惚れたんだ!だから先生みたいに強くなってこの世界を救うんだ!」

目をキラキラと輝かせながら語る少年を見てアルミリオは自分はここで剣術と魔法を習い強くなったとして何がしたいのかと己に問いかけたが答えは返っては来なかった。

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