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1話

取り敢えず下手くそなりに異世界転生ではないファンタジーを書いてみようと思いました。

クッソつまんないでしょうがどうぞお付き合いください。

薄暗い大広間に雄叫びか唸り声かも分からないような男たちの声と剣戟の音だけが響いていた。

父さんにはついてくるなと言われ最寄りの町の村長に預けられたが父さんや仲間たちが魔王を倒すその瞬間をどうしても見たかったんだ。

なのでこっそりと街を抜け出して父さんたちの後を追ってついに魔王の待つ玉座の間にて激しい戦いが始まった。

父さんと仲間たちは徐々に魔王を追い詰めていきついにその時が来た。己の全てを込めた剣が光り輝き魔王に向かって振り下ろされるその瞬間を目にして思わず叫んでしまった。

「父さん頑張れーーーー」

俺の声が広間に響き時が止まったようにその場にいる全員の動きが止まった。

魔王に止めを刺そうとしていた父さんがこちらに振り返り

「ミリオ、何でお前がここに」

そう言った父の奥に膝を付いている男の目が赤く光りニヤリと笑ったように見えた次の瞬間。

父さんは腹を貫かれ口から大量の血を吐いてその場に倒れた。

「ハハハ、勇者バート、いやアルバートと言ったほうが正しいか。子連れで我を倒そうとはずいぶん余裕だな。まぁそのおかげでこうして形勢は逆転したわけだからな。貴様の息子には感謝をしよう。」

ベネディクトが懸命に回復魔法をかけるが傷口は一向に塞がらない。

父さんの治療を続ける為にグレゴリオが盾を前面に出し魔王の猛攻を凌いでいるが、既に満身創痍であった身体に魔王の一撃一撃が重くのしかかりエスタもオーレットも倒れていく。

回復魔法を唱え続ける賢者ベネディククトに向かってバートはか細い声で

「息子を、ミリオを連れてここから逃げてくれ。アイツは俺の全てだ。あいつの為に世界に平和を・・・」

悔しさで血が流れるほどに己の唇を噛み締めながら今まで共に戦ってきた勇者の最期の願いであろうそれを聞き入れ頷き、彼の息子に向かって走り出した。

勇者のパーティではもう彼しか動けるものが居なかった。

ベネディククトはミリオの手を掴みその場からの転移を試みようと手を天に向かって掲げたその瞬間、魔王がこちらへ向かって襲いかかってきた。

「クソ、間に合わない」

ベネディククトが絶望しかけたその時、もう動けないはずの勇者が起き上がり魔王の前に立ち塞がりその攻撃を受け止める。

転移の魔法によって目の前の光景がぼやけていく中ミリオは父の最期の姿を目にし涙が止まらなかった。

「父さーーーーーーーーーん!!!!」

父のおかげでなんとか転移ができた二人は森の中に居た。

「ここは・・・世界樹の森か」

世界樹、それは全ての命を司る大樹

「ここに転移したということはこれもまた運命か」

そう呟いたベネディククトは泣きじゃくるミリオの胸を掴み

「何故、何故お前があの場に居た。お前は村に預けてきたはずだ。お前さえいなければ、お前さえいなければ俺たちは勝っていたんだ。」

この子に当たっても何の意味はない。死んだ者は帰ってこない。

分かってる。分かってはいるが込み上げてくる怒りは行き場を失い自然と矛先はミリオに向かうのであった。

「その辺にしといてやってくれないかベニ。」

怒りに身を任せてミリオに手をあげようとしていたその時、目の前に死んだはずの父が現れた。

いや、魂というものがあるのならそれが己の目の前にいるのであった。

「こいつも俺の事が心配で仕方がなかったんだ。人1倍優しい子だからなこいつは。」

そういう男の目は勇者として世界を背負っている時の目ではなく、一人の父親としての目をしていた。

「だが、それでお前は死んでしまったじゃないか。お前だけじゃない。グレゴリオもオーレットもみんな死んでしまったじゃないか・・・」

「起きてしまったことを悔いても仕方はない。それよりも今後の話をしておかないと、俺に与えられた時間はそう多くはない。なので簡潔に言うがベニ、お前がこの子を次の勇者として育てるんだ。」

「そんな俺は賢者だ。魔法は教えられても剣術は教えられない。ましてや勇者の剣術なんて・・・」

「大丈夫、それについてはこいつの爺さん、つまりは俺の親父を頼れ。親父はアードックの町のはずれで隠居しているはずだ。」

「父さん僕が・・・僕が、父さんたちの後を追いかけたりしなければ」

と泣きじゃくる息子に

「いいんだ。そのことはもういいんだ。お前が無事なら俺はそれでいいんだ。だからもう自分を責めるな。そして父さんができなかった事を、魔王を倒すんだ。できるな?」

泣きながら頷く息子を見てベニに視線を向け

「後のことを頼むぞ。」

そう言うと光に包まれていた勇者の身体は小さな光の粒となりその周りに2つの光を伴い世界樹の幹に吸い込まれて行くのであった。

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